政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
行政

福岡市補助金選定 大半が“持ち回り”で結論
5年間・96億円分 ― 形骸化に厳しい批判

2013年8月19日 09:20

 福岡市内の社会福祉施設(保育施設分)に対する補助金支給の是非を審議する「福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会」(以下、「選定委」)が、過去5年間、大半の選定審議において規定された「会議」を開かず、“持ち回り”でことを進めていたことが明らかとなった。
 福岡市への情報公開請求によって判明したもので、“持ち回り”で結論を出したのは、29回開かれたはずの会議のうち24回、総計107件の審議のうち89件にのぼっている。金額にして約96億円。補助金審査の形骸化を示す事態に、市関係者からも批判の声が上がっている。
(写真は福岡市役所)

制定委要領に“持ち回り”の規定なし
福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会設置要領 福岡市の場合、保育所の運営法人から提出された施設整備補助金の申請に対しては、大学教授など外部の有識者らを中心に構成される選定委でその妥当性が審議され、出された結論を基に市が正式決定する仕組みとなっている。事実上、選定委の結論が補助金支給の是非を決めることになる。

 選定委では、運営法人から出された書類を確認しながら、委員各自の意見を出し合い、多数決で補助金支給に対する賛否を問うこととなっており、組織運営の詳細については「福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会設置要領」に定められている。右がその要領(全2枚の内の1枚目)だが、「会議」について規定した第4条には、次のように明記されている。

  • 補助対象施設選定委員会の会議は、委員総数の半数以上の出席がなければ開くことができない。
  • 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の場合は議長の決するところによる。

 要領は11条まであるが、議事の決定に関する規定は第4条だけで、「会議」を開かねば結論を出せない形となっており、“持ち回り”を容認する条文はない。

会議の8割強が“持ち回り”
 HUNTERが福岡市に情報公開請求したのは、平成19年度から25年度までの「福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会」の保育施設選定に関する、会議の実績が確認できる文書。内容として、会議の開催回数、審議件数、補助金額、決議の方法について開示を求めていた。

 これに対し、市側が開示した数字をまとめたものが下の表である。平成19年度については、書類の保存期間が過ぎていたため、実績の確認ができていない。

市が開示した数字をまとめた表

 平成20年度から25年度までの5年間で、開かれたとされる会議は29回。このうち24回が“持ち回り”となっていた。審議件数を見ても同様で、107件のうち89件が持ち回りで審議されていた。8割以上の選定で、「会議」が開かれぬまま結論を出していたことになる。支給された約118億円の補助金のうち、96億円が“持ち回り”で決っている。

問われる補助金支給の正当性
 こうした杜撰な選定の在り方が、補助金支給の正当性を否定する状況を招いていることは確かだ。
 高島宗一郎市長の強引な移転計画に揺れる認可保育所「中央保育園」(運営:福岡市保育協会)の施設整備補助金をめぐっては、選定委が“持ち回り”で約3億5,000万円にのぼる補助金支給を決定。この過程で、所管課が間違った書類を作成し、運営法人側が提出した書類と市側の文書に整合性がないまま、補助金交付にゴーサインを出していた。
 また、選定委で審議するために作成された『審査事項チェックリスト』と呼ばれる文書から、準備段階で決済されたはずの『待機児童数 47人』が消されており、文書偽造の疑いが生じている(下参照)。

消去前 → 消去後

 いずれも、きちんと会議を開いてさえいれば、チェック可能だったはず。選定委員が、市職員が持って回る書類を精査せず、用意された結論に迎合した結果と言えよう。「補助金ありき」の運営がなされ、組織自体が形骸化した証拠である。
 
 選定委の委員長には日当13,000円、委員には11,000円が支払われており、お手盛り審議が許されるとは思えない。
 市側は「“持ち回り”を決めたのは選定委自体。委員のみんなが集まることが難しいということで、持ち回りになったと聞いている」としているが、これが事実ならあまりに身勝手。規定された会議が開けぬほど多忙なら、選定委員を辞退すべきだろう。

 ある市職員は次のように話している。「そんな形(持ち回り)で補助金支給を決めていたとは驚き。そもそも持ち回りで決められるのは、会議を開く必要のない事項についてだけだろう。例えば文書の訂正とか・・・。億単位の補助金の是非を審議するのに、持ち回りでことが足りるはずがない。それにしても、選定委員は、よく日当がもらえるものだ。恥ずかしくないのだろうか?」。

 市幹部OBからも厳しい声が上がる。「『補助金ありき』で走ってきた証拠だ。会議なしでまともな審議ができるわけがない。選定委が、原課(この場合は保育課)の言うとおりに結論を出してきたと言われてもおかしくない格好だ。ついこの間まで市の職員だった身としては、情けないと言うほかない。選定委の在り方について、見直すのは当然だろう」。

【参考】
福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会
・福岡教育大学名誉教授・特任教授 田中敏明⇒委員長
・福岡女子短期大学教授 尾花雄路
・公認会計士 升永清朗
・福岡市社会福祉協議会常務理事 松田潤嗣(市OB)
・福岡市住宅都市局建築指導部長 森敏彦



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲