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民主党と「エアバッジ」

2013年11月 6日 07:45

民主党本部 自民一強状態のなかで、野党が存在感を示せないでいる。日本維新の会やみんなの党はゴタゴタ続き。社民の新しい党首は、当分顔と名前が一致しそうにない。元気なのは共産党だけ。なんとも情けない状況だ。
 そうした中、野党第一党の民主党が次の総選挙に向けて動き出した。同党の公認候補となる前提は、選挙区支部長への就任。その顔ぶれ次第で有権者の期待を得られるかどうかが決る。
 先月30日、同党はその第一弾を公表したが、正直、「がっかり」と言った方が良さそうな方々の名前が並んだ。人選にあたってどのような駆け引きがあったのか―民主の党内事情をさぐった。

不透明な候補者選定過程
 民主党が、次期衆院選挙小選挙区候補者の公認内定作業の基本方針と「第1回集約」の結果を発表した。前職34名が公認を内定され、総支部長に就任する。
 政党の公認決定は、通常、第1次公認を現職と有力な前職で構成するものが、今回は比例復活組を含め現職が除外された。

 その理由は、落選議員の経済的困窮。民主党は8月で総支部長全員をいったん解任し、活動費支給を打ち切った。年末に第1次公認を発表するはずだったが、落選議員からの不満が大きかったため、10月に前倒しした形だ。
 だが今回は「第1次公認」ではなく、「第1回集約」なのだという。後日「第2回集約」が発表され、これをもって12月に正式な「第1次公認」とされるという。分かりにくい作業には「意味」がある。

 「第1回集約」が発表された30日のこと。午後5時からの常任幹事会でリストが承認された後、馬淵澄夫選対委員長は候補者選定方法についてこう説明している
「本人に面談し、県連や地方議員、関係者からヒアリングを行い、さまざまな要素を総合的に考慮して決定した」。
 しかし、客観的基準で決めたものではないようで、記者ブリーフではこんな質問も出た。
「惜敗率が7割くらいならいざ知らず、山口2区の平岡秀夫氏は5割くらい。それが第1回集約に入れられる意味がわからない」。たしかに、選定基準が不透明であることは、誰の目にも明らかなのだ。

問われる候補者の「質」 
 じつは、こんな声がある。
「小沢一郎氏が仕切った2009年の衆院選では、末松義視氏と手塚仁雄氏が第1次公認から漏れていた。まじめに活動をしなかったため、小沢氏に嫌われた。しかし、なぜか今回は2名とも第1回集約に入っている。100%心を入れ替えたわけではなさそうだが・・・」。

 小沢氏の議員コントロール術は完ぺきで、独自の情報網を持ち、各議員が地元できちんと活動しているかどうかを常に把握していたと言われている。ある全国紙記者はこう話す。
「リストを見れば、妙な偏りがあることがわかる。手塚公認の件は、彼と仲がいい蓮舫が海江田代表に泣きついた結果、という話もある。手塚は6月の都議選で地元の目黒区で現職だった元秘書が落選し、議席を失った。普段からの地道な活動を怠った結果だと言われている。手塚も元秘書も風頼みの動きしかしていないが、同じような連中がウヨウヨいる。これでは『総合的に判断して選定した』とは言えないだろう」。

 第1回集約のリストに入れば、自動的に総支部長に就任し、すぐさま活動費が支給される。活動費の原資は政党交付金だ。選ばれた34名は「これで生活はひとまず安泰」とほくそ笑み、選に漏れた人たちは、次の「集約」まで資金不足に喘ぎ、悔し涙に明け暮れる。まさに有権者不在で税金の奪い合いを行っている構図だ。 

エアバッジ 
 当事者達の質が高ければ救いようもあるが、民主候補の幼児性は如何ともしがたく、落選中であるにもかかわらず、代議士気取りでふんぞり返る輩が多い。ある県では、夏の参院選の最中、選挙スタッフの間でこんな会話が交わされていた。
「支部長連中のわがままには辟易する。スタッフを怒鳴り散らすは、金遣いは荒いはで面倒見切れない」
「まったく、いまだに代議士きどり。何様のつもりなんだか」
「バッジはないのに代議士きどり。エアバッジ」(笑)
「それにしてもエアバッジ組の質が低い。次の総選挙、この人たちでは勝てないね」

 民主党にとって大切なのは、地に足の付いた政治家の育成だ。それが、候補者選定において、コネやごり押しがまかり通るようでは、党再生の日は遠いといわざるを得ない。暴走自民にブレーキをかけるためにも、もう一度公認候補の選定方法を見直すことを提言しておきたい。「エアバッジ」で政治は動かせない。



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