政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

鹿児島・薩摩川内産廃処分場に施設崩壊の危険性

2014年7月22日 09:20

 エコパーク2.jpgのサムネール画像先月、鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が薩摩川内市で建設を進める産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」の周辺で、湧水が多量に噴出している現状を報じた。 
 自然が生み出す地下水を止めることは不可能で、いずれ処分場の構造物に影響を及ぼすことは必至。その兆候が、昨年の段階で現れていたことを、HUNTERのカメラが捉えていた。
(写真は、建設が進む「エコパークかごしま」。背後に湧水が噴き出す山)

噴き出す「湧水」
 先月報じたのは、エコパークかごしまに接する山の裏側の状況。施設の開業に向けて整備している道路を拡張するため、山肌を削り法面(のりめん)となっているところに、大量の地下水が噴き出していた。下は、その現状写真だ。

湧水1 湧水2

 左の写真で明らかな通り、法面の色は個所ごとに違っている。水をを含んだ土とそうでない部分に分かれるためだが、原因は「湧水」。法面に近づくと、右の写真のように、あちこちからきれいな水が噴き出している。

 問題は、エコパークかごしまが、湧水を噴き出すこの山に張り付く形で整備されていること。山の処分場側には、施設を囲むためのコンクリート壁が築造されているのだ。もともと処分場としては不適な場所に、100億もの公費を投じて無理やりエコパークかごしまを整備しようとしているのである。そして、下の2枚は昨年9月、そのコンクリート壁の状態を捉えた写真である。

施設壁面からも湧水

湧水壁面

湧水漏れ

 取材当日までの5日間は晴天。当然、壁面のコンクリートは乾いている。しかし、見ての通り、壁面の一部に色が変わっている箇所があり、コンクリートの境目から水がしみ出しているのが分かる。「湧水」以外には考えられない。じつは、エコパークかごしまのコンクリ壁には、こうした水漏れ箇所が無数にあったことを確認している。

高まる事業破たんの可能性
 これが何を意味するか――?。湧水を止めることは不可能。壁面側だけでなく、施設の下にも湧水は存在する。いずれは、水の力で処分場の構造物が壊れ、100億円かけた事業が破たんする可能性があるということだ。この場合、処分場内の汚染水はすぐ横を走る阿茂瀬川に流れ出し、その後は県内一の河川で水道水にも利用されている「川内川」に流れ込む。エコパークかごしまは管理型の最終処分場。いったん施設が崩壊すると、極度に汚染された水が、川や海を汚染することになる。

 同処分場をめぐっては、大幅な工法変更や追加工事が発生。当初77億7,000万円だった事業費は、18億7,920万円も積み増しされ96億4,920万円にまで膨らんでいる。原因のひとつが「湧水」であることは誰の目にも明らかだが、県や事業主体である鹿児島県環境整備公社は、その事実を認めていない。

 エコパークかごしまの整備地に湧水が多く、処分場用地としては不適であるという指摘は、住民説明会の時から出されていた。これを無視して、同地を選んだのは伊藤祐一郎鹿児島県知事。無責任というしかない。



【関連記事】
ワンショット
 永田町にある議員会館の地下売店には、歴代首相の似顔絵が入...
過去のワンショットはこちら▼
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲