日本維新の会が、石原慎太郎元東京都知事を中心とするグループと、橋下徹大阪市長ら、大阪維新の会に近いグループとに分裂することが決まった。かねてから、旧太陽の党組と大阪組との間に確執があった維新だが、直接の原因となったのは、江田憲司氏が代表を務める「結いの党」との距離感の違い。「自主憲法制定」や集団的自衛権の行使容認にこだわる石原氏に対し、江田氏はむしろ護憲に近い立場。集団的自衛権にも慎重な姿勢を崩していない。結いとの合併を急ぐ大阪組に、石原氏がキレたということだろう。橋下維新は、政界再編に向けた動きを加速させそうだが、キーマンである江田氏の存在を「ブレーキになるのでは」(永田町関係者)と危惧する声もある。最近の江田氏のオフレコ発言を見ると、たしかに……。
番記者相手に言いたい放題
いまや政界再編のキーマンとなった江田氏だが、漏れ出したオフレコ発言の内容からは、危うさも伝わってくる。合併相手の維新については、言いたい放題だ。(以下、『 』内は江田氏のオフレコ発言)
『橋下は本当は退きたいんだけど、大阪組が“橋下じゃなきゃ駄目だ”と言うから共同代表になる可能性はある。石原共同代表なんて絶対にない』
『幹事長は松野で決まり。松野は完全に政局の人だから政策のことはよくわかっていないし、そもそも右翼。そして数がほしいから党内をまとめようとしている。でもそれでいい。僕が持っていないものを持っている。バランスが取れている』
『合流時期はお盆前までに。通常国会中は控える。国会が終わったら一番効果的なタイミングで合流する』
『自主憲法制定はもう話はついていて、結いの党に回ってきたところで撃ち落とす。維新で自主憲法制定なんて思ってるのは5人ぐらいしかいない。憲法は自主憲法制定じゃなくて、憲法改正で落ち着く』
『うちは政策で一切譲るつもりはない。 げたの雪みたいについてくるかどうか。ついてくるならついてくればいい。ついてきちゃうんじゃないかなぁ。藤井孝男なんかは今ごろ不安で仕方ないんじゃないか。連休中に鳩首会議でもなんでもやるだろう』
一連の発言は、先月初旬のもの。いくらオフレコ発言とはいえ、漏れ出すことは永田町の常。聞いた石原氏や旧太陽の党組ははらわたが煮えくり返る思いだったろう。
いささか傲慢さが鼻につく江田氏。民主党については上から目線全開だった。
『とにかく今の民主党執行部を変えなきゃ駄目だ。何もできない。僕は岡田・野田でもいいし、前原・細野でもいいけど、とにかく執行部を変えろと言っている。若手に両院議員総会を聞くように仕向けないといけない』
『民主党丸ごとはできない。園田さんは「岡田、野田とかとも」って言ってるが、それは出来ない。石原さんはそのときは自分が前面になんて言ってるがそんなの出来ない』
『先週、岡田さんと飯を食った。岡田、野田との会合も定例化したからまた連休明けに飯を食うんだけど、あの2人と会うといつも選挙協力の話だ』
古巣の「みんなの党」についての見立てはこうだ。
『みんなの党は8割はうちに来るだろう。結いと維新が合流する時に来るかどうか彼らは決断を迫られる。今は八方美人みたいなことを言ってるが、みんなの党にいたって与党にも野党にも相手にされない。もう渡辺喜美についていくのは5人ぐらいしかいない。あの松田公太だって見限ったって話だ』
守秘義務違反に問われないのか、こちらが心配になったのが、次の発言。
『長谷川(内閣官房参与)は3年上、秘書官の今井は僕の3年下だけれども、長谷川に聞いたが「総理はもう二度と靖国には参拝しない」と言っていた。
『飯島さん(元小泉首相秘書官)について、「なんで内閣官房参与にしているんですか?」と聞いたんだよ。そしたら「飯島さんは野に放つと政権批判をするのでやっかいだから、だからあえて参与になってもらった。総理も我々も別に飯島さんを頼ったりはしてない」と言っていた』
『少なくとも僕が首相官邸にいたとき、国内にCIAのエージェントがいたんだけれども、そういうルートを通じて、詳しくは言えないがめぐみさんが北朝鮮圏内のどこかの2階に住んで生きているという情報があった。その後、森総理が日本人妻一時帰国事業で、めぐみさんを偽名にして他の日本人妻と一緒に帰国させる話までやっていた。それから途絶えた。だから少なくとも僕が知る限り、97年にはめぐみさんは生きていたし、森総理の時にも生きていた』
口は災いの元というが・・・・・・。