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原子力ムラ議員 電力労組丸抱えの実態

2013年12月 2日 07:25

政治資金収支報告書 11月29日付で総務省が公表した政治資金収支報告書から、電力労組が丸抱えで組織内候補を国会に送り込んでいる実態が浮かび上がった。
 電力労組が全面支援しているのは、今夏の参議院議員選挙で初当選した民主党の浜野喜史(はまの よしふみ)参議院議員。関西電力労組の出身で、全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)の会長代理を務めていた人物だ。
 電力総連は、入居するビル内に浜野氏の支援団体を置き、政治団体「電力総連政治活動委員会」から多額の政治資金を提供していた。

電力労組内に支援組織と民主支部
 浜野氏は兵庫県出身。神戸大学経済学部を卒業後、関西電力に入社。ほどなく組合専従となり、平成9年に関電労働本部書記長、平成11年には電力総連の事務局長となり、17年から会長代理の職に就いていた。

 電力総連は昨年、引退予定だった関西電力労組出身の藤原正司・前参院議員(民主)の後継者として、同じ関電労組出身で会長代理を務めていた浜野喜史氏の擁立を決定。都内港区三田の電力総連が入るビル内に、浜野氏支援のための政治団体「浜野よしふみを支援する会」(以下『支援する会』)を立ち上げていた。

 同じ時期、浜野氏が支部長に就任した「民主党参議院比例区第15総支部」も、同ビル内を主たる事務所として総務省に設立届を提出している。このほか、浜野氏の支援団体として、大阪の関電労組が入るビル内に「浜野よしふみを支援する会(喜世会)」が存在する。支援する会の代表者は、電力総連の小田部清昭会長代理。喜世会の代表は、関電労組の副委員長が務めている。

選挙前年 準備に5,000万円
 総務省が公表した政治資金収支報告書によれば、浜野氏支援のため、電力総連政治活動委員会が支援する会に寄附した金額は総額5,000万円。内訳は次の通りとなっている。(その下が政治資金収支報告書の記載。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

・6月25日・・・2,000万円
・10月10日・・1,000万円
・11月27日・・2,000万円

政治資金収支報告書

 参院選が実施されたのは今年。従って浜野氏の選挙にかかった費用の総額は、来年秋の政治資金収支の公開を待たねばならない。だが、早い時期から選挙準備に入った電力総連の入れ込み方は尋常ではなく、昨年から今年の選挙までの間に、億単位のカネが費消されたものと見られる。

 前述の通り、電力総連の政治団体から「浜野よしふみを支援する会」に第1回目の支出が行なわれたのが昨年6月。11月までに計5,000万円が寄附されたが、支援する会に、その他の収入はない。支出のうち、約600万円が交通費などの組織活動費として使われたほか、約330万円が「浜野よしふみ通信」の作成費用、約3,800万円が宣伝事業費に充てられていた。翌年への繰越は290万円ほどだ。

 下は、支援する会が宣伝事業費として支出した内訳を記した収支報告書の一部だが、ポスターやリーフレットなど、明らかに選挙を睨んだグッズばかり。浜野陣営の選挙に向けた活動は、支援する会と母体である電力総連が取り仕切っていたと言える。事務所、資金、人員―労組丸抱えの実態だ。

収支報告書の一部

民主支部の収支はゼロ
 昨年6月といえば、民主党政権に対する国民の怒りが膨らんでいた頃。加えて、将来の「原発ゼロ」を打ち出した同党に対する電力労組側の反発が強かったせいか、スタートから民主党色を否定する戦術だったようだ。
 浜野氏が支部長に就任した「民主党参議院比例区第15総支部」は、収入も支出も「ゼロ」。党とは一線を画した政治活動を展開していた。今夏の参院選本番、浜野陣営は政党色を一切出さない戦術を徹底していたとされる。

政治資金規正法の抜け穴利用か?
 問題は、支援する会が、浜野氏の「国会議員関連政治団体」ではないということだ。
 平成20年、政治資金規正法が改正され、国会議員が関係する政治団体を明確にした上で、これに該当する政治団体に対して「登録政治資金監査人」による監査や、1件1万円超の支出(人件費以外)に関し、収支報告書に明細を記載するとともに、併せて、その領収書等の写しを提出することなどが義務付けられた。1万円以下の支出(人件費以外)に係る領収書等についても、情報公開制度の対象となっている。

 改正された同法が規定する「国会議員関連政治団体」は、国会議員自身が代表者である団体や、租税特別措置法に規定される寄付金控除の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員を推薦又は支持することを本来の目的とする政治団体であることを前提にしている。このため、規定に合致しない「支援する会」は除外されてしまう。浜野氏の国会議員関連政治団体は、「民主党参議院比例区第15総支部」だけということになってしまい、これでは同氏の政治活動の実態はつかめない。"電力総連がやっているのは、“抜け道”利用の選挙戦術。不透明極まりない。

原子力ムラの代弁者
 昨年まで電力総連が丸抱えしてきた参院議員は2人。民主党の小林正夫氏と、昨年で引退した藤原正司氏。小林氏は東電労組出身、藤原氏が関電労組出身と、東西の電力労組から交互に参院議員を送り出していた形だ。このため、藤原氏引退にともなう後継者は、藤原氏と同じ関電労組出身で総連ナンバー2の浜野氏になった。

 東西の電力業界を代表する東電と関電。それぞれの労組が、国政での発言力を確保するため、組織をあげて参院での議席を死守してきた。そして、引退した藤原氏をはじめ、現職の小林氏も浜野氏も、原発推進論者。いわば原子力ムラの代弁者だ。電力労組丸抱えの議員たちが目指すのは、国家・国民の幸福ではなく、原発を擁したままの電力業界の発展。国民はこうした政治屋を税金で養っていることになる。民主党の脱原発が胡散臭いのは、党内に原子力ムラの議員を抱え込んでいるからにほかならない。



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