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原爆と原発

2013年8月 8日 08:50

 2年ぶりの長崎取材。市内松山町の平和公園では、原爆が投下された8月9日を前に「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」の準備が進められていた。
 毎年、広島と長崎で平和と核廃絶への思いを込めた式典が行われてきたが、激動する国際社会に通じたかというと、必ずしもそうとは言えない。
 核の怖さをもっともよく知るこの国でさえ、いったん事故があれば原爆同様に放射能被害をもたらす「原発」を動かし続けてきたのである。
 原爆が語りかける現実を、政治は受け止めているのだろうか。

増え続ける原爆犠牲者
 平和公園そばの爆心地公園には、浦上天主堂の遺構とともに、原爆落下中心地を示す御影石の碑。その前には原爆で亡くなった方々の氏名を納めた「原爆殉難者名奉安」が据えられている。昨年8月9日の時点で、その数「158,754名」。年々、刻まれる人の数は増え続けている。

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鹿児島 613.jpg 奉安の側面に映るのは、全国から寄せられた千羽鶴。多くの人たちが、平和への祈りを込めたものだ。

 ここでは手を合わせる人が絶えない。20代と覚しき女性がこうつぶやくのが聞こえた。「亡くなった人たちがかわいそう。私、平和な時代に生まれてよかったと心から思う」。

 別の老婦人。「たくさん死んだ。 戦争はだめよ。二度とごめんよねぇ」。戦前、戦中を知る世代の、共通した思いであろう。傍らに立つ男性が相槌を打つ。「ここに来んと(来ないと)分からんもんね。議員さんはみんなここに来にゃ」。右傾化する政治への警鐘に聞こえた。

 長崎市内には日赤の長崎原爆病院がある。半世紀以上を経たいまも、被爆が原因とみられる“がん”を発症するケースが絶えないという。時間をかけて人の身体を蝕む、放射能被害の恐ろしさだ。

原発
 平成23年3月11日、もっとも放射能の恐ろしさを知るこの国を、今度は原発事故の恐怖が襲った。

 事故を起こした福島第一を含め、地震大国であるこの国に、原発54基。「原爆をなくそう」、「核廃絶」などと叫びながら、自民党を中心とする政治家たちは、原爆と同じ危険性を持つ施設にせっせと予算をつけてきた。

 原爆も原発も、放射能被害をもたらすことに変わりはない。しかし、フクシマの現実を目の当たりにした後も、自民党は原発再稼働に向けてまっしぐらである。

 経済のためというが、命とカネのどちらが大切か。福島以後、政治に求められているのは、原子力に頼らぬ社会の構築だったはずだ。広島、長崎、そしていまなお多くの人たちが避難生活を余儀なくされている福島の現実が、そのことを訴えかけているのではないだろうか。

 長崎は明日、原爆投下から68回目の夏を迎える。



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