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薩摩川内産廃処分場 工事費19億円増大の真相

2013年5月28日 08:35

 今年2月、鹿児島県が住民の反対を無視して建設を進める産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称・事業主体は『鹿児島県環境整備公社』)の事業費が、当初契約の77億7,000万円から96億円以上に膨れ上がる予定となったことを報じた。
 詳細を掴むため、工事費増大にともなう変更契約の締結を待っていたHUNTERが、県環境整備公社に対し情報公開請求を行ったところ、先週、ようやく新たな契約書および仕様書が開示された。
 一連の文書から、税金タレ流しの原因を招いたのが、同県の杜撰な計画であることが明らかとなった。


工事費約19億円増
 同工事を遅らせた最大の原因は、処分場予定地周辺における“湧水”の豊富さだ。しかし、県側は一貫してこの事実を認めようとせず、雨水や近隣住民らの反対運動を遅延の理由に挙げていた。

 開示された、特定建設工事共同企業体(JV:「大成・植村・田島・クボタ」)との変更契約書によれば、処分場の完成期限を平成25年8月から1年以上延長して、平成26年9月30日と定め、これにともなう追加工事費を18億7,920万円積み上げ、契約金額を96億4,920万円としている。2月の段階で公社が明かした追加工事費は18億3,000万円、さらに約5,000万円も支出が増えた形だ。

工事の遅れ―「地元住民の反対が影響」は真っ赤な嘘 
 県はこれまで、工期延長と事業費の大幅増大について、「地元住民らの反対運動の影響」が原因のひとつであると公言してきた。工事費が100億円近くに上ることが明らかとなった2月の時点では、地元紙「南日本新聞」も県側のこの主張を、何のためらいもなく記事にしている。しかし、これは県側の作り上げた虚構である。

 下は、今回開示された文書のうちの「工事工程表」だが、平成22年の設計業務開始から、平成23年10月の本格着工に至るまで、工事区分ごとの遅れは2~3ヶ月程度でしかない。

鹿児島 230.jpg

着工前に延長されていた工事期限
鹿児島 233.jpg 県が職員を大量に動員して、反対運動を続けていた地元住民らを数の力で押さえ付けにかかったのは、平成23年の9月中旬からだ。右の文書は、県環境整備公社以外の職員を動員するにあたって県内部で出された文書だが、日付は9月14日。この頃から本格的な県民弾圧の動きが始まったことが分かる。
 最終的に、県警の捜査員まで動員して、住民らを排除したのが同年10月4日。工事の遅れに関して言えば、実際に反対運動の影響があったと見られるのはわずか半月足らずのこと。本当の理由は、別にあったことがハッキリしている。

 もともと、平成22年10月に結ばれた当初の請負契約によれば、処分場建設工事の工期は、平成22年10月13日から平成25年5月31日となっていた。しかし、平成23年7月に第1回目の「変更契約」を行っており、この時点で工期が3ヶ月延長され、改めて完成期限を平成25年5月31日から同年8月31日に変更していた。
 この変更契約の理由について、公社側は「交付金の決定時期が遅れたから」と明言しており、住民の反対運動とは全く違う理由で工期が3ヶ月も延びていたことは明らかなのだ。

「主な変更理由」に記された真実
 開示された中に、2回目となる今回の変更契約の理由が記された「主な変更理由」と題する文書があった。当然ながら、どこにも住民の反対運動による影響については記されていない。(下がその「主な変更理由」。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

鹿児島 231.jpg

 赤いアンダーラインで示したように、工事費増大は『土工工事の範囲及び工法の一部変更』、『窪地に貯まった水の排水の長期化』が大きな要因だ。これは、度々報じてきた通り、豊富な「湧水」の量を県側が見誤ったことを意味している。つまりは設計ミスということなのだ。

 『窪地に貯まった水』などと表現しているが、雨水以上に深刻なのが「湧水」であることは歴然としており、そのことは処分場建設に付帯して行なわれている周辺の土木工事現場でも確認することができる。至るところで地下水が噴き出す事態となっているのだ。(下は、処分場建設予定地そばの土木工事現場写真)

鹿児島 063.jpg

 工期延長、工事費増大の最大の原因が「湧水」であるにもかかわらず、県側はその事実を認めようとしない。記者との会話の中で、「湧水」という言葉自体を使おうとしないほどだ。これを認めた瞬間に、県の事前調査の杜撰さが設計ミスを招いたことを認めた形になるからだ。
 
 事前調査が杜撰だったことは、変更理由書の中の『軟岩を想定していたが、緻密・堅固なる硬い硬岩が発生』という記述からも見てとれる。
 処分場建設予定地の決定にあたり、県が使用したのは土地の持ち主だった地場ゼネコン「植村組」の子会社によるボーリング調査の結果だ。地元住民から調査不足を指摘され、追加で調査を行ってはいたが、結論ありきの付け焼刃的なものだった可能性が高く、その結果としてさらなる税金投入を生んだ格好だ。

 工事期間の変更理由については、『工事着工の遅れをはじめ』などとさらりと書いてあるが、当初契約が変更され、着工前に工期が3ヶ月伸びていたことには一切触れられていない。
 
 工期延長とそれにともなう巨額な工事費の積み増しは、すべて鹿児島県の杜撰な計画が原因となって起きたものだ。もちろん、すべての責任が、拙速にことを運んだ伊藤祐一郎知事にあるのは言うまでもない。無責任首長の下、泣きを見るのは県民ということになる。



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