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「大阪維新」の四面楚歌

2013年8月22日 08:55

維新の会 みんなの党が分裂騒動で揺れる中、第3極の中心となってきた「日本維新の会」も、存在感を示せぬまま迷走状態が続いている。
 橋下徹共同代表の従軍慰安婦発言以来、支持率が低迷。党勢回復の兆しさえ見出せていないことに加え、「西と東は別の政党」(維新関係者)と言われるほど、大阪維新と永田町の国会議員団との意識がずれているのだという。
 事態は深刻で、足下の堺市長選での勝利を危ぶむ声さえ出る始末。敗れれば維新が「一丁目一番地」(大阪維新関係者)としてきた『大阪都構想』実現に赤信号がともるだけに、選挙戦の行方に注目が集まっている。

注目の堺市長選 
 9月15日告示、29日投開票の堺市長選。維新内部では、候補として読売テレビアナウンサーの清水健氏や衆院議員の馬場伸幸氏の名前があがったが、いずれも辞退。今月12日にようやく「大阪維新の会」で副幹事長を務めていた西林克敏市議が出馬を表明している。

 堺市は橋下徹共同代表が悲願とする大阪都構想を実現する上で最重要となる都市。市長選はどうしても落とせない。大阪府下の政令指定都市は大阪市と堺市だが、都構想はその大阪市と堺市を大阪府とくっつけて再編しようとするものだからである。

 だが現職の竹山修身市長が都構想に異を唱え、実現を阻む壁となっている。竹山氏は4年前の市長選で、自民党などが応援する現職を抑えて初当選。原動力となったのが橋下氏の応援だった。
 竹山氏が橋下氏に反旗を翻したように見えるが、実は都構想が出たのは竹山氏の当選後。その上、堺市は平成23年度決算まで連続32年の黒字を記録しており、合併によるメリットは少ないとみられている。

 現状では、竹山氏の再選を支持する堺市民の方が多いとする分析もあるほどで、市内で話を聞いても「なんで堺市をなくさないかんの?」(50代自営業男性)、「都になっていいことがあるとは思えない。橋下さんになって、大阪市の人の暮らしがよくなったという声も聞かない。堺を巻き込む必要はないでしょう」(30代OL)といった声も。都構想が堺市民の理解を得ているとは言い難い現状である。

四面楚歌
 一方、盛り上がらないのは維新の会内部も同じ。そもそも維新の会にとって市長候補の「本命」は、衆院議員の馬場氏だった。「馬場氏は堺市議会議長も務めた地元の大物政治家。しかも擁立しようとした清水氏に逃げられ、本来なら責任をとって自分が出馬しなければならなかったのに、それを果たしていない」(維新の会関係者)
 実際、松井一郎幹事長(府知事)は辛坊治郎氏を大阪府知事に擁立しようとして失敗し、その責任をとって府知事選に出馬した経緯がある。

 馬場氏が市長転出に二の足を踏んだのは、橋下氏の慰安婦発言による支持率低下があったせいだろう。この問題で維新の会の支持率が急落したのは事実。そればかりではない。堺市出身で日本維新の会から比例で当選した西村眞悟衆院議員が橋下氏をかばった時の発言で除名されている。堺市内の西村ファンはこれに激怒しており、こちらの票も望めない状況なのだ。

 橋下氏とコンビを組む松井氏も問題を抱えている。
 平成23年11月、松井氏の秘書と元秘書が、平成18年2月から同22年3月までの間、松井氏が社長を務める八尾市の電気工事会社から給与の支払いを受けていたことが発覚。違法な企業献金と政治資金収支報告への不記載があったとして、昨年10月に、政治資金規正法違反の容疑で大阪地検に刑事告発されたのだ。
 ちなみにこの電気工事会社は故・笹川良一氏の秘書だった松井氏の父親が創業し、住之江競艇の工事を一手に引き受けてきたという。松井知事は、旧態依然とした利権をしっかり握っているわけだ。

 電気工事会社から給与の支払いを受けていた島松洋一氏は、昨年末まで松井知事の特別秘書を務めていた人物だ。ところが当時の評判はすこぶる悪い。
 「島松氏は府議の秘書がいいところで、能力的にとても府知事の特別秘書という器ではなかった」(日本維新の会関係者)。
 その後、島松氏は特別秘書を辞任して日本維新の会本部の事務局次長に就任するが、こんなエピソードも聞こえてくる。「先日、日本維新の会は大阪で落選者を集めて“講習会”を開いた。それを仕切っていたのが島松氏で、『オレが党の政治資金を握っている』と豪語したため、顰蹙を買った」(同党関係者)。

 大阪のドタバタ劇に、他党からの移籍組が冷やかな視線を送る。「橋下さんの慰安婦発言が現在の窮状を招いたのは事実。共同代表を辞めさせるべきだったが、ほかに党の顔となる存在がいない。石原(慎太郎)さんも寄る年波には勝てず、迫力不足。情報発信力があったのは“都知事”だったから。辞めればただの暴走老人。本家の大阪が問題ばかり起こすようでは、日本維新の会はジリ貧になるばかりだ。大阪にはじまって大阪に終わる、とならないように祈るしかない。迷惑な話ではある」(同党議員)。

 まさに四面楚歌の「大阪維新」。慰安婦発言の余波は、収まりそうにない。



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