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みんなの党 分裂劇つづく

2013年10月15日 08:10

みんなの党 15日から臨時国会が始まるというのに、みんなの党の分裂劇は幕を下ろしそうにない。特に目立っているのが前幹事長・江田憲司氏の大胆な行動だ。
 江田氏は7日、細野豪志前民主党幹事長、松野頼久日本維新の会幹事長らと会合を持った。「以前から計画していた慰労会」と説明したが、新党構想について話し合ったと見られている。
 9日には前出2氏に加え、民主党、日本維新の会、みんなの党の中堅・若手からなる「DRYの会」のメンバーと会っている。出席者のひとり、民主党の笠浩史衆院議員は、「野党の連携をしっかりしないといけないという問題意識の下に集まった」と述べているが、新党を模索する集まりだったことは想像に難くない。
 「政党の体を成していない」(みんなの党所属議員)というみんなの党の内情は・・・・。

「政党ブロック構想」機関決定するも―
 翌10日、みんなの党の両院議員総会。事前に流れたのは「江田氏除名」の噂。こういう筋立てが存在したという。「柿沢未途氏の離党は、党内の手続きを経なかった。これが問題となり、15選挙区の地方議員から質問書が出た(みんなの党東京15区総支部の鈴木清人幹事長名で出された公開質問書のこと)。両院議員総会で江田氏の除名処分を決すれば、手続き的には問題はなくなる」(同党関係者)。

 ところが、案に相違して総会は何事もなく終わった。決ったのは江田氏の除名ではなく、各党が存続したまま連合を組んで政権を目指すという「政党ブロック構想」を党方針とすること。新党結成を完全に否定し、江田氏らの動きを封じ込めた形となった。

 総会の冒頭、挨拶に立った渡辺喜美代表は次のように述べ、江田氏とそのシンパを牽制した。「党外活動よりも党内の結束を図るべき時であります。まず、党内で結束を図り、党外活動はその後であります。この順序を間違えてはなりません。みんなの党では戦えない、などと称して、新党を作る。それも党外に向けて発信をする。こうしたことは正に党中党を作っていくものであって、許されるものではありません」。

止まらぬ江田氏の動き
 勝負あったと思われたが、その夜、江田氏は政党ブロック構想をあざ笑うかのような行動に出る。DRYの会に参加している民主・玉木雄一郎、維新・馬場伸幸氏と合流したのだ。DRYの会は、15日に「新しい社会保障制度を確立し、世代間格差を是正するための研究会」(新世研)の設立総会を開く予定で、事前の話し合いだったとする見方もある。

 一方、3者会合のことを聞いた渡辺代表は、腹にすえかねたとみえ、間髪入れず側近を江田氏のもとに送り込んだ。11日午後2時、浅尾慶一郎幹事長と山内康一衆院議員が横浜市にある江田氏の事務所を訪問したのである。

 同日夕、浅尾氏は衆院議員会館の自室でブリーフィングを行い、江田氏に対し、新党結成のために企画された会合に出席しないよう求めたことを公表。その後、江田氏も自室でブリーフィング。「新党結成のための会合には参加しない」と明言しながらも、他党の議員との接触については「基本的人権だ」として、これからも続ける意向を示した。江田氏のしたたかさだけが際立った形だ。

迷走
 実際のところ、渡辺氏が江田氏を切るのは難しい。江田氏は渡辺氏とともにみんなの党を作った創業メンバー。しかも党名の考案者だ。よほどの理由がない限り、出て行けとは言いづらい。江田氏のシンパも数多くいる。下手に手を出すと、所属議員がごっそり抜ける可能性も否定できないのだ。

 渡辺代表側にとって都合が悪いことに、ここにきて新たな「資金問題」が囁かれ始めている。
 ある同党関係者が語る。「8月に柿沢未途を離党させた時、実は渡辺氏から『手切れ金』が渡されたという話がある。借金があった柿沢氏が、しぶしぶながら離党に応じざるをえなかったのは、このカネのせいだというんだ」。
 たしかに当の柿沢氏、正当な手続きを経ずに事実上除名されたにもかかわらず、その後は渡辺氏に対する批判を控えている。「お金をもらっていれば、言いたいことも言えないだろう」(前出の同党関係者)。噂が事実なら、口をつぐむのも当然かもしれないが、カネの出所をめぐって、憶測が飛び交っているのである。この党には政治資金処理の不透明さがつきまとう。

 江田氏の場合、カネでは始末がつかない。離党の条件として渡辺代表サイドが金額を提示しても、一笑に付されるのがおちだ。渡辺氏としては、江田氏が反党行為を犯し、除名が可能となるまで待つしかない。渡辺氏と江田氏の「綱引き」が続くかぎり、みんなの党の迷走に終止符が打たれることはなさそうだ。分裂劇はまだ終わっていない。

 ところで、落ち目の時には悪いことが重なるもの。14日、兵庫県川西市のみんなの党所属市議が、飲酒運転で追突事故を起こし道路交通法違反(酒気帯び)の疑いで現行犯逮捕された。8月には参院福岡選挙区で落選した公認候補者が、公選法違反(買収、事前運動)の疑いで福岡県警に逮捕されており、同党の「質」の低さがうかがい知れる事態となっている。

<天城慶>



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