政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

福岡市 県警の照会に虚偽回答
保育園移転にからみパチンコ店に便宜供与

2013年7月10日 05:39

 福岡市中央区にある中央保育園(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転に絡み、市が移転用地に隣接する場所にあるパチンコ店に、営業許可が出るよう配慮していたことが確実となった。建屋建設を進めていたパチンコ店側とのトラブル回避を図った結果と見られ、便宜供与を疑う余地はない。
 HUNTERの調べで、パチンコ店側の営業許可申請が昨年12月、県公安委員会が許可したのが今年2月15日だったことが判明。この間市側は、保育園の建築確認申請を遅らせるように指導し、パチンコ店の営業許可取得に支障が出ないよう、移転計画自体をコントロールしていた。
 隣地にパチンコ店ができることを憂慮した県警からの問い合わせに対して、市側は「決まっていない」と虚偽の回答をしていたことも分かっている。

これまでの経緯 
 風営法は、学校や保育園などを「保護対象施設」と定めており、一定距離内での風俗営業を禁止している。パチンコ店の場合、半径50メートル以内に保護対象施設があれば、公安委員会の営業許可は出ない。旧岩田屋体育館があった中央保育園移転用地の隣りの土地は、平成11年に県内の学校法人が買収した後、次々と所有権者が変わり、平成24年3月になって糟屋郡内のパチンコ業者が取得していた。

 業者側は、同年4月にパチンコ店の建築確認申請を行なったが、設計変更のため9月に再申請。10月の確認済証交付を経て、今年2月に建屋を完成させている。パチンコ店としての営業許可申請は12月中旬。県公安委員会による許可日は、今年の2月15日となっていた。営業開始は4月26日である。

実際に標識が設置されたのは「3月26日」 一方、保育園建設を計画通り進めるためには、先ずはじめに、中高層建築やマンションなどの建築をめぐる紛争予防のために定められた「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」に従って、建築計画の概要を記載した標識設置が必要となる。標識は、建築確認申請を提出する30日前に設置しておかなければならない。確認申請後、確認済証が交付されるまでに、さらに約1か月かかるのが相場だ。来年春の開園という保育園移転の当初計画を実現するためには、1月中か、遅くとも2月のあたまには標識が設置されていなければならなかった。しかし、実際に標識が設置されたのは「3月26日」である(右の写真参照。赤いラインはHUNTER編集部が加工)。

県警の照会に「決まっていない」
 標識が設置されるということは、保育園が建てられることを意味する。パチンコ店が営業許可を受ける前に標識が設置されれば、県公安委員会側も許可を出すことに慎重にならざるを得ない。風営法の趣旨からいって、明らかに保育園ができる場所の隣に、風俗業の営業を許可するわけにはいかないからだ。従って、パチンコ店側が営業許可の申請をした昨年12月から、許可が出された今年2月15日までの間に保育園建設を周知する標識が設置されていれば、パチンコ店が営業許可を受けることは困難になっていた可能性が高い。
 問題の場所に保育園が建設されることを知った県警は、福岡市側に事実確認を求めていたが、市側は「決まっていない」などと曖昧な対応に終始。結果、風営法上の障害がない形となり、パチンコ店に営業許可が与えられていた。

 これまで報じてきた通り、平成23年7月には「市政運営会議」で問題の土地を中央保育園の移転予定地に内定。その後、議会への方針説明を経て、昨年6月には議会と保育園側に対し、正式に移転地を明示していた。「決まっていない」とする県警への回答は虚偽だ。建築確認申請が出ていなかったという弁明が存在するとすれば、意図的にそうした状況を作り上げたのは市であり、市民だけでなく県警をも欺いたことになる。

 県警に対し、「保育園建設は決まっていない」と回答していた市は、事実発覚を遅らせるため姑息な手段をとっていた。保育園建設の施主である「社会福祉法人福岡市保育協会」が設計を依頼した業者に、建築予定標識の設置を遅らせるよう指導したのである。理由は「在園児の保護者らに説明を尽くすため」(市側の説明)だったとされるが、看板設置を行う設計業者には、パチンコ店の営業許可との絡みがあることを漏らしていた。設計業者への取材も行ったが、パチンコ店の話も含めた一連の市側の指導内容について、否定していない。
 中央保育園の園長は、市側が建築予定標識の設置を遅らせるよう設計業者を指導したことを認めた上で、「建設計画については設計業者に任せていたが、準備はすべて終わっていた。それに市が待ったをかけた。詳しいことは設計業者に聞いてもらいたい」と話していた。

 子どもの保育環境よりパチンコ店とのトラブル回避を優先した福岡市・・・・。子育て支援とは程遠い姿勢であることは間違いあるまい。今回の中央保育園移転問題の背景には、まだまだ隠された事実が眠っている。



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲