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鹿児島県議会に問われる良識
地元町内会が県営住宅問題で公開質問状

2014年6月17日 07:25

 鹿児島県(伊藤祐一郎知事)が、鹿児島市松陽台町で進める県営住宅の増設問題について、地元町内会が県議会議員全員に公開質問状を突きつけた。
 松陽台の県営住宅増設をめぐっては、県住宅供給公社から分譲地を買わされた住民の反対意見を伊藤知事が黙殺。議会側も度重なる陳情や要請を無視し、強引に事業が進められてきたという経緯がある。
 これまでの過程で、住民意見データの捏造や事業試算の不存在が分かっているほか、県が事業の根拠としていた「子育て支援」のための環境ではないことが、HUNTERの取材で明らかになったばかり。杜撰な計画に基づくムダな公共事業であることは誰の目にも明らかで、来年の統一地方選挙を前に、県会議員の良識が問われそうだ。

否定された「子育て環境」
ガーデンヒルズ松陽台 伊藤県政が県営住宅を増設しようとしているのは、県住宅供給公社が分譲地として開発・販売してきた「ガーデンヒルズ松陽台」の一角。公社が分譲するにあたって謳い文句にしてきたのは「最高の住環境」だったが、商業施設や集会所を造り、子育て世代にも配慮するという約束は、まったく守られていない。昨年2月、取材に応えた松陽台町在住の主婦は、「店舗、公共機関、金融機関、医療機関など一切なく、子育てを含め、社会環境が整っていない」と話していたが、この状況は県営住宅建設が始まった今も変わっていない。とくに問題なのは、子育てに関し、もっとも重要となる保育所や小学校がないことだ。松陽台町に住む小学生は、3キロ以上離れた小学校まで、“電車通学”を余儀なくされているのである。

 200人ほどの小学生たちが通うのは、「鹿児島市立松元小学校」。大半の子どもが地元の鹿児島本線上伊集院駅から一つ先の薩摩松元駅まで電車に乗り、その後学校に向かう。上伊集院駅の朝は、松陽台にある「松陽高校」に通う生徒たちが次から次へと降りてくるため大変な混雑で、小学生たちは身を縮めて乗車口へと向かうといったありさま。駅長さんも驚くほどの危険な状況だ(下の写真)。片道30~40分。到底、子育てに最適な環境とは言えない。現在建設中の県営住宅は、松陽台町のはずれ。さらに通学時間が長くなる。

上伊集院駅の混雑(2014年6月6日)

 増設される県営住宅への入居期間を、原則10年としたことも問題だ。小学校にあがるまでに6年。さらに小学校で6年。これだけで「12年」になる。県は入居期限の延長制度を設けるとしているが、≪小学校を卒業するまで入居可能な制度≫(県のホームページより)でしかない。“子どもが中学生になったら、出ていけ”という無責任な子育て支援に、税金投入の意味はあるまい。

地元町内会の公開質問状
 知事による強引な街づくり計画の変更、住民意見データの捏造、子育て世代をあざ笑うかのような現状無視の住宅建設……。地元自治会が、県政のチェック機能である県会議員に、考えを聞こうとするのは当然だろう。16日、松陽台町内会は、県議会議員49名(定数51・欠員2)に対し、次の公開質問書と添付文書を送付。見解を求めている。

公開質問1

公開質問2

 県が議会で公表した住民意見データの捏造問題、子育てには不適である松陽台の現状を指摘した上で、それでも県営住宅を整備するのかという、県民としてはあたりまえの質問。回答するのが政治家としてのつとめだろうが、自民・公明の県議たちが、まともに対応するかどうか注目だ。

 先月、原発再稼働に反対する運動を続けている市民団体「ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会」が鹿児島県議会議員に対して行った「要援護者を中心とした原発避難計画に対する公開質問」では、自民、公明の主要会派が、議員個々による対応を避けて一括回答。現状について尋ねた基本的な質問に「わからない」と答えるなど、無能・無責任を露呈したばかりだ。伊藤祐一郎独裁県政の追認機関といわれる鹿児島県議会のセンセイ方が、でっち上げ根拠によるムダな公共事業についてどう答えるか――。統一地方選挙を前に、品定めの格好の材料となりそうだ。



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