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福岡市が情報公開請求を放置 担当局長、条例違反認める

2013年9月 4日 08:35

 福岡市に対する情報公開請求が、市の担当局によって放置されていたことが明らかとなった。
 放置されていたのは、HUNTERの記者が先月9日と15日に行った計2件の情報公開請求。いずれも、福岡市中央区の認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転事業に関するものだったが、市側が請求に対する公開・非公開の決定期限を過ぎた後も定められた連絡を行わなかったため、宙に浮いた状態となっていた。
 2日、記者の催促で、事案処理が忘れ去られていたことが判明。翌3日に記者への説明にあたった市こども未来局の吉村展子局長は、「福岡市情報公開条例」に違反する事態であることを認め、高島宗一郎市長に報告した上で、対応を協議したいとしている。

条例違反判明までの経過
 HUNTERが福岡市に情報公開請求したのは、中央保育園移転に関連する次の2件。

①中央保育園の移転予定地について、不動産鑑定評価を依頼した際の決済文書にある
  「鑑定見込み額900,000,000円~1,000,000,000円」の算出根拠。

②平成25年7月17日付「中央保育園の移転について」(子ども未来局作成)で、幅広く色々なご意見を伺い」と
  ある中の「ご意見」が誰からのもので、どのような内容だったかを示す文書。

 福岡市の情報公開条例では、請求に対する公開・非公開の決定を、《請求があった日の翌日から起算して7日以内にしなければならない》と規定。事務処理上の困難その他正当な理由がある場合に限って、《請求があった日の翌日から起算して20日を限度として延長することができる》としている。
 また、決定の内容については、公開・非公開を問わず《速やかに、その旨を書面により通知しなければならない》と定めている。決定期限を延長した場合も同じ扱いだ。

 ①の算出根拠の請求は8月9日(受付日は12日)に、②の「ご意見」関連の請求は同15日(同日受付)に行っている。条例の規定に従えば、市は①について同月21日、②については26日に公開・非公開、もしくは決定期限の延長を決め、《速やかに》通知を出さねばならない。

 福岡市では、情報公開請求の内容について、事案の所管課が決定を行ない、決定期限の翌日、遅くとも翌々日までには請求者に対する通知を出している。このため決定期限の前後に請求者に電話連絡し、情報開示の日時などについて打ち合わせを行うのが通例だ。

 今回のケースでは、決定期限を過ぎても市側から何の連絡もなかったため、記者が9月2日になって市に状況を確認。担当のこども未来局保育課が「決済はとっているが・・・・」などと曖昧な受け答えに終始したため、改めて説明を求めることになった。

 3日、HUNTERの記者に応対した保育課長と決裁権者である吉村展子こども未来局長は、公開・非公開の決済は行っていたものの、担当職員が書類の管理を誤り、今回の事態を招いたと説明。情報公開条例に違反する行為であることを認めている。

 この日、市長名で提示された「決定通知書」の日付は、条例の規定とは相容れない『9月2日』。HUNTERの記者は、一連の説明に“納得できない”として決定書原本の受け取りを拒否。市長名での文書による回答を求めている。



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