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伊藤鹿児島県知事と徳洲会 親密関係の新たな証拠

2013年12月 6日 07:40

 今年9月、伊藤祐一郎鹿児島県知事が初当選した平成16年の知事選で、徳田毅衆院議員(鹿児島2区)の選挙をめぐる公職選挙法違反事件で強制捜査の対象となっている医療法人「徳洲会」から、選挙支援を受けていたことを報じた(24日配信)。さらに10月2日、この時の選挙で、知事が徳洲会所有のセスナ機を使い、離島における選挙運動を行っていたことを報じている。
 徳洲会の飛行機利用については、11月末になって地元紙をはじめ各メディアが取り上げたが、伊藤知事は「(選挙運動としての)経費は発生しない」として、問題なしとの見解を示している。徳洲会とのその他のつながりを否定して見せた形だが、新たに分かったいくつかの事実から、発言の信憑性が疑われる状況であることが分かってきた。

「徳洲新聞」で総力支援誇示
徳洲新聞 徳洲会が伊藤知事の選挙支援について明記していたのは、同グループ内向けに発行されている「徳洲新聞」の2004年(平成16年)7月26日号。 「皆の応援が当選に結びついた 参議院議員選挙と鹿児島県知事選の結果」と題された記事で、知事選の総括を行い、徳洲会の力を誇示していた。

《鹿児島県知事選では、 徳洲会グループと自由連合が推す新人で元総務省総括審議官、伊藤祐一郎氏(無所属)が他の3候補を破って初当選。選挙中は徳田秀子、徳田毅の両徳洲会理事をはじめ、自由連合鹿児島、奄美の両本部が総力を挙げて応援に走り回った。》
(徳洲会HP⇒http://www.tokushukai.jp/media/shinbun426.html

初当選の5日後、秀子容疑者と奄美へ
 同年の知事選は、7月11日投・開票である。知事は、選挙でのセスナ利用について、徳田虎雄前理事長の妻で、公選法違反容疑で逮捕された徳田秀子容疑者が、知事の選挙応援のため奄美群島の島々を回る際に、「便乗させてもらっただけ」と主張している。しかし、単なる便乗では終わらなかったことが、その後の徳洲新聞の記事で明らかとなった。徳洲新聞2004年(平成16年)8月2日号( NO.427 )の鹿児島版には、『鹿児島県新知事 伊藤祐一郎氏が奄美を訪問』と題して、次のような記事が掲載されていた。

《7月16日、先の鹿児島県知事選で当選を果たした伊藤祐一郎氏が奄美を訪れた。最初の訪問地は徳之島で、徳田秀子・徳洲会理事も同行した。伊藤氏は昼過ぎからホテルニューにしだで開かれた「県政と奄美の将来を語る会」の発会式に出席。徳田理事、鹿児島県県議でもある栄和弘・同会会長代行、大園清信鹿児島県県議(自民党)、伊藤祐一郎氏がそれぞれ挨拶を行った。

 その後、伊藤氏らは奄美大島に移動。午後7時半から名瀬市の奄美観光ホテルでも開かれた同会の発会式に出席。徳田理事、栄会長代行、大園県議、川畑宏友・龍郷町町長、治井文茂・伊藤祐一郎奄美地区後援会会長が挨拶に立ち、大和村村長、瀬戸内町町長、名瀬市助役、笠利町助役、本場奄美大島紬協同組合理事長、本場奄美大島紬販売協同組合理事長など多数の来賓も参加した。

 栄会長代行は、「新しい県知事が選ばれたことで、鹿児島は大きく変貌していくと思います。これからの鹿児島と奄美の将来を考えるために、本会を急遽立ち上げることになりました。今後、一党一派にこだわらず党派を超えて会員を募り、会を大きく発展させたい」と決意を述べた。

 徳田理事は、「鹿児島が変わってほしいと思っている方々がたくさんいます。徳田虎雄代議士は中央で島嶼議員連盟の皆さまとともに、離島地区の住民の生活向上のために頑張っています。鹿児島のために、奄美のためにお互いが協力すれば、必ず良い結果が出ると思います」と会の今後の発展に期待を寄せた。》

 7月16日といえば、選挙のわずか5日後。知事は、この時期にわざわざ徳田氏の地盤である奄美を秀子容疑者とともに訪れ、「県政と奄美の将来を語る会」の発会式に臨んでいるのである。初登庁が同月28日であることから、知事当選後、急速に徳田氏側と知事の絆が強まっていった証左でもある。この時の「徳之島」から「奄美大島」への移動は、徳洲会のセスナを利用したものではなかったのか。当然、知事には説明する義務があるだろう。

 「県政と奄美の将来を語る会」発会式では、徳田秀子容疑者が挨拶したとの記述がある。肩書は「理事」。つまり徳洲会を代表してのことだ。初当選した伊藤氏を利用し、地元有力者に徳洲会と県知事の親密な関係を誇示する狙いがあったと見るのが自然だろう。知事が徳洲会側の思惑に乗って動いていることから、「断りきれない理由」があったとの推測も成り立つ。

通らぬ言い訳
 徳洲会のセスナを利用したことについて、知事は「こちらがお願いしたわけではなく、経費は発生しない」と述べているが、お願いしたかどうかは問題ではなく、セスナに乗ったか乗らなかったかが問題。結局知事は徳洲会のセスナを利用し、選挙運動を行っており、当然ながら「選挙運動費用」が発生する。通常なら、セスナ利用区間を運行している民間航空会社の運賃を算出し、この分を徳洲会からの無償提供の「寄附」として計上すべきだろう。徳洲会のセスナがなければ、知事が奄美地方の島々を遊説する際、民間航空会社の飛行機か、船便を使うしかなかったのである。その分の経費が、消えてなくなるはずがない。

 知事は、会見で平成16年の知事選前に徳田虎雄氏に会ったのかと聞かれ、こう答えている。「選挙の前は一切ない」。たしかに、選挙の前にはないかもしれない。しかし、HUNTERの取材に応えた関係者の証言で、知事が就任後に徳田前理事長夫妻と飲食をともにしていたことが判明している。徳洲会との関係が、いかにも薄いものだとして逃げようとした知事だったが、その言い訳は通用しない。

鹿児島市谷山に800床の徳洲会病院計画
 知事は、徳洲会に対し、県政運営で見返りを図ったことはあるかと記者団に聞かれ、
「全くない」と答えている。しかし、徳洲会は鹿児島市の谷山地区に、800床の巨大病院を建設する予定とされ、反発する地元医師会との調整が続いている。県医師会の会長は、伊藤知事の後援会会長。地元の医師会関係者によれば、医師会長は、知事の前では徳洲会に好意的な言動が見受けられるという。医師会と徳洲会は犬猿の仲。普通なら徳洲会の病院計画に反対するはずだが、どうも様子がおかしいのだともいう。
 知事が直接手を下さずとも、後援会長を使って徳洲会に事実上の便宜を図ることも可能ということだ。

 谷山といえば、この地区には、本土にありながら奄美の自然や文化、生活に触れられる名所「奄美の里」という施設がある。奄美といえば「大島紬」の本場。「奄美の里」も大島紬の展示などを売り物にしている。知事夫人は、ここ一番で、大島紬をまとうことが知られているが、高いもので数百万円と言われる大島紬を、どうやって入手されているのか、是非聞いてみたいものだ。そういえば、奄美は徳田一族発祥の地。そして谷山には、徳田毅議員の事務所がある。



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