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迷走する市役所 SNS利用促進⇒一転「制限」
― 「暗黒地帯」高島市政の現状(2) ―

2013年11月29日 09:15

福岡市・ネット閲覧制限 福岡市(高島宗一郎市長)が今年8月から始めた庁内パソコンのインターネット閲覧制限強化。制限対象はブログ、金融・投資情報から芸能、スポーツ、映画・演劇、グルメへと拡大され、はては市政記者クラブ加盟社以外のメディアによる報道やFacebook、twitterといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)まで締め出してしまった。
 制限を受ける側の職員から、業務遂行上のマイナスを指摘する声があがる中、HUNTERに送られてきたメールで、就任当初の高島市長が、Facebookやtwitterの利用を奨励するため、大々的な研修をやっていたことが明らかとなった。
 SNSの活用促進を呼びかけながら、都合が悪くなると「制限」。思いつきで市政を動かす高島流に、反発する職員の数が確実に増えている。

閲覧制限に批判のメール続々
 市職員からは、HUNTERに対し、閲覧制限に対する様々なご意見メールが届けられてきており、その数はすでに100を超えている。いずれも今回の愚行に対する批判ばかりだが、代表的なものを紹介しておきたい。この1件のメールが、大方の意見をまとめたような内容だったからだ。以下、原文のままである。 

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【市職員ですが、HUNTERの記事を締め出すことが狙いかどうかはわかりませんが、一連の記事にあるように、正直、職員みんな疑心暗鬼になって、「確認画面」があると、業務に関係あるだろう、と思っても、躊躇しています。長い目で見て、これは良くないです。

 また記事で初めて知りましたが、総務企画局長の胸先三寸で良い悪いが決まるというのも気持ち悪いですね。これだと、特定の職員を「処分」するのに濫用されかねません。

 たとえば、業務に関係ある専門知識に関わる本について調べるときに、専門書を取り扱うサイトにアクセスしたら、以前は大丈夫でしたが、そこがそういった本の通信販売をしているところであるためなのか(「オンラインショッピング」に引っかかるのでしょうか?)、「確認画面」どころか、そのサイト自体が閲覧禁止になっていました。そりゃないだろう、と何度かアクセスしてしまっているため、それをチェックされていると思うと、非常に不愉快だし、気分が悪いです。

 一連の記事のように、記者クラブ以外の「ニュース」について、いちいち「確認」しなければならないというのも、本当に意味が分かりません。福岡市に関わることについて、福岡市政記者クラブ以外のメディアが報じることがあるはずだし、市政の非常に多様な業務内容に関わることについて、市政記者クラブだけの記事以外にも有用な記事があるはずですし。

 ブログ閲覧を禁止ないし制限しているのですが、これで市議など、市に関わるブログまで対象になっているのはおかしな話です。市民のブログには、市政へのいろんな意見や反応があったりします。それも閲覧制限とか、どうかしています。

 また、FacebookなどのSNSを、原則禁止(公的アカウントの管理者の公的ページのアクセスのみはOK)にしていますが、これは、おかしいですね。そもそも、「情報発信」を公約の一つとして当選した市長が、まあ武雄市長の例は極端としても、今時、全面禁止にするのは、おかしいですよ。

 確かに、公的ネットワークから、かつ勤務時間内に私的話題の投稿などをするのはよろしくないと思いますが、ある事柄(公的、準公的イベントその他)の「宣伝周知」といった「情報発信」についても禁止するのはおかしいです。

 そもそも、FacebookといったSNS利用の効果として、友達の友達が、どんどん情報を拡散していくのが特性としてあります。だから、有用な情報については大いに利用すべきだし、公的ページに「情報発信」を書くだけでは、アクセスが広がらず、それを職員がシェアして「友達」に広げていくのが良いはし、手っ取り早い「口コミ」周知になるはずですが、そういう有用な効果も含めて、完全にシャットアウトしてしまいました。

 実は、(高島)市長就任直後の2011年度には職員の希望者を多く集めて、Facebookやtwitterの利用についての大々的な研修をやっていました。市長の「情報発信」という公約スローガンに沿ったものでした。その研修は、「広報戦略室」(当時は前身組織だったかも)が主体になってしています。その時は「とにかくどんどん利用しよう」ということでした。
 ただし一方では、「全庁OAシステム」を管轄する課の方の利用基準では、SNSは、「私的利用」であり、つきつめると良くないことになっていましたが・・・。

 いずれにしても、ちょと矛盾した状況になっていますね。今回の方針(決定)以来、Facebookに登録している職員の、Facebookの利用(投稿など)自体が減っていると思います。もちろん、今は私的な時間にのみで、そもそも公的ネットワークではアクセス自体できないことになったので各自の私的機器からのはずなので、別に極端に反社会的なことや、あまりにも品位のないことを書いたりしなければ別にいいはずですが、みんな萎縮しているというか、明らかに利用が減っていますね。良くないですね、これは。結果的に、職員のプライベートに影響しているし、これではモチベーションが下がります。いかにも「監視」してるぞ、というのもやはり気分が悪いです。

 もう一つ、職員の「ポイント制」というのも奇妙奇天烈ですが、これもちょっと職員個人個人を馬鹿にした話で、組合は抗議していますね。係長になっていない職員は、ベテランの総括主任も新人も、同じ「ポイント」とか。やる気をなくします。これについては、市職労に取材をされたらいいと思います。】

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 最後に記された職員の「ポイント制」ついては稿を改めて検証するが、それ以外の内容については、多くの職員が同じような意見を寄せてきている。まとめると次のようなものだ。

  • ネットにつなげば「確認画面」ばかりで、閲覧していいものかと戸惑うケースが多いこと。
  • 専門性の高い情報が、入手しづらくなったことへの懸念。
  • 総務企画局長の裁量次第で、閲覧の是非が決まること(恣意的運用)への疑問。
  • 職員を監視下に置き、情報統制する市の現状を憂うる声。
  • 問題点を報じない市政記者クラブへの批判。

SNS利用拡大で研修までやっていた
 今回紹介させていただいたメールで注目したのは、高島市長が就任直後、職員の希望者を集めて、Facebookやtwitterの利用についての大々的な研修をやっていたとする記述だ。調べてみたところ、この研修は事実で、市長発案によるものだった。市長は、Facebookやtwitterの利用を奨励しておきながら、一転して禁止したのである。自己都合で市政の運営方針をコロコロ変える高島氏に、反発が強まるのは当然なのかもしれない。やはりこの市政トップは「二枚舌」。その証拠はまだある。

自画自賛
 今年5月19日付の市長のブログには、「福岡市のLINE友達1万人突破」と題して次のような「自画自賛」が書き綴られている。

 《福岡市LINE@の友だちの数が自治体として初めて1万人を突破しました!

 このアカウントでは、市政情報や観光情報、PM2.5の予報など、みなさんに役立つ情報と思われる情報を発信しています。

 先日は人口150万人突破の報告をしましたが、ソーシャルメディアの分野でも福岡市は成長し続けています!

 私は、これからは自治体も発信力を高めていくことが大切だと思い、いろんな場所で私自身がプレゼンをするのはもちろんのこと、様々なソーシャルメディアの活用も進めてきました。

 twitterをはじめ、政令指定都市として初めてgoogle+ページ、tumblr、pinterest、フォト蔵、intely、ニコニコチャンネル、LINE@の公式アカウントの運用開始。

 市の様々なfacebookページを含めたソーシャルメディア全体では、6万を超えるフォロワーを獲得、そのフォロワーの数はなお増え続けています。

 では、なぜ、福岡市のソーシャルメディアは成長し続けているのか?

 そして、福岡市LINE@アカウントは、自治体として初めて1万人の友だちを獲得出来たのか?

 それは、行政の発信力を高め、より多くの人に伝えるために、時期を逃さず、直接新鮮な情報を届けようと、チャンネルを増やしてきたからだと思います。

中略

 今後も、ソーシャルメディアやそれ以外のメディアも活用し、行政の新たな情報発信の姿を目指して、チャレンジを続けて行きます!

 過去のやり方にとらわれず、社会の変化に対応していく力こそ、若い市長の強みと思うから!》

 高島氏の二枚舌に呆れる市民が増えているのは確かだが、市側に都合のいい情報発信を宣伝する一方で、内部の情報統制を図り、恐怖による支配を強める手法は、ナチスドイツか北朝鮮に通じるものがある。市長が《ソーシャルメディアやそれ以外のメディアも活用し、行政の新たな情報発信の姿を目指して、チャレンジを続けて行きます》と宣言した1か月後、まったく方向違いの「閲覧制限強化」の方針を決めているのだ(しかも罰則付)。それぞれの施策間に整合性がないのは、思いつきや自己都合で市政運営を続けている証拠。タチが悪いと言うしかない。



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