目的が判然としない出張を繰り返していた福岡市の大野敏久副市長が、観光目的としか思えないカナダ・トロント市への出張で、随行職員を尻目に“大名旅行”を決め込んでいたことが明らかとなった。
福岡市への情報公開請求で得た、大野氏及び随行職員の旅行命令書によれば、同じ行程でありならが、副市長の旅費は職員の6倍。身の程をわきまえぬ浪費ぶりに、市民からの批判が上がりそうだ。
大野氏だけビジネスクラス―航空運賃は職員の6倍
この原稿に、くどい説明は必要がなさそうだ。下は、カナダ・トロント市へ「ライオンズクラブ国際大会」の視察目的で出張した大野副市長に随行した、市民局生活安全部長の「旅行命令書」。航空運賃は、往復で『109,320円』。もう一人の随行職員の航空運賃も同額だった。職員それぞれの旅費は、日当や宿泊代も入れて33万~34万円。二人合わせての旅費総額は、約67万円である。
一方、下が大野副市長の「出張命令書」。同じ日程だが、航空運賃は『637,600円』。なんと、随行職員のそれに比べ約6倍の金額だ。
旅行代理店の領収書を確認したところ、航空券代の最終的な金額は『695,460円』。これとは別に宿泊料5日分計137,500円や43,600円の「日当」まで出ており、大野氏が費消した公費は、しめて『876,560円』となっていた。随行職員一人あたりの旅費の2.5倍以上。二人分の合計より、はるかに多い金額だ。何様のつもりか知らないが、ふざけているとしか言いようがない。
随行職員はエコノミークラスでカナダと福岡を往復したのに対し、大野氏はビジネスクラスで“大名旅行”。税金を使った出張であることなど、まったく頭になかったようだ。経費削減に取り組んできた福岡市にあって、副市長失格の浪費ぶり。公人としては最低のレベルだ。
感心なのは市民局の部長。出張命令書に記載されているように、自らエコノミークラスにすることを申し出ていた(下はその命令書の記載内容。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。
出張の度に、ファーストクラス(JAL)あるいはプレミアムクラス(ANA)を利用している高島宗一郎市長。そして、随行職員を従えながら、一人ビジネスクラスで6倍もの航空運賃を使って平然としている県警OB副市長……。歴代市長が、市民の目を意識して「エコノミークラス」にしか乗らなかったことを、この二人は知らなかったらしい。税金の無駄遣いを減らそうという考えは、皆無なのだ。これでは公人失格――市長選を待たずに、揃って退任されることを祈るばかりだ。