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福岡市長・高島宗一郎 「二枚舌市政」の証明

2013年10月16日 07:40

高島市長 福岡市中央区にある認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転をめぐり、先月25日、在園児保護者会のメンバーが、高島宗一郎市長(写真)を福岡地検に刑事告発した。罪名は背任。「不必要な土地取得を行い、市に損害を与えた」というものだ。
 今月9日には、移転用地の購入が違法な公金支出だとして、高島市長に取得費8億9,900万円を市に返還するよう求める住民訴訟を福岡地裁に起こしている。
 市政を揺るがし続けた「こども病院」の移転問題でも、立て続けに市長が訴えられるようなことはなかった。前代未聞と言っても過言ではない状況だが、保護者らをここまで追い込んだのが、高島宗一郎という未熟な政治家であることは疑う余地がない。
 その高島市長、こども病院の人工島移転を決める前提となった「こども病院移転計画調査委員会」(委員長:北川正恭早稲田大学大学院教授)で、中央保育園の移転で示した姿勢とは、まったく逆の主張を展開していた。“二枚舌市政”を検証する。

こども病院移転調査委・市長発言の問題点
 平成23年2月に開かれた、「こども病院移転計画調査委員会」の第2回会合。高島市長は、挨拶の中で次のように述べていた。

『とにかく今回の検証委員会でしたかったことは、すべてをオープンな場で議論するということです。前回は市役所内部だけの検証でした。これによって多くの方が傷ついています。例えば今現在こども病院に通っていらっしゃる方の中でも、現地に建てかえてほしいと思っている方はたくさんいらっしゃいます。そういった方は、どんな検証がされて、なぜ現地で建てかえができないのか、そのあたりも含めてもっといろいろなことが知りたい、どういった議論になったか知りたい、そこがわからない限り納得ができない。だからそういったものも内部だけでやるのではなくて、専門家を入れて、しっかり皆さんが見ている前で議論して決めていただきたい、そういった思いもありました』。

―中略―

 『議論がクローズの中で行われて、そして一体なぜそうなっているか、皆さんが納得できないままにいろいろなことが決まっていくということは、ほんとうに多くの方に不幸を呼ぶことだと思います。だから、いろいろな新しいチャレンジをして、取材もすべて自由にして、テレビも新聞もラジオも取材したかったら自由に取材をお願いします、市民の方もぜひ傍聴に来て、みんなが見ている前で議論しましょう、現地にいらっしゃることができない方には、インターネットでUstreamなどを使って生中継をします、そしてまたツイッターなども使って意見を反映させるなど、地方自治体としてできる限りの考えられる新しいチャレンジをいっぱいしています。専門家も入れて、そしてまたこの問題に関して、自分の子供の問題として一番心を砕いていらっしゃる患者家族の皆さんが、これまでは門前払いという状況でした。それではよくない。ぜひ中に入って、一番知りたい人が知りたいことをしっかりと検証してください。そのために取り組んだのが、今回の検証委員会という挑戦でした』。

 在園児保護者をはじめ、多くの市民が反対するなか、中央保育園の移転を最終的に決めたのは高島市長だ。この間、移転予定地の取得にからむ疑惑をはじめ、不透明な政策決定過程が浮き彫りになっている。計画に無理があったためだ。
 市立中央児童会館と保育園を合築して再整備するという従来方針を放棄したのも高島市長本人。彼が「商業施設」を優先した結果であるが、そのため不必要な保育園移転を強行せざるを得なくなった。
 それがどうだ。疑惑の中央保育園移転を決めた同じ年、高島市長は、政策決定過程の透明化について、得意げに持論を展開していたのである。

―《すべてをオープンな場で議論する》
―《現地に建てかえてほしいと思っている方はたくさんいらっしゃいます。そういった方は、どんな検証がされて、なぜ現地で建てかえができないのか、そのあたりも含めてもっといろいろなことが知りたい、どういった議論になったか知りたい、そこがわからない限り納得ができない》
―《議論がクローズの中で行われて、そして一体なぜそうなっているか、皆さんが納得できないままにいろいろなことが決まっていくということは、ほんとうに多くの方に不幸を呼ぶことだと思います》
 
 いずれも中央保育園の移転劇でみせた市政運営手法とは間逆。不透明を絵に描いたような事態を招来した張本人の言葉とは思えない。しかも、この調査委の議論が進んでいる真っ最中に、商業施設建設・保育園移転という計画を進めていたのだからタチが悪い。

二枚舌
 中央保育園に子どもを通わせている保護者のひとりは、高島発言を読んだ感想をこう話す。
「・・・・すごい内容ですね。正直、もう一度、この文章を声に出して、テレビに向かって話してほしいです。それにしても、同じ人の言うこと、やることとは思えない。まるで別人の話じゃないですか

 こども病院を中央保育園に、アイランドシティを移転予定地に、そし患者を園児と保護者に変換するだけで、現在、中央保育園で起きている「事件」と同じ構図になってしまいます。どちらも高島市長・作ですよね。こういうのが二枚舌と言うんでしょうね。

 高島さんが市長に当選した理由は、前市長の時代に、こども病院の移転問題に疑念を抱いていた多くの市民が、「この人なら!クリーンなイメージのあるこの人なら!」と思って一票を入れたからでしょう。そして、高島さんの公約は、情報発信やオープンな市政を売り物にしていたはずです。その延長線上に、子ども病院の調査委員会での挨拶があるんじゃないですか。なのに、最悪の状況と同じモノを自分自身が作っています。二枚舌というか、詐欺に等しい。

 そして、自分自身が責められる立場になれば、検証する組織すら設けようとせず、市民の税金を使ったもみ消しに必死になり、こども未来局に全責任を押しつけようとしているわけです。情けないです。本当に。市長として、男として、九州男児として、最低の人物ですね」。

議会軽視
 こども病院移転計画調査委の挨拶の中で、高島市長はこうも述べていた。

『まあ、既に議会では決まっていると言われれば、確かに決定はしました。でも私は、それでももう一度、この場で専門家も入れてオープンに議論した中で決めようではないか、それが新しい福岡市の第一歩になるのではないか、そういった思いでこの検証委員会を開いたわけでございます』。

 “議会が決めたことでも、自分がおかしいと思ったら再考する”、そう宣言した勇ましい言葉だ。ところが、中央保育園移転が社会問題化してからは、「議会で決ったこと」として逃げ回る始末。ここでも“二枚舌”が如何なく発揮されている。就任以来、一貫しているのは議会軽視の姿勢だけなのだ。

嘘つき市政
 現在開会中の福岡市議会の議論の中では、さすがに「議会が決めた」とは言えないらしく、中央保育園移転の経緯について聞かれた市長は、その都度「こども未来局」がやったことだとして責任逃れに躍起となっている。しかし、これも真っ赤な嘘。HUNTERの取材に応えた複数の市関係者の証言によって、中央児童会館と中央保育園再を合築して建替える計画を見直す際、市長が、「商業施設」の建設を最優先するため、新たな建物から両施設を排除するよう、こども未来局に指示していたことが明らかになっている。

 ある市幹部OBは、ため息混じりにこう感想を述べる。
「二枚舌というより嘘つき。自分がスポットライトを浴びるのは大好きだが、面倒が起きると全て職員に責任を押し付ける。中央保育園の移転は、市長が商業施設を優先しろと言った結果だ。それがバレたから今度はこども未来局がやったことだと言い出した。平成22年の市長選で、高島君はなんと言ったのか。情報発信だの開かれた市政だのと叫んだのではなかったか。しかし、一番不透明なのは市長自身じゃないか。民事裁判だけならまだしも、刑事告発までされて、福岡市政の歴史に泥を塗っただけじゃないか。職員の中から『早く辞めてもらいたい』という声が上がっているのは、当然のことだろう」。

 ここに来て、高島市長は全ての責任をこども未来局に押し付ける構えを見せはじめている。しかし、それは到底無理な話だ。現在、中央保育園が併設されている市立中央児童会館の建物を再整備するにあたって、「商業施設」を優先させる必要性も権限も、同局には一切ないからだ。すべては高島宗一郎という、二枚舌を持った市長がやったことなのである。

<中願寺純隆>



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