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「原発廃止」 ― 高校生がディベート

2014年4月10日 07:35

川内原子力発電所 「日本政府は、原子力発電所を廃止すべきである」――。原発再稼働が現実味を帯び始める中、原発の是非を討論の議題にする決定がなされた。しかも、原発賛成、反対に分かれて議論を戦わせるのは「高校生」。今年12月に開催される「第9回全国高校生英語ディベート大会 in 静岡」で、時代を担う若者が難しいテーマに挑む。
 テーマ決定までの経緯と、出場者の準備状況を聞いたところ、原発をめぐる議論の本質が浮き彫りとなった。
(写真は川内原子力発電所)

テーマは原発の是非
 12月13・14日の両日に静岡県浜松市で行なわれる全国高校生英語ディベート大会の論題が、「The Japanese government should abolish nuclear power plants.(日本政府は原子力発電所を廃止すべきである)」に決まった。高校生が「原発の廃止」についてディベートするが、この論題をどのような言葉で正式に表現するかは、多くの意見を受けて、募集要項の配布(6月)までに決するのだという。秋頃から各県の大会、11月にはブロック大会が開かれ、その上位チームのみが全国大会に出場するのだという。

 関係者の話によると、近い将来の脱原発ではなく、「即原発廃止」というテーマになる可能性もあるとされる。ディベートは、論点をはっきりさせるため、グレーゾーンを極力排除するものだからだ。文科省の介入を懸念する声もあるというが、意欲的な試みであることは言うまでもない。

 論題決定については、委員会が次の4つの論題の候補を選び、調査を実施して決したのだという。
(1) 積極的安楽死の合法化
(2) 地方分権と道州制の採用
(3) 原子力発電所の利用禁止
(4) 消費税20%
 いずれも、日本における重要政策がテーマだ。

 ちなみに、昨年の論題は「日本政府は輸入米の関税を撤廃すべきである」。TPP交渉が進む中、時宜を得た論題だったといえるが、原発を論題に取り上げる動きは、昨年からあった。

 関係者の一人は次のように話す。
「昨年、原発というテーマは次点だったんです。その理由は、極端に片方が有利に傾くため。ディベートの論題としてはどうか、ということで避けられたと聞いています。ただ、『原発の是非』の方が非常にわかりやすく、取り組みやすいテーマだと思います」。

乏しい推進派の論拠
 「片方が有利に傾く」とはどういうことか?ある高校で、ディベートの指導を行っている先生は、今回の論題についてこう述べている。
 「確かに、脱原発・反原発の主張は、安全性、核ゴミ処分場の問題など、論拠が多数。他方、否定派――つまり原発維持派が論拠を探すのには大変苦労しそうです。生徒から、どこにあたって論拠を探せばいいか聞かれ、とりあえずは原発再稼動を主張する日本政府(経済産業省)、電力会社、自民党、立地自治体(県や市)に尋ねてみるしかないだろうと返しました。しかし、国のエネルギー政策は、あまりに矛盾点が多く、言い逃れのような主張ばかりです。とてもディベートで使えるような代物ではないと思われます。原発維持の立場で、説得力のある議論を展開するのは、たしかに難しいでしょうね。これが原発の実情なんですね」。

 普通に考えれば、原発推進を叫ぶ論拠が極端に少ないということ。ディベートに臨む高校生にとっては、電気代が上がるだの、コストが安いといった幼稚な原発擁護論では、戦う道具にもならないのだ。

 高校英語ディベートは極めてシビアなもので、何よりも論理性やデータの信用性が問われるという。国や電力会社の発表に信頼性が失われた中、高校生が原発容認論を展開するには困難がともないそうだ。ともあれ、本来、このようなテーマは、もっと大人社会で論じられるべきものだと思うが……。



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