福岡市が行っている実行委員会方式による事業の件数が、東京都の4倍もの多さに上っていることが分かった。
市では毎年、約150~190件の事業が同方式で実施され、9~12億円近くの税金が費消されている。他都市と比較するため、特に財政規模が大きい東京都の数字を確認したところ、なんと同方式の事業は毎年50件未満。支出される総額には違いがあるものの、福岡市の実行委方式事業がいかに多いかを示す結果となった。今年度も、同じ状況が続いている。
財政再建に向けて動きを加速させている福岡市だが、足下の改革には手をつけていない。
突出する福岡市の実行委員会方式事業
HUNTERは今年、実行委員会方式による事業に改めて注目。福岡市に対し平成20年度から25年度までの同方式による事業の名称と、それぞれの支出額が分かる文書を情報公開請求した。開示された文書から、年度ごとに事業件数と支出額をまとめると、次のような結果となる。
20年度(149件)・・・ 886,443,279円
21年度(160件)・・・ 903,357,278円
22年度(173件)・・・1,020,444,008円
23年度(169件)・・・1,000,692,286円
24年度(187件)・・・1,162,900,095円
25年度(164件)・・・1,030,648,349円(予定金額)
6年間で約60億円。少ない年度で149件、最も増えた年度では187件の事業が実行委員会方式によって実施され、年平均10億円もの税金が使われていた。
これに対し、東京都の同方式事業のうち、平成23年度と24年度の実績が分かる文書を都に情報公開請求し、入手した資料から件数と支出金額をまとめた。(右の表は24年度分)
平成23年度(46件)・・・1,759,804,526円
平成24年度(42件)・・・4,922,909,818円
平成24年度を見ると、第68回国民体育大会などの開催準備に13億円、五輪招致費用に17億、全国都市緑化フェアTOKYOに13億円など、巨額な支出があるものの、事業件数は福岡市の四分の一以下。件数的には毎年この程度で、福岡市の実行委員会方式事業の多さが際立つ結果となった。他の政令市についても調べてみたが、福岡ほど件数の多い都市は見当たらない。
実行委員会方式の事業をめぐっては、帳簿や領収書さえ揃わないという不適切な経理処理や、一般常識を超えた高額な職員報酬などの実態が明らかとなっており、こうした公費支出にそぐわぬ事業形態を放置したまま、新規事業を次々と立ち上げている状況だ。有意義であると思われる事業から、まったく無駄としか言いようのない事業まで様々。安易に実行委員会を作っては公費を投じるという状況が続いている。
会計上の制約が少なく、チェックも杜撰な各種の実行委員会は、市の第二、第三の財布と言われ、不正の温床にもなっている。市民の暮らしに必要な予算を削る前に、やるべきことがあるようだが・・・・・。