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民主党の再生策

2014年12月24日 09:20

民主党 師走総選挙の結果、わずかながら議席を増やした民主党。だが、海江田万里代表はあえなく落選。年明けの1月、代表選が実施されることになった。いち早く出馬を表明したのは細野豪志元同党幹事長。ほかに岡田克也代表代行や前原誠司元代表なども虎視眈々と代表復帰をうかがっており、党内の多数派工作が激しさを増している。
 党勢回復が至上命題の同党にとって代表戦は注目を集める恰好の機会だが、表紙を替えただけで非自民の「受け皿」になれるほど現状は甘くない。民主党が生き残る道とは……。

代表戦の行方
 民主党の代表選挙は、1月7日告示。17日に郵便投票分の予備開票が行われ、翌18日の臨時党大会で新代表が選出される予定だ。投票には、党員・サポーター、地方体議員、公認候補予定者、党所属国会議員らが参加するという。

 海江田氏の代表辞任を受けて、真っ先に名乗りを上げたのは野党再編に前向きな細野豪志氏。同党幹事長のほか、環境相や原発担当相などを歴任しており、若手のホープとして早くから期待されてきた存在だ。

 これに対し、水面下で代表選出馬への道を模索しているのが岡田克也、前原誠司の両氏。ともに代表経験があり、党内に一定の支持勢力を持つ。他にも蓮舫氏など、自薦他薦で様々な名前が浮上しており、代表選の構図は固まりきっていない。

 ある民主党関係者は、来年春の統一地方選や再来年の参院選を睨み、次のように話す。
「岡田さんや前原さんといった昔の顔ではダメ。党の再生などできっこない。誰にするかは言えないが、元代表組より細野さんの方がいいのは確か。幹事長に蓮舫さんなら申し分のない組み合わせになるだろう。有権者に新しい民主党をアピールする、清新な執行部が望ましい」

 現状、細野氏有利との見方が多いのは確かだが、誰が代表になっても民主党が次の国政選挙で非自民の「受け皿」になるのは難しいだろう。同党に求められているのは、表紙ではなく中味を変えることだからだ。

薄い危機感
 先の総選挙、小選挙区で自民党の候補者に投票した有権者は約2千500万人(比例は1千765万人)。一方、自民以外の候補に投票した有権者と棄権した有権者を合わせると約7,500万人に上る。安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認や原発再稼働、さらには大義のない解散総選挙に批判的な意見が多かったなか、それでも自民党が勝利をおさめたのは、共産党以外に非自民の受け皿になり得る政党が見当たらなかったからに他ならない。野党第一党である民主党の微増は、頼りたくても頼れない同党への最終通告だったと見ることも可能だ。政権の座を奪われた平成24年の総選挙、昨年の参院選、そして今回の選挙と3回続けて勝てなかったことを民主党は重く受け止めるべきだが、党内の危機感は薄い。

求められる政策の一大転換
 民主党が再生するためには、思い切った「放下」が必要となる。なにもかも打ち捨てる覚悟がなければ、再び政権を担うことなどかなうまい。まずは、政策の間違いについて認め、謝罪。同時に、政策の一大転換を図るしかない。

 アベノミクスは持てるものと持たざる者の格差を助長こそすれ、国民全体に恩恵をもたらす政策ではない。一部の投資家や輸出関連企業だけが利をむさぼってきたこの2年間を振り返ってみればわかることで、多くの有権者はそのことに気付いている。民主党がアベノミクスに変わる具体的な経済政策案を打ち出すことは、党再生への必須条件だ。その上で、集団的自衛権の行使容認やその先にある憲法改正、さらには原発再稼働といった国民の半数以上が懸念を示す案件に、どう向き合うかである。

 消費増税、原発再稼働――いずれも民主党政権下で方向性を定め、自民党が引き継いだ愚行だ。民主党の切れ味が鈍いのは、安倍政権が進めてきた政策のレールを民主党自らが敷いたことへのジレンマによるもの。いまさら「消費増税反対」とは言えず、原発再稼働にも異論を唱えにくい。集団的自衛権の行使容認や憲法改正については、党内の議論さえまとまっていない。ぼやけた公約に、有権者が愛想を尽かすのは当然だろう。

活路は組織再編
 政策面で自民党との違いを打ち出すためには、民主党が党内の意見集約を進め、思い切って「壁」を取り払うことが必要だ。大胆な組織再編である。まず求められるのは、代表経験者の第一線からの退場だろう。消費増税の見直しで壁となっているのは、野田佳彦元首相や岡田代表代行のような容認論者。集団的自衛権を含む安全保障や憲法改正で、有権者の多数意見に反しているのはタカ派の前原誠司元代表だ。党の政策に一定の方向性を持たせるためには、元代表組にまとめて離党か引退を勧告するしか道はない。「昔の顔」が代表に復帰するようでは、民主党の再生など不可能だ。

 次にやるべきは、労組との関係見直しである。例えば原発について民主党議員が怖がっているのは、電力総連を中心とする原子力ムラの労組の存在。同党議員が原発に批判的な意見を表明する度に、電力労組などが圧力をかけてくるからだ。憲法に関する考え方においては、旧総評系と旧同盟系の間に天と地の開きがあり、同党議員の活発な議論を阻害する要因になっている。支持母体が、政策決定にあたっての「壁」になっているのは事実だろう。連合が一定の票をもっているのは確かだが、民主が二大政党の一方として生き残れるかどうかは、労組頼みの現状を脱し、地域に根ざす活動ができるかどうかにかかっている。

 民主党にそれができるか?まずは代表戦に注目だ。



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