政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

永田町異聞-出始めた自民党の“らしさ”

2013年5月 9日 08:40

自民党本部 安倍政権発足からおよそ5か月。アベノミクスで経済再生に力を入れる姿勢を見せていた自民党が、“らしさ”を見せ始めた。
 憲法改正や歴史認識の問題で、右翼政治家の本領を発揮しはじめた安倍首相。支持率の高さに慢心が生じ、本音が出始めたということのようだが、党内の議員たちにも驕りが見える。
 7日の参議院法務委員会は、自民党議員の欠席者が多かったため流会。8日の予算委員会では、自民党・川口順子参院環境委員長への解任決議案の取り扱いに反発した与党議員が揃って欠席。予算審議では異例の事態となった。
 危うさが漂う状況ではあるが、永田町の中でも同党の現状を象徴するような出来事が増えている。

辞職する秘書たち
 民主党衆議院議員の公設秘書を務めていたある男性が、昨年12月の総選挙の後、職を失った。仕えていた議員が落選したのである。

 制度上の公設秘書は3人であるから、落選議員の数の何倍もの秘書たちが、無職の状態になったことになる。しかも師走。男性は再就職の道を探ったが、容易には決まらなかった。かつて300を超えていた民主党の議席が50台にまで減ったことに加え、時期が悪過ぎたのである。
 選挙直後に開かれた国会は12月26・27・28日の3日間だけ。すぐに年末年始の長い休みに入ってしまったため、選挙区に帰った国会議員が上京するのは1月中旬以降。落選議員の秘書が、新人議員に会って再就職活動をするには最悪のタイミングだったという。

 そんな中、男性は知り合いの国会関係者から自民党の新人衆院議員を紹介され、運良くその議員の公設秘書となる。新たに仕えることになった新人センセイは、突然の解散で急遽公認が認められ、風に乗って当選した議員だった。

 このセンセイ、初めは紳士的に振舞っていたらしいが、1か月も経たぬうちに豹変する。きっかけは些細なことだったというが、いきなり秘書らに高圧的な態度をとり出し、以来「カネを集めろ」、「名簿を揃えろ」、「俺の言う事を聞け」と、自分は動かずに怒鳴り散らす毎日。周辺の支持者や事務所関係者が、一人また一人と去っていったのは言うまでもない。

 今月、ついに堪忍袋の緒が切れた公設秘書3人が、まとまって辞表を提出。新人議員はあわてて秘書探しに駆けずり回っているという。昨年までは民主党議員の幼稚さに呆れていたが、自民の新人には人格に問題があるセンセイが少なくないらしく、似たようなケースがあちらこちらから聞こえてくるようになった。同党の驕りが顕在化している証左でもある。

古参秘書の嘆き
gennpatu 1864410759.jpg 平成17年の郵政選挙では、自民党の新人議員83人が当選、「小泉チルドレン」と呼ばれた。民主党が政権交代を果たした平成21年の総選挙では、同党の新人議員が200人当選したが、幼稚な政権運営に象徴されたように、彼らの政治家としての質は極めて低かった。そして昨年末、今度は自民党の新人119人が、新たに議員バッジをつけた。3回の選挙で大量に生み出された議員に共通するのは、その多くに政治家としての資質や人格が備わっていないことである。

 秘書が次々に辞める傾向が高くなったのは、郵政選挙のあたりからだという。永田町のベテラン秘書はため息まじりにこう話す。「外面はいいが、身近な人間には我欲を剥き出しにする政治家が多過ぎるんですよ。郵政選挙の直後あたりから、秘書を虫けらみたいに扱う議員が少しずつ増えましたが、民主党議員が一気に増えた政権交代選挙以降、そうした傾向が顕著になりました。自民党議員が大量に落選したため、職を失った秘書の多くが民主党議員の事務所に再就職したんですが、センセイがたは、彼らをいつでも切れる渡り職人みたいに思ったんでしょう。とにかくトラブルが多かった。無理難題を押し付けてくる民主党議員に嫌気が差して辞めた秘書、突然解雇を言い渡された秘書、いずれも議員側に問題があるケースばかり。とにかくひどかった」。

 別の古参秘書は、自民党政権になっても状況は変わらないと言う。「民主党議員は組合第一、庶民の目線なんてこれっぽっちもなかった。頭でっかちの小僧が、何かの間違いで国会議員になったという感じ。今度は、民主の大半が議席を失い、元自民党国会議員秘書から民主党に行った連中が、古巣の自民党に戻った。だけど新人はいずれの党も同じ。自民の新人に中には、国会議員は何をやっても許されると思っている勘違い野郎が多い。民主党のひよっこと違うのは、より傲慢で、暴力的なこと。このわずか数か月で辞めた秘書が何十人いるか分からない。ある意味民主党よりタチが悪いかもしれない」。

 安倍政権発足後、アベノミクスとやらがもてはやされ、高い支持率を保つ自民党。「センセイ」と呼ばれることに慣れはじめた新人議員たちが、そろそろ本性をあらわし始めたということのようだ。“民主党より暴力的”だという古参秘書の言葉が、自民党の体質を表している。



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲