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どうみても「観光」 福岡市副市長のカナダ出張

2014年8月12日 06:00

7月2日~8日の日程で組まれたカナダへの出張 「関係者との情報交換」と称して、疑惑の出張を繰り返していたことが分かった福岡市の大野敏久副市長が、今年7月、観光目的としか思えない海外出張を行っていたことが、市への情報公開請求で入手した関連文書から明らかとなった。
 問題の出張は、先月2日から8日までの日程で組まれたカナダ・トロント市への出張。目的は、「ライオンズクラブ国際大会」の視察となっており、大野副市長のほか、幹部職員2名が随行していた。

どう見ても観光
 ライオンズクラブは、約135万人の会員を擁する世界的な奉仕団体。毎年いずれかの国の都市で2~3万人もの会員が参加して国際大会が開催され、総会のほかパレードなどのイベントが繰り広げられる。来年はホノルル、2年後の2016年には福岡での開催が決まっており、その時に備えての視察だったとされる。出張後に、随行職員が提出した「ライオンズクラブ国際大会(トロント開催)に係る関係者競技及び大会参加報告書」(「復命書」にあたる)には、出張目的を次のように記している。

ライオンズ出張.jpg

 もっともらしい記述が並んでいるが、書かれているように大会を視察し、警備状況等について確認するのであれば、実務を担当する職員を中心に派遣するのが筋。しかし、カナダに出張したのは、大野副市長のほか市民局生活安全部長と経済観光文化局MICE推進課長(MICEとは、多数の集客が見込まれるビジネス関連イベント及びその施設)。幹部職員ばかりだ。

 ライオンズクラブ国際大会は規模も大きく、パレードは、各国からの参加者だけで約1万に上るという。とはいえ、600団体以上、3万人前後の人が参加する「博多どんたく」に比べれば小さなもの。200万人もの見物客であふれるどんたくや、伝統行事の山笠を通じて、安全対策の蓄積を有する福岡市があわてる必要はない。どう見ても実務者の派遣が妥当。そもそも、大野氏が再来年まで副市長でいられるかどうか、分からないのだ。

 大野副市長の出張に関する記録は、特別職であるため「復命書」が残されていない。情報公開請求を通じて開示されたのは旅行命令書のほか、「日程表」だけ。このため、随行職員の出張命令書や復命書を改めて開示請求し、カナダでの行動を確認した。

 前述した「ライオンズクラブ国際大会(トロント開催)に係る関係者競技及び大会参加報告書」によると、トロント到着は7月2日。その翌日にはトロント市役所で同市関係者ら5名と意見交換。MICE施策と大会パレードについての説明を受けたとされるが、何のつもりか、用務先の対応者は黒塗り非開示。情報を出し渋る市側の姿勢に、疑念が生じる。

 問題はその翌日からの2日間。7月4日は、「パレード等事前実地調査」ととってつけたような用務。パレードの事前準備を確認したのだというが、要は物見遊山。街の観光としか言いようがない。

 5日はパレード本番。ここでも「調査」の内容や成果がもっともらしく書かれているが、しょせんは観光。ことさら公務に仕立てたところは、滑稽でさえある。

復命1.jpg 復命2.jpg

 ライオンズクラブ国際大会総会を視察したのが6日。これを見学(副市長らはライオンズクラブのメンバーではなく、参加はできない。あくまでも見学なのである)した後、ライオンズクラブ関係者を表敬していた。

 この出張の不可解なところは、表敬した相手についての、日程表上の記載である。下は、視察の「日程表」の一部。なぜか、6日に行われた表敬挨拶の相手先が黒塗り非開示になっている。ライオンズクラブの国際会長は1年ごとに総会で選出され、様々なメディアで取り上げられる。クラブのホームページ上でも名前と顔写真が公開されており、情報公開にあたって隠すべき情報ではない。出張命令書が起案された時点と、実際の表敬の時は役員が交代していたはずだが、日程表もその後の復命文書も役員の名前は非開示となっていた。前述したように、トロント市役所での協議相手も非開示。公的な立場の相手ばかりを隠すには、なにか別の意図があるとしか思えないが……。

視察日程2-1

 大野副市長のカナダ行きは、どう見ても観光だ。取材を続けていたところ、ある市関係者が、裏話を教えてくれた。この出張は、就任以来海外出張がなかった大野副市長への、“慰労”の意味があったというのだ。事実なら市民を愚弄する話。必要のない公費支出だった可能性が高い。観光、慰労――市民の暮らしとは縁遠い、高島市政を象徴するような話だが、大野氏はこの出張で、公人失格ともいえる傲慢ぶりを発揮していた。以下、次稿。



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