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高島福岡市長の危険な権力志向
― 「暗黒地帯」高島市政の現状(3) ―

2013年12月18日 09:25

高島宗一郎市長 高島宗一郎市長が、県警OBの副市長に、警察の力でHUNTERを押さえるよう、事実上の指示を出していたことが明らかとなった。報道機関出身の市政トップが、警察権力を使って言論・報道の自由を奪おうという、前代未聞の愚行だ(昨日既報)。
 市長が問題発言を行った幹部会議に参加した関係者が、庇うどころか、そろって当時の状況を証言した意味は大きい。市職員の多くが、市長の人格、市政運営の方針に反発を抱いている証左なのだ。故・進藤一馬市長以来、桑原敬一氏、山崎広太郎氏、吉田宏氏と福岡市のトップを見続けてきたが、歴代の中で、これほど低レベルな市長はいない。改めて、問題の背景を検証する。

危険な権力志向―弾圧対象は「市民」
 幹部会議に参加していたのは、高島氏を除いて3人。このうち2人が市長発言の内容を認めている。「県警に言って、HUNTERをなんとかできないの」――誰が聞いても、警察権力を以って、報道機関をつぶせという指示。北朝鮮と変わらぬ恐怖政治だ。市民の目の届かないところで、権力志向をまざまざと見せつけた形の若い市長に、150万都市の舵取りを任せたのは、間違いだったということになる。

 権力を使って市民を弾圧する市政運営の手法は、別のところでも使われていた可能性がある。今年7月、不透明な移転計画が社会問題化した、認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の新築工事着工の際のこと。市長判断による強行着工に反対していた在園児保護者会の人たちを、所轄署の警察官が逮捕する構えだ、という噂が広まった。“着工を邪魔すれば、微罪でも何でも引っ張ってしまえ”という雰囲気だったともいわれる。幸い、県警本部の知るところとなり、暴走が止められたというが、事実ならとんでもない話である。もちろん保護者会側は、工事の邪魔など行なっていない。

 伏線はあった。着工直前の7月12日、市長は市役所の隣にある所轄署を訪れている。中央保育園の移転予定地周辺における交通安全と治安対策についての要望だったとされるが、この前後、県警OBの副市長が何度か同署側と接触していたとされる。市側が、保護者らに対する断固たる処置を要請したとの見方もあり、事実、その後に所轄が「逮捕も辞さず」という姿勢を見せていることが、報道各社の取材網にかかっていた。県警出身の副市長と所轄署の所長は懇意だと言われており、市長‐副市長‐所轄の署長というラインで、ことが動いた可能性を否定できない状況だ。「反対勢力は許さない」、これが高島市政の実態だとすれば、治安維持法の時代と何ら変わりがない。

情報統制
 恐怖政治につきものなのが「情報統制」。今年8月にはじまった、市役所内部のインターネット閲覧制限がその典型例だ。市OBや現役職員からの情報によれば、「閲覧制限の狙いはHUNTER」ということだった。たしかに、市長は「「HUNTERを見るな」と連呼していた時期があるほか、「市のパソコンからHUNTERを締め出せ」という指示を出したともいう。

 だが、ある市職員は次のように話している。「閲覧制限の本当の狙いは、HUNTERをはじめ、市長に批判的な記事を書いている記者に、だれが情報を流しているかを探ることにある。市長周辺は、HUNTERのスクープが市職員から漏れた情報に基いていると睨んでいるからだ。総務企画局長に閲覧制限の対象を決める権限を与えたことは、職員の生殺与奪の権限を持たせたということ。さらに重要なのは、閲覧記録が残るということだ。HUNTERの記事を読んだ職員は、すぐに割り出せることになる。現に、市内部ではHUNTERの市関連報道が配信される度に、“犯人捜し”が行われている。HUNTERのサイトに頻繁にアクセスしている職員がいれば、真っ先に疑うだろう。市役所の中にゲシュタポ組織があることを、多くの職員が知っている。県警OBを副市長に据えた狙いは、じつはそこにある。大野さん(副市長)は、そのトップだ」。

 権力志向、警察OBの登用、情報統制、警察を使った弾圧・・・・・福岡市民は、そろそろこの若い市長の実相に気づき始めている。



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