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鹿児島県議会 自民・公明の恥知らず

2014年5月29日 09:10

 原発再稼働に反対する運動を続けている市民団体「ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会」が27日、鹿児島県議会議員に対して行った「要援護者を中心とした原発避難計画に対する公開質問」の回答結果を公表した。
 きちんと答えた議員がいる一方、自民、公明の主要会派は、議員個々による対応を避け一括して回答。現状について尋ねた基本的な質問に「わからない」と答えるなど、無能・無責任を露呈。政治家としては0点の人間ばかりであることをさらけ出した。
 伊藤祐一郎独裁県政の追認機関といわれる鹿児島県議会が、改めてレベルの低さを証明した形だ。

質問は基本的な4項目
 「ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会」が県議らに行ったアンケートの質問は、たったの4項目。下がその内容である(以下、公開質問の内容や回答に関するデータは同委員会の提供)。

質問1 施設や病院にいる要援護者の避難計画は十分だと思われますか?
ア 十分   イ 不十分  ウ わからない 

質問2 川内原発事故が起こった場合、要援護者は避難できると思われますか?
ア できる   イ できない  ウ わからない 

質問3 避難計画と川内原発再稼働の判断には関係があると思われますか?
ア 関係ある  イ 関係ない  ウ わからない  

質問4 県議会での再稼働への対応について、現時点でのお考えをお聞かせください。
ア 避難計画を優先する  イ 再稼働を優先する  ウ わからない

 鹿児島県は現在、原発から30キロ圏内にある自治体で、川内原発1、2号機(薩摩川内市) の重大事故を想定した避難計画の住民説明会を順次開催しており、質問1と2はこの内容に関するもの。県政をチェックする役割を担う県議会議員なら知っていて当然の話だ。日本語が理解でき、計画内容を検証する能力があれば、十分なものかどうかの判断もつくだろう。避難計画が不十分なら人が死ぬわけで、原発再稼働が許されないのは子どもでも分かる理屈。質問3と4では、政治家としてはもちろん、人としてまともかどうかが問われたというべきだろう。

回答結果は…
 この簡単なアンケートに対する県議側の回答は、次のようなものだった。(『 』内は会派もしくは議員の意見)

【自由民主党鹿児島県議会議員団】
 議員個々(35名)ではなく、会派で一括回答。質問1~4に対しては、すべて「ウ」=「わからない」と回答。会派の意見は次の通り。
『設問の内容は、いずれも、個別的又は総合的判断が重要であることから、現時点において単純にアまたはイを選択するのは困難であり、よってウと判断せざるを得ない。ただし、「わからない」ではなく、県議会の本会議や特別委員会の中で十分な審議が尽くされた中で明確になるよう、最大限努力していきたいと思っておりますので、現時点としては、「判断できない」と回答せざるを得ません』

【公明党鹿児島県議団】
 議員個々(3名)ではなく、会派で一括回答。質問1~4に対しては、すべて「ウ」=「わからない」と回答。会派の意見は次の通り。
『現時点では判断できない。今後、本会議、委員会などで議論しながら判断してまいりたい』

【県民連合】
・福司山宣介 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『要援護者計画は再稼動の判断材料とすべきであり、議会でも主張しています』。

・遠嶋春日児 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『川内原発が全国の原発に先駆けて審査されていますが、理解ができないところです。活断層といい、火山活動といい、全国で最も厳しい立地条件にあると思います。また、3月議会で「障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例」が可決されました。皆が平等に生活することができるために、合理的配慮が義務付けられています。避難の件でも当然考慮されるべきです』。

・前野義春 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア

・桃木野幸一 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア

・柳 誠子 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『福島原発事故で明らかなように、要援護者はおろか住民すべてを危険にさらす原発の再稼働には絶対反対です。事故の究明もされない中での原発によるエネルギー政策の推進は国民の生命を軽んじているとしか思えません』。

・青木寛 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『脱原発社会を実現するためには、先般政府が決めたエネルギー計画を抜本的に見直すべきです。そのためには政治の役割が重要です。一方で、原発が稼働していない現状では、石油や天然ガス等の輸入により5兆円以上の国富が国外に流失し続けています。またCO2問題もクリアできません。原発再稼働なしで再生可能エネルギーの普及確立のためには、国民の理解と協力や電力会社等への国の支援が求められると考えます』。

・二牟礼正博 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『①病院や福祉施設の要援護者避難は、同規模の施設と機器が必要であるが、それは現実的には「不可能である。②福島原発事故の事故原因の究明も不十分で、安全性の保証もできない中での再稼働には反対である。③太陽光発電や燃料電池などを中心としたスマートシティへの政策転換で原発に頼らないエネルギーは実現できる』。

【日本共産党県議団】
・松崎真琴 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア
『福島原発事故の収束もないうちに原発の再稼働などありえません。まして、要援護者を含めた住民の非難計画もできておらず、再稼働など論外です。県議会の中で、住民の安全と暮らしを守る立場で、再稼働を許さない論戦を展開して奮闘する決意です』。

【無所属】
・下鶴隆央 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―ア

・柚木 茂樹 質問1―イ 質問2―イ 質問3―ア 質問4―イ
『再稼動は安全基準を国が保証してのこと。脱原発の立場だけれども、原発に替わるエネルギーの開発を急ぐべき。この質問の形式だと、要援護者のみに限定されていて、再稼働を優先するとすることへの矛盾を導くことになるのでは』。

・田中良二 無回答 無回答 無回答 無回答
『所管委員会の質疑等を経て判断いたします』。

恥を知れ!自民、公明
 自民、公明は、ともに『現時点において』は、判断ができないと言い訳している。しかし、避難計画についての説明会は既に始まっており、この内容をチェックするのが県議としての務めだろう。現時点での計画が不十分なのかどうか、判断がつかないというのでは、歳費をもらう資格はない。会派の一括回答とはいえ、自民、公明合わせて38人の県議が、要援護者の避難計画について十分かどうか「わからない」と答えた形。無責任というだけでなく、無能さをさらけ出し、政治家としての矜持がないことを宣言したも同然だ。“恥を知れ”と言いたい。

 ただ、判断できないということは、十分ではないことを認めたに等しい。そうした意味で、自・公を含むほぼ全員の県議が、現在の避難計画に合格点を与えるに至っていない状況だと言えよう。

 原発から30キロ圏にある自治体は全国で130を超えている。しかし、半数近くの市町村で計画策定が遅れたり、不十分だったりの状況。実際の事故で、どこまで実効性があるのか分からないのが現状だ。そもそも、いったん原発で過酷事故が起きれば、大量の放射性物質がまき散らされ、住民は避難する時点でこれを浴びる可能性が高い。風向きや事故の度合いによって状況が変わるとはいえ、フクシマが示しているように、放射能被害は広範囲に及ぶのである。大規模な避難計画を必要とする発電施設は原発以外にはなく、火力発電所や水力発電所、太陽光や風力に避難計画など必要がない。避難計画の策定が求められるのは、原発に「絶対の安全」が担保できないからに他ならない。鹿児島県議会の自民、公明の議員たちは、この事実について反論ができるのだろうか……。



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