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暗躍する福岡市長「政務秘書」―背景に政・官・業の癒着

2014年9月24日 08:45

 今月初め、高島宗一郎福岡市長の「政務秘書」が、市の第3セクター「博多港開発株式会社」の幹部に、パーティー券購入の取りまとめを依頼していた疑いが浮上した(「福岡市長の政務秘書 3セク幹部にパー券取りまとめ依頼の疑い」 。
 博多港開発は、かつて市政を揺るがしたケヤキ・庭石事件の舞台となった会社。政務秘書の行儀の悪さに、港湾関係者が顔をしかめたのも無理はない。
 その政務秘書(本稿では『A氏』とする)、平成23年にも市役所内部でパー券を売りさばいていたことが明らかになっており、役所を市長の政治活動に利用する姿勢を崩していなかったことを示している。立場をわきまえぬ政務秘書の振る舞いに、市内部からも厳しい批判が上がっているが……。

政務秘書が人事に介入!?
 福岡市には「政務秘書」という役職は設けられておらず、A氏の身分は「私設秘書」。当然、高島氏個人か関連政治団体から給料をもらっていることになる。従って「政務」とは、市長の私的な政治活動であり、行政に口をはさむことは許されない。しかし、A氏は違う。

 複数の市職員及び市関係者の話によれば、A氏は市の人事に介入するのだという。事実なら、明らかな越権行為。市政を歪める原因になるのは必定だ。これを許す市長も、行政の何たるかを全く理解していないことになる。

 ある市職員の話――「A氏の傲慢な姿勢は目に余るものがある。市長の側近をいいことに、市職員に様々な要求をしてくる。(平成23年の)パー券販売もその一つだったが、市内部では『困った』という声ばかりだった。ここ数年は人事にまで口を出してくるようになっており、看過できない状況だ。業者との付き合いを市役所に持ち込めば、事件を誘発する可能性もある。私設秘書が市政に介入する現状は、異例というより異常。市民は知る由もないだろうが、福岡市は根太から腐りかけている」

政務秘書の名刺

 A氏は北九州選出の衆議院議員の元秘書。高島市長について市役所に出入りするようになるまで、福岡市のことは何も知らなかったといわれる。巨大組織の歴史や個々の職員の実績も理解できていないA氏が、人事に介入するのはなぜか――。考えられる答えは一つ。政務=市長やA氏自身の政治活動にとって、使い勝手のいい職員を要所ごとに配置するためだ。背景に、票とカネを生む業者の存在があるとの証言もある。業者から職員の情報を与えられて人事に口を出をしているとすれば、官製談合などの犯罪行為を呼び込むことも想定可能。一連の証言が事実なら、福岡市は重篤と言わねばなるまい。

復活する政・官・業の癒着 
 福岡市では平成9年、自民党福岡市議団の創立40周年記念パーティーをめぐって市議らが市交通局幹部にパーティー券販売の斡旋を依頼。地下鉄工事を受注した建設会社に割り当てていたことが表面化し、交通事業管理者が自殺する事態となった。「パーティー券事件」である。

 また、博多港開発をめぐっては、平成14年、福岡市議会で同社がケヤキ600本と庭石10,000トンを9億円以上で購入していたことが取り上げられ、市政を揺るがす事態に発展。関連企業を使って博多港開発の取引に介在し、5億円近い転売益を得て政治資金に充てていた元市議のほか、博多港開発元社長、同元常務が特別背任の疑いで起訴され、全員の有罪判決が確定している。「ケヤキ・庭石事件」である。

 しかし、A氏はそうした福岡市の過去をあざ笑うかのように、役所を利用したカネ集めを続けている。平成23年に高島市長の支援団体が開いた「政経セミナー"福岡市の新ビジョンを語る"」の準備段階では、市幹部に10,000円のパーティー券購入を斡旋させ、多数の職員にパー券を買わせていた。そして、今回の博多港開発を使った業界・団体へのパー券販売……。これでは、政・官・業の癒着を市長が推進しているようなものだ。

 A秘書がパー券販売の取りまとめを頼んだ博多港開発の常務理事は、市幹部からの天下り。退職するまで務めていたのは交通局で、港湾局の幹部職員とともに、市長の取り巻きとして部内で評判になっていた人物でもある。「常務理事の役目は、市長選に向けて港湾関連業界の票とカネをまとめること。そのために開発に送り込まれた」――そう語る市幹部もいる。癒着の芽は、着実に育っていると見るべきだろう。

 吉田前市長時代には影を潜めていた役所利用のカネ集めが復活したのは事実。しかも、その最前線にいるのは、市長の分身ともいえる政務秘書。歪む市政の象徴と言えそうだ。



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