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「脱原発」と「東京五輪」 東京都知事選で踊る「元首相」たち

2014年1月21日 07:00

東京都庁 23日、いよいよ東京都知事選の幕が切って落とされる。真っ先に立候補を表明した元日弁連会長の宇都宮健児氏は、社民・共産党が推薦。対抗馬である舛添要一元厚労相を自民・公明の与党が推す。元航空幕僚長の田母神俊雄氏には、元東京都知事の石原慎太郎日本維新の会共同代表が応援団についた。
 当初は、この主要候補3人による争いと見られていたが、割って入ったのが「脱原発」を掲げた細川護煕氏と小泉純一郎氏の元首相コンビだ。永田町では「どうやら細川氏はすでに東京に事務所を借りているらしい」という噂が流れていたものの、実際に細川、小泉の揃い踏み映像が流れたことで、一気に知事選の構図が変わることになった。

「ノーイシュー」か「シングルイシュー」か
 細川・小泉コンビは「脱原発」を都知事選の争点に定めた。小泉氏が郵政民営化選挙で見せた、お得意の「シングルイシュー・ポリティックス(1つの問題のみをめぐる政治運動)」だ。これに対し自民サイドは「都知事選において国策で考えるべき脱原発はふさわしいテーマではない」という姿勢を示しており、対抗軸として「2020年東京オリンピック」を据える。

 選挙は本来、「政策」を掲げて行なわれるべきだ。しかし、これまでの都知事選は、知名度勝負の「ノーイシュー・ポリティックス」になりがちだった。そうした意味で、細川氏らが「脱原発」を軸に据え、有権者に知名度だけではない判断材料を与えたということには、一定の評価を下すべきだろう。

 ただし、今回のような短期決戦で、しかもシングルイシューともなれば、往々にして「政局」重視の選挙戦になる。有権者は目先の知名度や政局に流されず、各候補者が打ち出す「脱原発」「東京オリンピック」「社会福祉」「防災都市」「アジアナンバーワン経済都市」といった政策をしっかり吟味すべきだ。

自民が勝つには「東京オリンピック」しかない
 本来なら猪瀬前知事が東京オリンピックを成功に導くはずだった。つまり、東京オリンピックは、カネがらみで問題を起こした前知事の施策なのである。本来、これを引き継ぐのは、選挙に勝つための王道ではない。ただ、自民が推す候補者が勝ち、与党としての面目を保つには「東京オリンピック」を前面に押し出すしかない。オリンピックは都市開発を伴い、与党が推し進める「国土強靭化計画」とも連動するため、そこに理解を示す人物が都知事にならなければ都合が悪い。

4人の「元首相」
 都が主導する国家的プロジェクトとしての東京オリンピックは、ある意味、自民人脈で進められようとしている。その最たる動きが今月、「2020年東京オリンピック大会組織委員会」の会長に、森喜朗元首相を据えたことだ。しかし、オリンピックメインスタジアムとなる新国立競技場建設をめぐっては、巨額の予算や計画の杜撰さなどが多方面から指摘されている。その要因の1つに厳しい建設スケジュールがあり、それは森氏が「2019年ラグビーワールドカップを新国立競技場で開催したい」と望んだことから始まったとされる。“元首相”の影がチラつく現状だ。

 安倍晋三現首相も一度は辞任した“元首相”。小泉氏も細川氏も“元首相”。都知事選が「脱原発」対「東京オリンピック」になれば、森氏も含めて“元首相”4人が入り乱れて争う構図となる。これだけ“元首相”の動向が注目される選挙が、かつてあっただろうか。

<嵯峨照雄>



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