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暴走する伊藤鹿児島県政
県民無視で税金私物化

2013年6月20日 10:55

 伊藤祐一郎鹿児島県知事の暴走が止まらない。年度が変わった4月以降、県職員1,000名の中国研修や、人気の商業施設を壊して必要性が乏しい体育施設を整備するといった非常識な施策を次々と発表。噴き出した県民の批判をものともせず、実現に向けてつっ走る構えだ。
 一方、薩摩川内市では産業廃棄物の管理型最終処分場建設が、鹿児島市松陽台町では県営住宅増設計画が進められている。いずれも計画に反対する住民の声を圧殺し、法令さえ無視するといった強引な手法でことが運ばれている。
 すべてに共通しているのは、県民無視―強烈な官尊民卑の思考であり、巨額の税金を使いながら、満足な事業収支さえ持たないという点だ。改めて鹿児島県政の問題点を整理してみた。

唐突な箱モノ計画 ― なくなる「ドルフィンポート」
ドルフィンポート (1) 鹿児島県は今年5月、鹿児島市本港新町の県有地にある商業施設「ドルフィンポート」の場所に、公費200億円をかけて総合体育館を建設する方針であることを公表した。平成32年に開催予定の国体に向けた整備計画の一環だという。

 「ドルフィンポート」は、桜島を望むウォーターフロント地区の中核として、平成17年に営業を開始した複合商業施設だ。整備費は15億円。飲食店など20軒以上が営業しており、観光客を中心に年間200万人ほどが訪れている。運営は地元企業などで構成された「鹿児島ウォーターフロント株式会社」。土地を所有する県と同社が、平成32年6月までの定期借地契約を結んでいた。

ドルフィンポート (2) 県が公表した計画では、体育館建設のために、平成32年までとしていた定期借地契約を平成28年に前倒しで打ち切り、補償金を支払うという。県民はもちろん、地元鹿児島市にとっても寝耳に水の話だったとされ、県の方針が公表されるや蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。信じられないことだが、ドルフィンポートの運営会社や出店企業にも事前の相談がなかったとされる。
 突然の方針転換で、鹿児島市で計画されてたウオーターフロント地区への市電延伸も頓挫した形となっている。

 体育館の建設費200億円も、ドルフィンポートへの補償金も原資は税金。伊藤知事の無定見な箱モノ行政に、県民の血税が湯水の如く費消される格好となる。当然ながら、事業全体の収支がどうなるのか、全く計算されていない。

税金私物化―県職員1000人の上海研修
gennpatu 011.jpg 驚きの計画は体育館だけではなかった。県は5月、鹿児島―上海間の定期航空路線の利用者減への対策として、県職員1,000人を研修のため上海に派遣すると発表したのである。県の所管課に聞いたところ、職員給与の削減分を研修費に充てるという。

 計画発表以来、県民から猛反発が出たのは言うまでもない。しかし、伊藤知事は方針を変えず、補正予算案に上海での海外研修費1億1,800万円を盛り込んでいる。批判を受け計画が修正されたが、派遣する1,000人のうち300人を民間人とするというもの。子ども騙し的手法に、県民の怒りは募る一方だ。この知事は、税金を自分のカネだと思っているのだろう。

住民弾圧―薩摩川内「エコパークかごしま」
エコ.jpg 当初契約の77億7,000万円から、追加工事費を18億7,920万円積み上げ、契約金額が96億4,920万円となった産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」。豊富な湧水の影響で工事が難航するのはもちろん、営業開始さえ危ぶまれる施設に、付帯工事を合わせ総額百数十億円にのぼる税金がつぎ込まれる。(写真は「エコパークかごしま」の工事現場)

 霊峰「冠嶽」と豊かな自然を守りたい、県民の水源を汚染させてはいけないとして処分場建設反対を訴える地元住民らを、力ずくで押さえつけ、計画を進めてきたのは伊藤知事である。

 この計画をめぐっては、県が計画段階でコンサル業者が行った事業の収支見込みしか持ち合わせておらず、独自に公共事業として成り立つかどうかの試算を行っていなかったことが分かっている。

無計画―松陽台の県営住宅増設
松陽.jpg 無計画な伊藤案件はほかにもある。これまた地元住民の反対をよそに、強引に計画を進めてきた鹿児島市松陽台町(ガーデンヒルズ松陽台)における県営住宅増設がそれだ。

 計330戸もの県営住宅増設を行うとしながら、事業収支の試算など一切行っていないのである。土地の取得費だけが明確になっているだけで、総事業費や維持費、さらには賃料の予測さえ存在しない。つまりは、赤字になるのか黒字になるのかまるで分からないまま、計画だけが進んでいるということになる。しかも、住民の反対意見を無視してだ。

ついに県職員からも厳しい批判
 これまで口が重かった県職員だが、勇気ある一人が、匿名を条件に次のように話してくれた。
「私は、これ以上伊藤県政が続くと大変なことになると思っています。借金ばかり膨らんで、残るのは箱モノばかり。処分場も、体育館も、県営住宅も、すべて伊藤知事の号令ではじまっています。裏に建設業界との癒着があるとしか思えない。
 税金使って職員の上海研修なんて、県民が受け入れるはずがない。だってそうでしょう。職員給与の削減は、厳しい財政事情を考えてのことですよ。削った分を、県民の暮らしのための予算に回すのが筋です。それを、中国との航空便がなくなるから削減分で飛行機に乗れだなんて本末転倒もいいところ。航路がなくなると困るという、知事のメンツのためにやってるだけなんですから。だいたいですね、中国との航路がなくなったって、県民は困らないんだから。暴走というより、狂ってる」。

 傲慢な県政運営の先に見えてくるのは、疲弊する県財政と、ツケを回されて途方にくれる県民の姿、そしてムダな公共事業の残骸である。



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