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前代未聞!がら空きの中央保育園移転説明会
問われる福岡市長の責任

2013年7月 5日 09:30

がら空きの椅子席 がら空きの椅子席を前に呆然とした表情で居並ぶ役人ら・・・。市民と向き合うことを拒否した福岡市政の現状を、まざまざと見せ付けた光景だった。
 疑惑まみれとなった「中央保育園」(運営:福岡市保育協会)の移転事業を強行するため、4日の夜に市立中央児童会館で開かれた市主催の保護者説明会は、肝心の保護者が一人も参加せぬまま、事実上の流会となった。
 保護者らの反対意見を黙殺し、中央突破を図ろうとした市側の思惑は、「参加者ゼロ」という異例の事態に吹き飛ばされた形だ。

がら空きの保護者席
 4日夕、会場となった市立中央児童会館(中央区)の会議室に、市こども未来局の幹部職員、消防関係者、保育園を運営する社会福祉法人の理事らがずらりと並んだ。しかし、保護者説明会の開会時間とされていた午後6時半になっても訪れる保護者は一人としてなく、冒頭から重苦しい空気が漂った。

埋まらない保護者用の椅子

 集まってくるのは報道関係者ばかり。開会から30分を過ぎても保護者用に準備された椅子は、ひとつも埋まらない。硬い表情でなにやら協議していた市関係者だったが、7時を回ったところで始めたのは、集まった報道陣に向けての「説明会」。記者らが呆気に取られる中、淡々と茶番劇が続いた。

報道陣向け「説明会」

茶番
 説明終了後、吉村展子こども未来局長が記者団の質問に答える形で即席の会見が行なわれたが、前代未聞の事態に声もうつろ。市側の主張を繰り返すばかりで、保護者らの気持ちを汲んだ発言を聞くことはできなかった。この間、歪んだ事業の性格を象徴しているかのように、「子ども」という最も大切なはずのキーワードは、ほとんど使われていない。

 こうした事態になることは、はじめから分かっていた。市側が唐突に説明会の開催を決めたのは先月末。一方的なやり方に不信感を募らせた保護者会側は、何度も説明会の延期を申し入れていた。保護者会側が求めてきたのは、高島宗一郎市長との面会であって、移転を前提とした説明会ではなかったからだ。市長への面会要請は3度に及んでいるが、高島氏は頑なにこれを拒否している。

 移転をめぐって数々の疑惑が浮上したことも、保護者らの不信を増幅させる原因となっている。
 先月12日から始めたHUNTERの中央保育園移転問題報道で、移転候補地が決められたのが平成23年7月だったことや、「(他の候補地を)探した」としていた市側の説明が真っ赤な嘘だったことが判明。福岡市内の不動産業者がからんだ、税金利用の土地転がしが疑われる事態となっている。
 さらに今月に入って、運営法人側の補助金申請過程で、市側が間違った書類を基に申請を通すという重大なミスを犯していたことも明らかとなっており、「土地ありき」に「補助ありき」が加わった状況だ。

 保護者のひとりはこう話す。「これまでの市側の説明は、嘘ばかりでした。児童館(市立中央児童会館)と商業施設との併設を優先した結果、保育園がはじき出されたことや、平成23年7月の時点ですでに移転地が決っていたことなど、何も知らされていなかったんです。知っていればもっと早くから反対運動を起していました。
 今回の保護者説明会については、何度も市役所に足を運んで、延期するよう申し入れています。この状態で移転を前提の説明会に(保護者が)出られるはずがありません。まずは疑惑についての説明が先でしょうし、何より高島市長との面会要請についての市側の正式回答がないんです。
 市は、一方的に説明会を行って、『説明責任を果たした』というアリバイ作りをやりたかっただけでしょう。問題が顕在化してから、ごまかしを繰り返す市の姿勢には、到底ついていけません。最大の問題である避難経路にしても、保護者会が指摘してから弥縫策を持ってくる始末でした。だからパチンコ店の中を通るなどという非常識な案になってしまう。これで説明会なんて、あり得ない。とんだ茶番ですよ」。

姑息な手法に深まる溝 問われる市長責任
説明会用の資料 たしかに市側の対応は姑息を絵に描いたようなものばかりだ。この日配られる予定だった説明会用の資料(右参照。赤い書き込みはHUNTER編集部)が、それを証明している。

 まず、赤い囲みの部分を読むと、保育園の移転が、東日本大震災を受けての児童の安全確保と、待機児童解消という二つの理由で決められたとしか書かれていない。中央児童会館と商業施設を併設するため、保育園をはじき出したという、もうひとつの要因については一切触れられていないことが分かる。都合の悪い話は、絶対に認めないというお役所特有の手法だ。

 ①では、これまでの説明会で、一度も明かされていなかった平成23年7月の「市政運営会議」のことが記されている。HUNTERの報道で明らかになったため、経過として明記せざるを得なったということだろう。
 
 ②の記述に至っては悪質というほかない。園内で開かれたワークショップに、「保護者等約30名」が参加したことになっている。しかし、確認したところ、保護者の参加はなかったという。多くの賛同があったと見せかけるため、捏造した格好だ。③も同様で、移転事業に対し、賛同している保育士は現時点ではいない。3月の段階でも、明確に賛成の意思表示をした保育士はいなかったことが分かっている。

 相手不在で進んだ説明会の状況は、市と保護者会との深い溝を物語っている。原因を作ったのが、市民と向き合おうとしない高島市長であることは言うまでもない。



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