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テロには無防備 ― 原発再稼働と集団的自衛権

2014年7月23日 08:45

川内原発 原子力規制委員会が、九州電力川内原子力発電所(右の写真・鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に事実上のゴーサインを出した。規制委が定めた新安全基準に合格したのだという。しかし、最終的な再稼働の判断をするのが誰なのか、分からないままだ。
 規制委は審査しただけだと主張し、官邸サイドは「政治的な判断はしない」として責任回避。結局、九電と立地自治体である鹿児島県と薩摩川内市が合意すれば、川内原発は再び営業運転を始めるということ。福島第一の事故以前と、仕組みは何も変わらない。
 再稼働にあたっては「安全性の確保」が絶対条件のはずだが、規制委の田中俊一委員長は、「審査したが、安全だとは私は言わない」……。何のための審査なのか分からないが、たしかに「安全」ではない。日本の原発は、「テロ」に対して無防備なのである。

川内原発
 下の写真は、川内原発の温排水を放出する「放水口」そばの砂浜から撮影した一枚。中央上に原子炉建屋が見える。この場所には誰もが簡単に行くことが可能で、原発の敷地内に入り込もうと思えば、できないことはない。監視カメラが設置されているが、侵入者を発見しても、相手が武装している場合は手も足も出ないだろう。原発には、自衛隊が常駐しているわけではないからだ。つまりテロ対策など皆無といった状況なのである。

川内原発1

 砂浜をさらに原発に向かって歩くと、フェンス越しにあるのが「放水口」。下の写真の通り、潮が引けば剥き出しとなる。原発の敷地内に入らなくても、放水口や取水口には、どの原発でも容易に取りつくことができる。放水口や取水口が破壊されたらどうなるか――福島第一のケースが雄弁に物語っているように、原子炉を冷やす冷却水の温度が下がらず、原発そのものが重大な危機を迎えることになる。

川内原発2

玄海原発
 佐賀県玄海町にある玄海原子力発電所も、同じような状況だ。下の写真は、海側から見た原発の全景、その下は海中の放水口(写真奥)の様子である。やはり、玄海原発も海側からの侵入には無防備。放水口も取水口も、潜ってしまえば、簡単に近づくことが可能となる。ここも、テロ対策など無きに等しい。

玄海原発1

玄海原発 排水口

集団的自衛権で高まる危険性
 5年ほど前、川内原発の啓発施設「川内原子力発電所展示館」を訪ねた折のこと。説明役の九電関係者に、川内原発の全体模型はないのかと聞いたところ、「テロ対策のため、模型はおいておりません」という答えが返ってきて、仲間と苦笑したのを覚えている。グーグルアースの衛星写真で、原発敷地内の位置関係を確認していたからだ。滑稽というしかなかったが、電力会社のテロに対する意識はその程度。おそらく、状況は何も変わっていないだろう。

 集団的自衛権を行使するということは、米国とともに戦うという意思表示。関連法案が国会で改正された瞬間から、テロ組織のターゲットに、日本が加わるということを意味している。もし、真っ先に狙われるのが原発だったとしたらどうなるか――考えただけでもぞっとする。国民の安全を守るだの、美しい国をつくるだのと叫ぶ安倍首相だが、原発を推進し、テロ集団を招きよせるような所業が国益にかなっているとは思えない。原発警備の実態をみると、テロ対策も満足できない状況で、なにが自衛権だと言いたくもなる。これは、滑稽で済まされる問題ではないと思うが……。



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