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玄海町、原発マネーでムダな町道整備 ― 1.9キロに28億円!
変らぬ「岸本組支配」・「九電との蜜月」

2013年7月26日 08:20

玄海原子力発電所 原発再稼働への動きが加速する中、久々に九州電力・玄海原子力発電所の立地自治体である佐賀県玄海町を訪ねた。
 そこで見たのは、相も変わらず町政トップとそのファミリー企業に支配され、原発マネーに汚染され続ける町の現状だった。
 わずか1.9キロの道路整備に28億円―これはもう、病んでいるとしか言いようがない。
 さらに、町役場の中に九電子会社の営業ブースが設置されるなど、原発事業者と立地自治体の蜜月も続いていた。
(写真は玄海原子力発電所)

目的変えて町道整備
玄海町役場 昨年春、玄海町役場からお隣の唐津市に向かう町道「長倉-藤平線」で、道路工事が始められた。

 整備される道路の距離は1.9キロ。カーブする部分を直線にしたり、140メートルほどの橋を架ける計画もあるが、大半は道路幅を約50センチ拡げるだけの事業だ。

 計画当初は「産業振興」を目的とする事業だった。しかし、福島第一原発の事故を受けて、道路整備の目的は一変する。玄海原発の事故があった場合の「広域避難のため」(町側説明)という別の理屈が付けられたのだ。玄海町から唐津市側に向けて逃げるための「避難用道路」ということになる。
(写真は玄海町役場)

原発マネーと岸本組支配
 総事業費は28億3,700万円。19億円が16億円となり、最終的に落ち着いた金額がこれだ。町は、橋を架けるのに約15億円を見積ったとしているが、1メートルあたりの整備コストは150万円という途方もない金額となる。通常の道路整備コストの10~15倍となる計算だ。

道路工事現場の看板に「岸本組」 事業原資のほとんどは「原発マネー」である。一般財源から3億7,100万円が充てられるが、15億2,500万円は核燃料サイクル交付金に、9億4,100万円は電源立地対策交付金に頼る。他の自治体ではあり得ない法外な道路工事費は、原発があるがゆえに可能となり、そこに利権亡者が群がる。

 利権の中心で睨みを利かすのは、玄海原発再稼働のキーマン・岸本英雄玄海町長である。
 唐津市との境にある道路工事現場の看板には「岸本組」の社名。言わずと知れた、岸本町長のファミリー企業である。原発がらみの公共事業を岸本一族がコントロールする支配体制は健在だ。

 巨額の原発マネーが玄海町に入り、町発注工事を岸本組が落札して、同社の株主である町長に配当が渡るという“原発マネー還流”の仕組みも、崩れそうにない。

ムダの証明
勝手に避難用道路を整備 滑稽なのは、工事が行なわれているのが玄海町内だけで、肝心の唐津市側には道路整備の計画さえないということだ。

 唐津市が避難道路の事業計画を知ったのは今年になってから。それまでは何も聞かされていなかったのだという。玄海町は、県や唐津市と十分な相談もせぬまま、勝手に避難用道路を整備していたのである。

 ためしに、唐津市側の道路を車で走ってみたが、離合さえ難しいような場所が何箇所もあるのに加え、カーブの連続。これでは避難用道路としての役には立たない。

 原発マネーによる町政支配を続けるため、岸本町長がムダな公共事業を作り出したのは疑う余地がない。ただし、儲かるのは岸本組をはじめとする地場の建設業者だけ。町民が恩恵を受けることはない。役に立たない道路は、その証明なのである。

藤の平ダム ムダな道路であることの証拠は他にもあった。
 問題の町道、唐津市との境には「藤の平ダム」がある。ダムの周囲に「遊歩道」を造る計画があるのだというが、これもいけない。取材当日にダムをのぞいてみたところ、水面は濃い緑色に変色し、辺りには強烈な異臭。息をすることさえ容易ではない。

 役場で確認を求めたところ、毎年夏になるとダムの水が減り、水面が腐ったような現象を引き起こすのだという。人が寄り付けないようなところに遊歩道を造るということだ。

役場の中に九電子会社 
町役場のロビーに「BBIQ」 玄海原発の事業者は九州電力である。立地自治体である玄海町との蜜月は、今に始まったことではない。町役場のロビーで、これを物語る光景に出くわした。

 九電の子会社で、光通信サービス「BBIQ」を展開している九州通信ネットワークが、単独でブースを設置しているのである。
 同社は、やらせメール事件の責任をとって九電社長を辞めた眞部利應氏が、今年6月になって取締役会長に就任した会社だ。

 玄海町役場に聞いたところ、平成24年度に、2億3,000万円の予算で、町内全域に光ブロードバンドを構築する事業を開始。事業者公募で選ばれたのが九州通信ネットワークだったため、町民の相談窓口として、昨年8月から役場のロビーにブースを設置させたという。他のインターネット接続サービスの会社は入れておらず、九電の子会社を優遇しているのは誰の眼にも明らかだ。
 ちなみに、光ブロードバンド構築事業の公募に応じたのは2社だったというが、なぜか他の1社は辞退していた。

 巨額な原発マネーを使ったムダな公共事業の乱発―。建設業者が支配するという歪んだ町政―。九電との蜜月―。この町に原発の是非を決める資格があるとは思えない。



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