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みんなの党 つづく有権者不在のドタバタ

2013年9月20日 07:55

公開質問状 柿沢未途衆議院議員が渡辺喜美・みんなの党代表から離党を強制されたのが8月23日。その約1か月後の9月17日、同党東京第15総支部から、代表の渡辺氏および同党役員宛てに、離党劇の経緯について説明を求める「公開質問状」が提出された。
 党内のゴタゴタで「公開質問」は異例。いったんは不満分子を押さえ込んだかに見えた「みんなの党」だが、騒ぎは終わっていなかった。
 有権者そっちのけで迷走する同党の内情は・・・・。

「公開質問状」
 そもそも柿沢氏の離党は不可解だった。酒気帯び運転で東京都議を辞職し、どん底にいた柿沢氏を国政に「すくいあげた」のが渡辺氏だ。みんなの党人気に乗って国政に転じた柿沢氏は、委員会での質問機会をぞんぶんに与えられ、自他ともに認める「渡辺チルドレン」に。今年5月の連休には、渡辺氏の「お気に入り」(同党議員)に混じって、2,000万円の巨費を投じた「党初の公式外遊」に参加していた。

公開質問状 ところが、8月7日の両院議員総会。幹事長を更迭された江田憲司氏とともに、柿沢氏も政調会長代理の職を解かれてしまう。渡辺氏の「寵愛」を失ったことを知った柿沢氏はうつむいたまま一言も発せず、総会が終わると涙を浮かべて足早に立ち去った。
 一方、江田氏の更迭に抵抗した井坂信彦衆院議員ら党内の不満分子は、新幹事長の浅尾慶一郎氏から呼び出しを受け、事情を聞かれるにとどまった。 

 ひとり重い処分を受けた柿沢氏だったが、9月2日の会見では、詳しい離党の経緯や背景について口をつぐんだままだった。渡辺氏とは、父親(故・柿沢弘治元外務大臣)の代からの関係。悪く言いたくなかったのかもしれない。

 だが柿沢氏の支援者たちの怒りはおさまらない。「誰とやるかではなく、何をやるかじゃないか!」(柿沢氏支持者)。他党との連携を模索した程度で離党させられるなど、支持者たちには到底理解できない。渡辺代表らに「公開質問状」(右参照)が突きつけられたのは、必然の流れだった。党内におけるゴタゴタで「公開質問」は異例。この党の不透明さを如実に示している。

有権者不在の醜態 
みんな.jpg 2008年に自民党を離党して以来、渡辺氏は政策重視の姿勢で党の結束を訴えていた。だが、その実態は建て前とはほど遠かった。
 「みんなの党ではなく、渡辺の個人政党だ」(同党関係者)―そうした不満が一気に爆発したのが、今年7月の参院選だ。不明瞭な候補者選定についてはかねがね不満がくすぶっていたが、選挙後、これを批判する複数の文書が渡辺氏のもとに届けられていたのである。

 8月1日付けで出されたのは、大阪府内の地方議員からの要望書だった。みんなの党は近畿で惨敗。その原因が候補者選定にあるとして、党本部に反省を求めている。
 同様の要望書は北関東地方の議員らからも提出された。こちらの内容はもっとなまなましい。「地元の女性候補が決められたが、私たちのよく知らない女性です。居住実体がなく、辞職させられた東京の女性区議とか、東京でも、事実ではないと思うが、記者会見で『アジェンダはまだ読んでいない。占いで、みんなの党に決めた』と言ったという候補がいたとか、マスコミからからかわれることが多々あった……(文章ママ)」。

 文面から察するに、批判の対象は党の重要事項に采配をふるう渡辺代表周辺。それが渡辺まゆみ代表夫人やその取り巻きを指していることは、党内は言うに及ばず、永田町関係者の多くが知るところだ。アジェンダの内容ではなく、ドロドロの人間関係が党内不和を招いており、「もはや政党の体を成していない」(同党関係者)という声も・・・・。有権者不在の「みんなの党」、どこまで醜態を晒すつもりなのだろうか。

 冒頭の公開質問状は、9月30日までに回答をよこすように求めている。渡辺氏に残された時間は少ない。

<天城慶>



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