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福岡市・ネット閲覧制限の背景

2013年11月12日 07:50

福岡市・ネット閲覧制限 福岡市(高島宗一郎市長)が今年8月から始めた庁内パソコンのインターネット閲覧制限強化。制限の対象は、HUNTERをはじめとするネットメディアやブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にまで及んでおり、報道機関出身の市長が、税金を使って言論や報道の自由を否定するという滑稽な状況だ。
 問題は、閲覧制限強化のため、市側が動き出した時期。市への情報公開請求で入手した文書や取材によって、前代未聞の愚行に踏み切らせた背景に、HUNTERの「中央保育園」移転に関する報道があったことが分かってきた。

閲覧制限 方針決定は6月 
 市が開示した文書によれば、閲覧制限強化のために、市が方針を決定し、業務委託契約を結んだのは今年6月26日。相手先は庁内のネットワーク管理を年間約6,000万円(市側説明)で委託されている富士通(九州支社)。制限強化のため、わざわざ本来の契約とは別に110万2,500円をかけていた。下は業務委託にあたっての起案文書の一部だが、「業務内容」について、次のように記されている。

起案文書

保育園移転疑惑報道の直後に 
 たしかに、閲覧制限強化のための業務委託であったことが明白だが、この方針が決った「6月」という時期には重大な意味がある。
 HUNTERが、中央保育園の移転用地取得に関する疑惑について第一報を配信したのが6月12日。翌日には、視点こそ違うものの、西日本新聞も移転問題を取り上げている。この後、HUNTERは移転計画をめぐる様々な問題点について、立て続けに報じることになる。

 頭を悩ませた市執行部が、市長の「市のパソコンからHUNTERを見れないようにしろ」というかねてからの指示に、ネットメディアからブログ、はてはSNSまで、幅広く網をかける形で応えたということだろう。高島執行部にとって都合の悪い情報から、市職員を遠ざけるとともに、「閲覧履歴の管理」を前面に押し出すことで職員に脅しをかけるという、一石二鳥を狙ったものだったと見られる。

 ある市職員は次のように話している。「『HUNTERを見るな』から始まって、『見れなくしろ』と、市長の要求は段々と厳しいものになっていった。HUNTERだけを閲覧制限にかけるとういうのは無理があったが、全体の制限を強化する形なら、本当の狙いがごまかせる。年度途中のおかしな時期に、こうした予算をともなう施策を打ちだすのは珍しいこと。(閲覧制限強化に)踏み切らざるを得なくなったのは、HUNTERが中央保育園移転にからむ疑惑を追いかけ始めたからだった。それほど、市長にとっては保育園疑惑は痛いということ。現に、HUNTERの記事をつっかえ棒にした形で、保育園の保護者らが市長を刑事告発までしている。記者クラブの記者たちが何も書かないのは周知のこと。書いても少し圧(圧力)かければ、すぐおとなしくなるのが彼ら。だからあの手この手でHUNTERさえ押さえつければ、なんとか乗り切れると見ている。閲覧制限はその一つのアイテムに過ぎないのではないか」。

 たしかに、この職員は市中枢の話をつかんでいる。じつは、今回の閲覧制限は、高島市長が画策するHUNTERつぶしの一端に過ぎない。市長が何をやってきたのか―詳細について、来週にも報じる予定だ。



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