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福岡・疑惑の保育園移転に新証言 市長の背信明らかに
最優先は「商業施設」 子育て施設排除を指示

2013年9月17日 07:55

 在園児保護者をはじめ多くの市民が反対する中、市内中央区にある認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)を風俗街に移転させるよう決めた高島宗一郎市長が、この問題で重大な背信行為を行なっていたことが分かった。
 市立中央児童会館および中央保育園再整備の計画段階に深く関わった市関係者によれば、市長は平成23年、両施設を合築して建替える計画を見直す際、「商業施設」の建設を最優先するため、新たな建物から両施設を排除するよう指示していたという。
 これまでの市側の主張を覆す事実。待機児童解消を大義名分に掲げた今回の保育園移転劇が、じつは市長の無節操な施策立案に起因するものだったことが明らかとなった。市が購入した約9億円の保育園移転用地は、無用の買い物だった可能性が高い。

止められた予算執行
 HUNTERの取材に応えたのは、平成23年当時、市立中央児童会館と中央保育園の再整備計画に関与した市の関係者。話によれば、平成23年春、市長が「児童会館の建物は天神の一等地にある。商業施設にしないのはおかしい」として、すでに前年度に組まれていた両施設の再整備にかかる6,000万円近い予算の執行停止を指示。当該予算は、両施設の合築を前提に計上され議会承認も受けていたが、市長の強い意向を受けて再検討することになったという。

 下は、市への情報公開請求でHUNTERが入手した平成23年度の「歳出予算見積書」。たしかに「基本設計」に3,459万円、「代替施設の設計・工事費」に2,251万円、「解体設計」に332万9,000円の予算が計上されており、証言と符合する。

歳出予算見積書

子育て両施設の排除を指示
高島市長 当時、高島市長は商業施設に固執し、突然の方針転換に困惑するこども未来局や市幹部に対し、「ふたつ(中央児童会館と中央保育園)とも出してしまえ」と指示。子育て支援や待機児童解消のためにという発言は一切なく、商業施設の建設しか頭にないようだったという。この段階で市長は、子育て両施設を切り捨てていたことになる。

 これまでの取材で、方針転換を唱えたのが高島市長であることだけは分かっていた。天神地区の一等地ともいえる場所にある現在の建物を、児童会館と保育園だけに利用するのはもったいないという市長の考えから、商業施設を併設するよう方針転換したという別の市関係者の証言がある。新たな証言と一致しており、市長の独断で再整備事業の方向性が歪んだことはたしかだ。

必要なかった9億円移転用地
 改めて今回の市関係者の話をまとめると、次のような経過が浮かび上がる。

  • 市長の発案した商業施設建設を最優先させたため、それまで何年もかけて議論されてきた中央児童会館と中央保育園の合築計画を放棄。組まれていた予算の執行を停止。
  • 「ふたつ(中央児童会館と中央保育園)とも出してしまえ」との市長指示があったため、結果的に保育園がはじき出された。
  • このため、本来なら必要のなかった新たな土地取得が迫られた。
  • たまたま現在の移転予定地の面積が広かったため、「待機児童解消」が図れるとして現在の定員150人を300人に増やすということになった。

 「商業施設」の建設は、市にとっても市民にとっても喫緊の課題ではなかったはず。不必要と言っても過言ではない。求められていたのは“待機児童の解消”。それも、市側の資料で明らかな通り、40~50人程度の定員増で十分だった。それまでに積み上げられた方針・計画に沿って「合築」でことを進めていれば、新たな保育園用地を取得する必要はなかったのである。

 個人的な思惑から派手な商業施設に固執し、子育て支援という優先課題を二の次にした高島市長の市政運営は、市民への背信行為にほかならない。不動産業者を喜ばせただけのムダな土地購入だったことが証明されれば、「背任」の可能性も浮上する。

 次稿では、市関係者の話や取材を基に、再整備計画の詳細について検証する。



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