沖縄の民意が明確に示された。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非を最大の争点にした沖縄県知事選は16日、移設反対を訴えた前那覇市長・翁長雄志氏が、昨年12月に移設容認へと転じ、県民を裏切った形の現職・仲井真弘多氏に大差をつけて初当選を決めた。同日行われた那覇市長選でも、翁長氏が後継指名した城間幹子氏が初当選を果たしたほか、那覇市、名護市、沖縄市の県議補選では、沖縄市以外の2市で移設反対派が当選。那覇市議補選(2議席)でも辺野古移設反対派が1議席を確保しており、翁長陣営=「オール沖縄」が移設を強行した安倍政権にNOを突きつけた形だ。
「オール沖縄」の勝利 政権に打撃
沖縄県知事選は、告示前から終始翁長氏が優勢。16日の投票日まで状況は変わらず、64,13%の投票率で、翁長氏が約36万票を獲得したのに対し、仲井真氏の得票は26万票止まり。10万もの票差がついたことで、現職への批判がいかに強かったかを物語る結果となった。
危機感を募らせた政府側は選挙期間中、仲井真氏の支持拡大に向けて菅義偉官房長官や小泉進次郎復興政務官を投入したが、劣勢を跳ね返すことはできなかった。
同日行われた那覇市長選も、翁長氏とタッグを組んだ前副市長の城間幹子氏が、自・公推薦の新人に4万票以上の差をつけて初当選。知事、那覇市長、名護市長と主要な首長が、辺野古移設反対派で占められたことになる。選挙一色となった那覇市では、欠員2を埋めるための市議補選も行われ、移設反対派の候補が1議席を確保している。
また、名護市区、那覇市区、沖縄市区で同日に投開票が行われた県議補選では、沖縄市を除く2市で移設反対を訴えた候補者が当選。名護市では1月の市長選に出馬し、知名度があると見られていた自民党の元職が敗れ、移設反対派が市長選、市議選に続く勝利をおさめる形となった。翁長陣営=「オール沖縄」の完勝である。
地元名護市はもちろん、沖縄県全体の意思が「辺野古移設反対」であることは明白。政府・与党は、知事選の結果にかかわりなく移設に向けた作業を進める方針だが、知事に当選した翁長氏は移設阻止に向けて「知事の権限を行使する」と表明しており、政府が描いてきたスケジュールに影響を与える可能性が高い。安倍政権のごり押しが、沖縄を一つにまとめたのは確かだ。
沖縄県知事選結果 投票率64.13%
・翁長 雄志(無所属・新) 360,820票(当選)
・仲井真 弘多(無所属・現) 261,076票
・下地 幹郎(無所属・新) 69,447票
・喜納 昌吉(無所属・新) 7,821票
那覇市長選結果 投票率65.25%
・城間 幹子(無所属・新) 101,052票(当選)
・与世田 兼稔(無所属・新) 57,768票