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鹿児島県100億円最終処分場で再び計画破たん
膨らむ公金投入 ― 問われる独裁知事の責任

2014年8月 8日 07:00

エコパークかごしま 鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が、住民の反対を無視して薩摩川内市で整備を進めてきた産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」が、工事の遅れで予定通りオープンできない状況に陥っていることが、HUNTERの取材で明らかとなった。
 処分場の工期延長は2度目。2013年2月に工事の遅れが深刻化し、完成予定を1年延長。これにともない、工事費が約19億円も積み増しされ、当初契約の77億7,000万円から96億円以上に膨れ上がる事態となっていた。
 巨額の事業費を費やしながら、相次ぐ計画破たん。今回の工期延長で、さらなる公金投入が必至となっており、伊藤県政の杜撰な事業の進め方に、改めて批判の声が上がりそうだ。(写真は、建設中のエコパークかごしま)

2度目の工期延長 膨らむ事業費
 エコパークかごしまの追跡取材を続ける中、9月末とされた工事終了時期が、少なくとも3カ月、最悪の場合は半年近く先になるという話が浮上した。事実なら、さらなる公金投入が億単位の額になることは確実。 7日、事業主体である県環境整備公社に確認を求めたところ、工事の遅れを認めたうえで、新たな工期や積み増しされる工事費については、「精査中で答えられない」と回答。公社側は、処分場の外構工事が終わっていないことや、廃棄物の搬入管理施設である「計量棟」の建設工事が基礎の段階でとどまっていることも認めた。

 鹿児島県の当初計画によれば、処分場の完成時期は平成25年8月。事業主体である県環境整備公社と特定建設工事共同企業体(JV:「大成・植村・田島・クボタ」)との間で結ばれた契約の金額は77億7,000万円となっていた。ところが昨年2月、設計ミスによるものとみられる工事計画の変更にともない、処分場の完成が大幅に遅れることが判明。公社は、処分場の完成期限を1年以上延長して、平成26年9月30日にし、追加工事費を18億7,920万円積み上げて96億4,920万円とする変更契約をJV側と交わしていた。今回、2度目の工期延長となったことで、事業費は100億円を突破する可能性が高い。

原因は「湧水」
 県は昨年2月の工期延長と事業費の増額について、「大量の雨水」や「地元住民らの反対運動の影響」などが原因であると公言してきたが、これは県側の作り上げた虚構。じつは、処分場整備地のある霊峰「冠嶽」が大量の湧水に恵まれた場所だったことが、工事を遅らせた要因とみられている。

 下は、HUNTERの記者が今年7月に取材した時の処分場近くの状況。至るところから湧水が噴き出し、水抜きしても追いつかない状態であることが分かる。

処分場1 処分場2

 そして次が、昨年9月に処分場のコンクリート壁の状態を捉えた写真。壁面の一部に色が変わっている箇所があり、コンクリートの境目から水がしみ出しているのが分かる。原因は「湧水」以外には考えられない。

処分場4 処分場5

 じつは、エコパークかごしまのコンクリ壁には、こうした水漏れ箇所が無数にあったことを確認しており、いずれは水の力で処分場の構造物が壊れ、事業自体が破たんする可能性もある。この場合、処分場内の汚染水はすぐ横を走る阿茂瀬川に流れ出し、その後は県内一の河川で水道水にも利用されている「川内川」に合流する。エコパークかごしまは管理型の最終処分場。いったん施設が崩壊すると、極度に汚染された水が、川や海を汚染する事態が予想されている。

無駄な公共事業を強行した伊藤独裁県政
 薩摩藩の時代から信仰の対象となってきた霊峰に、100億円もの公費を投入して産廃処分場の建設を強行した伊藤祐一郎知事。満足な事業試算もないまま、住民の声を圧殺した結果が、相次ぐ計画破たんとさらなる公金投入。尻拭いをするのは鹿児島県民である。鹿児島県ではこのほか、子育てには不適な鹿児島市松陽台で県営住宅の建設も進行中。こちらも採算度外視、住民を無視して工事が進められており、地元からは事業破たんを予想する声も――。独裁県政のツケが、県民に重くのしかかろうとしている。



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