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嘆くOB 福岡市の惨状

2013年9月11日 07:55

 HUNTERの記者による情報公開請求を受けた福岡市が、市情報公開条例に定められた公開・非公開の決定や、請求者への通知を放置していたことが、4日までに分かった。明らかな条例違反。市民の知る権利を侵害する由々しき事態に、市側の対応は遅く、現在に至るまで整合性のある説明もなされていない。
 あわてて作った「非公開決定通知」は宙に浮いたまま、市側が約束した市長名による回答も、いつになるのか分からない状況となっている。
 条例違反の原因を作ったのは、市内中央区にある認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転にからみ、噴き出した数々の疑惑である。
 こうした事態をどう見ているのか、市役所OBに話を聞いた。(写真は福岡市役所)

条例違反、報告上げず放置
 先週6日、市こども未来局長室での出来事。HUNTERの記者を前にした吉村展子局長が、情報公開請求をめぐる条例違反の件について、記者への謝罪文を差し出した。同席したのは同局の保育課長である。

 約束が違う。市長名で文書をもらうことになっていたはずだ―謝罪文を突き返した記者が、条例違反について高島宗一郎市長に報告したのかと尋ねたところ、局長は「まだです」。局長と話をしたのは3日の時点だったが、この間、市長とは会っていないという。
 言い訳を繰り返す局長に、市長と協議した上で回答するよう、再度依頼して局長室を出たが、その後市側からは何の連絡もない。これが福岡市役所の現状なのである。

 「中央保育園」の移転計画に関する情報公開をめぐっては、当初から市側の杜撰な対応が目立っていた。公開文書の不備、見落とし、さらには職員が勝手に公開する文書を選ぶなど、これまでの福岡市にはなかった行為ばかり。そして今回の条例違反だ。
 一体福岡市役所はどうなってしまったのか?騒ぎを見守る市役所OBたちに聞いた。

市OBの話
【市局長級OB A氏の話】
 明らかな“不作為”ですよ。公開するか非公開にするかの決定を、どの時点でやるかについては条例で定めている。それを怠ったというのだから、条例違反もさることながら、地方自治法上の問題でしょう。(市側は)問題を軽く見ているようだが、大変重い違反行為ですよ。これが許されるのなら、何のための条例かということになる。(HUNTER側は)市長名での文書を求めているようだが、決済はこども未来局が行っているので、なかなか出ないでしょう。高島さんもHUNTERには頭を下げたくないでしょうから。

【同 B氏の話】
 条例違反は明らかだろうな。処分なし、じゃ済まないでしょうよ。それにしてもお粗末。情報公開の請求があった場合、課内はもちろん、ものによっては部長、局長に話を上げるのが普通。ひとりの職員のミスというわけではなく、保育課全体が条例に対する認識を欠いていたことになるな。HUNTERの情報公開請求なら、局長にまで通っていた可能性もあるよ。一番やばい相手だから。今度は何を探られるのか、気になるところだからね。過剰に反応しているところを見ると、やっぱり何か裏があるんだろうね。本当に、子どもは置き去りだ。

【市職員OB C氏の話】
 職員のやる気が失せているから、仕方がないという感じも、ね。事件を起こしたとはいえ、(市長から)同僚を腐ったミカンなどと言われて気分のいい職員はいないでしょう。
 こども未来局は、一生懸命にやってるんじゃないかな。どこかで、市長と職員の意識にずれが生じちゃったんじゃないですか?前市政とは違う方向で走り出した市長に言われ、無理な土地選定までやってるようだし・・・。疑惑と言われりゃ疑惑だけど、否定する根拠を持ち合わせていないから、責められっ放し。とうとう裁判かよ、って感じでしょうね。おいたわしい。
 原因は市長にありますよ。高島市長の言動、施策の進め方、いずれも職員どころか市民不在じゃないですか。高島市政になって、市民の暮らしが良くなりましたか?なっていないでしょ。観光だのデジタルコンテンツだのにうつつを抜かしているけど、市民生活のことなんて、これっぽっちも考えていませんよ。出張ばかりで、市長の顔を見る機会が少ない市役所なんて、福岡ぐらいじゃないのかな?一体市長さんは何やってるんでしょうね。

【市部長級OB D氏の話】
 条例違反にも驚いたけど、一番まずいなと思うのは、中央保育園の施設整備補助金をめぐる選定委員会(「福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会」)の在り方です。持ち回りで結論を出していたなんて、知らなかった。信じられない。億単位の公金を動かすことになるわけですから、慎重に審議しているものと思っていたから。それが持ち回りとは・・・。よく議会で追及されないものですね。本来ならもっと騒ぎになってもいいはずだけど・・・。あ、いまの議会じゃ無理かな。高島市長は、税金の使い方について無関心だから、改善することはないでしょう。保育協会と御用学者、そして役所の馴れ合いでしょうね。これは止めさせないと、市民の信頼を失う。

【市課長級OB E氏の話】
 惨状と言うしかない。保育園移転に関する疑惑が噴き出したとたん、情報公開請求に対する業務を怠り、条例違反を犯した。隠蔽体質の中に、事件の臭いさえする。市長本人が関与した施策で、これほどお粗末な状況となった事例は聞いたことがない。隠された背景があると見るのが普通だろう。責任が市政のトップにあるのは言うまでもない。こども病院に続いて、保育園も裁判沙汰。福岡市は、子どもや親たちに合わせる顔がないのではないか。

 話してしてくれたのは、いずれもここ2年から5年の間に定年を迎えた人たちだ。中には、市職員としてHUNTERの記者と厳しく対峙した方もいる。そうした人から見ても、現在の福岡市役所の現状は歪んでいるのだという。
 最後に、もうひとりの局長級OB・F氏の話を紹介しておきたい。
「待機児童解消のため、保育園を移転させるという計画自体に異議を唱えるつもりはない。働くお母さんたちのためには、解決すべき喫緊の課題だからだ。移転先が風俗街だったことを、『絶対だめ』というつもりもない。他に土地がないのなら、やむを得ない場合もある。しかし、それが積み上げた結果だったら、という条件付の話だ。
 HUNTERの見立てに、少し違うと思うこともあるが、土地の選定に疑惑があることは疑う余地がない。市内の不動産会社に、保育園用地買収の計画が漏れていた可能性は否定できない。情報漏洩というより、儲ける機会を与えたと言うべきだろう。市が億単位の損をすることを承知で、ことを進めた人間がいるとすれば、背任の疑いも生じる。条例違反や不作為もたしかに大きな問題だ。しかし、背景にある用地選定の疑惑こそ、この問題の本質ではないか」。



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