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福岡市長選 保守票流動化の背景

2014年7月24日 08:15

 11月の福岡市長選挙で再選を目指す高島宗一郎市長の前途に、暗雲が漂い始めた。先週17日、太田誠一元農林水産相と山崎拓元自民党副総裁が、相次いで「高島再選不支持」を表明。福岡市を代表する保守政界の重鎮二人が、新たな候補者擁立の必要性に言及した。
 こうした動きとは別に、ともに保守系である福岡県議会議員の古川忠氏と、日本維新の会衆議院福岡県第二選挙区支部の支部長・頭山晋太郎氏が、市長選出馬を検討していることも明らかになっている。
 集票マシンとなるはずの自民党市議団も一枚岩ではない。いまや半数近くの市議が「反高島」(自民党関係者の話)。市議団の中から市長候補擁立を模索する動きさえある。前回選挙で高島氏に集まった保守の票が、流動化しはじめた背景は・・・・・・。(写真は福岡市役所)

議会軽視
 「議会軽視」――高島不支持を明言する政界関係者たちが、一様に口にする言葉だ。たしかに就任以来、高島氏の議会に対する冷たい姿勢は一貫しており、重要施策の実行にあたって事前に議会側の了承をとったためしはない。何かやろうという時には、記者会見で突然発表し、あとになって物議を醸すというパターンの繰り返し。「軽視」というより「無視」と言った方がよさそうな状況だが、これが3年半以上続いている。

 前回市長選で高島氏を推薦したのは自民と公明。とくに実質的に選挙を仕切った自民市議団には大きな借りがあるはずだが、市役所周辺の話では、高島氏には市議団に世話になったという意識自体がないのだという。ある自民党関係者はこう話す。
「市長選の最中、高島が何度も選対幹部に『選挙は大丈夫ですよ』『私が勝つんですから』と言うのを聞いた。“あんたたちの世話にはならない”と言わんばかりの傲慢な態度だった。自分の人気に絶対の自信を持っていたのは事実だろう。案の定、当選した途端に市議団との接触が少なくなり、いつの頃からか市議が電話しても出ようとさえしなくなった。確信犯的に市議との接触を避けたということ。“お前たちなんか必要ない”という意思表示だった。かわって高島の周りを固めたのは、北九州の息がかかった私設秘書や暴力団との関係が噂される会社社長など、胡散臭い連中ばかり。新聞やテレビが報道しないのをいいことに、お友だちを集めてやりたい放題が続いてきた。麻生(太郎・副総理)さんが後ろ盾だろうが、安倍総裁が応援しようが、ダメなものはダメ。この市長を担いでいたら、来年の統一地方選で泣きを見るのは市議団、ということになりかねない」

開く市民との距離
 高島氏は、「2元代表制」をまったく理解していない。市政運営を委ねられるのは市長だが、それをチェックするのが市議会。ともに有権者による直接選挙で選ばれている以上、体現すべきが「市民の声」であることは言うまでもない。議会の声は、市民の声でもある。しかし、「議会軽視」が、即ち市議らの後ろにいる市民をないがしろにする行為であることを、高島氏は認識せぬまま、好き勝手をやってきた。“自分は市議会より上”、そう思っているとしたら大きな間違いだ。

 議会軽視は市民軽視。その証拠に、高島市政について評価に値する施策があったかと問われれば、多くの市民は首をひねることだろう。高島氏は、観光やITに湯水の如く税金投入を行う一方、市民の暮らしには何の関心も示さなかったからだ。とくに、お年寄りのための施策については興味がないらしく、見るべきものが何もない。子育て支援も名ばかり。今年4月には待機児度をゼロにしたと自信満々に発表したが、依然として市内の未入所児童は1,000人以上。事の本質を承知せぬまま、パフォーマンスばかりに精を出しているということだ。

 先月23日の福岡市議会。平成22年に行われた福岡市長選の選挙公報に「未入所児童の解消」を明記していたことから、待機児童をゼロにしても「公約達成」とは言えないと指摘された市長は、「選挙公報は公約を書き写すものではなく、たくさんある中から切り取ってわかりやすく表現するもので、イコール公約ではない」と言い放った。これほど有権者をバカにした話は聞いたことがない。選挙公報に記された施策は、「公約」以外の何ものでもない。市内全戸に配布された選挙公報を否定するということは、有権者に対する背信行為そのものだろう。市民との距離は開くばかりだ。

 他にも市民との距離を示す逸話がある。高島市長は就任以降、市民グループとの対話を図るとして「たかしマルシェ」という対話集会を企画、平成23年度と24年度で計12回を開催した。2カ月に1回程度の割合だ。25年度からは、参加単位を市内の小学校区ごとに設立されている自治協議会にした「出前講演会」を行っており、25年度に14回、今年度は既に14回を開いたという。しかし、市内の小学校区は149。開催校区は全体の2割にも満たない状況だ。そうした中、ある区の自治協議会会長を集めた会議で、市長の出前講座申込みを募ったところ、希望校区はゼロ。シラケた空気が漂ったという。結局、区の会長会トップがいる校区と、市長側近議員の地盤校区で開催はしたものの、市長の不人気ぶりは歴然。自治協議会関係者や市職員の間で、先行きを心配する声が上がっていたという。

 ある自治協議会関係者は、突き放した形でこう語る。「若い市長さんの誕生で福岡市が良くなるのかと期待していたが、間違いだった。歴代の市長さんたちは、もっと地域と向き合ってくれていたが、高島さんには、自治協のことはもとより、地域を支える人たちへの配慮が欠けている。年寄りのことなんか歯牙にもかけていない。興味がない、ということだろう。高島さんが大事にしているのは芸能人や観光客、そして外国人。どうせ、呼んでも都合のいい話しかしない人だと分かっている。こんな市長の講演など、聞きたくもない」

 中堅の市職員は次のように解説する。「市長は、大勢の前に立ってパフォーマンスを繰り広げるのは大好きだが、ひざを突き合わせて市民と語ることを極端に嫌っている。人の話をじっくり聞くという、為政者としての心構えができていない証拠だろう。アナウンサー時代のことはよく分からないが、市長になってからの高島氏は傲慢そのもの。露骨に『自分の言うことに従え』、という姿勢が目立つ。市政運営も同じ。観光に施策の軸を定めたのが間違いだとは言わないが、足元を固めなければ意味がないことに気付いていない。国家戦略特区にしても、外国人を呼び込む施策というだけで、市民にどのような恩恵がもたらされるのか、きちんと説明できていない。安倍政権の尻馬に乗っただけで、本人がどこまで特区の意味を理解しているのか疑問だ。そんなことだから、職員から見放されているのは確か。10人中8人までは「歴代最低」と思っているのではないか。それほどレベルの低い市長さんだ。出前講座を希望する校区がないということは、市民も、そろそろ底の浅さが見え始めたということだろう」

「全力で市政に取り組む」???
 ところで、議会軽視の姿勢が如実に表れたのが、昨年10月に報じた市長のフィットネスクラブ通い(⇒「高島福岡市長 議会中にフィットネスクラブ」) 。なんと市議会決算委員会の分科会が開かれている最中、しかも市役所の業務時間中に、市内のホテルにあるフィットネスクラブで汗を流していたのである。呆れたことに、議会でこの件を追及された翌日、フィットネスクラブのプールにいる自分の裸を写させ、フェイスブックに投稿。次のような一文を記していた。 

全力で市政に取り組むため、時間を見つけては運動をしたり、体調管理に努めています。
ところが昨日、市長の出席予定のない分科会開催日にジムに行ったと共産党から批判されました。今朝の新聞はこれを受けて「議会開催中にフィットネスやサウナ」と書きました。見出しだけ見ると、まるで出るべき会議をサボってたみたい。議会の出席予定もなく公務もない日だったのに。
これからもしっかり体を鍛え、福岡市の発展のために全力を尽くします!

 また、市長の日程を管理している市秘書課は、昨年のHUNTERの取材に対し、次のようにコメントしている。「(市長は)土日なしに公務に出ている。日程をやり繰りしてリフレッシュすることも必要。市議会の分科会が開かれているが、直接市長自身が対応するものではない」

 市長も秘書課も開き直った形だが、これは通用しない。歴代市長は、議会の開会期間中、会議出席のあるなしに関係なく、市長室で時間を過ごすことがほとんどだったという。それだけ市民の代表である議会を重要視していたということ。裏を返せば、高島氏が二元代表制を理解していない証左でもある。

 問題は、高島氏側の言い分。高島氏本人は『全力で市政に取り組む』と述べ、市秘書課は『土日なしに公務に出ている』と言っている。じつはこれ、真っ赤な嘘である可能性が高い。その証拠となる事実を、明日の配信記事で報じる予定だ。



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