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有明海覆砂事業不正 監査請求を門前払い

2013年5月 2日 09:10

fukuoka-kenchou_t.jpg 福岡県が有明海で実施している覆砂(ふくさ)事業で不正があり、水質が悪化したなどとして、福岡県柳川市の漁業者らが県監査委員に提出した住民監査請求が却下され、1日までに請求人らに郵送で通知された。
 監査委員側は、詳しい内容についての審議も行わないまま、漁業者提出の請求が法定要件を満たしていないとして事実上の門前払い。県として覆砂事業の闇に切り込む意思がないことを証明した形だ。

門前払い、じつは不作為
 福岡県は、有明海の水質を改善する目的で、柳川市沖などの海中に砂を撒く、覆砂と呼ばれる事業を行っており、毎年約20億円の予算がつけられてきた。このうち、今回の請求対象となったのは、平成22年度に県が発注した「福岡県有明海地区水域保全創造工事14(2)第3工区」。最終的な契約金額は1億9,002万3,750円で、福岡市の海洋土木の専門業者「博多湾環境整備」と「宮川建設」がJVを組んで受注、施工していた。

 柳川市の魚業者らが県に提出した監査請求書では、《海砂の規格を故意に偽装し、規格外の不良海砂を工事区域に多量に搬入投入》したため、水質が悪化するという被害が生じたとした上で、不正を見逃した県の責任を問い、個別外部監査の実施を求めていた。請求を行ったのは3月18日。書式に不備があるとして県側の指導で一部を補正、22日に正式に受理されていた。

 これに対し、県監査委員4名の連名で請求者に出された通知には次のように記されていた。
 《地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく平成25年4月18日付け福岡県職員措置請求については、下記の理由により却下します。
 なお、請求人は、個別外部監査契約に基づく監査を求めていますが、本件請求は請求要件を欠くため、個別外部監査契約に基づく監査によることが相当であるか否かの判断は行う必要がないことを申し添えます》。

 《本件請求の対象となる行為は、平成22年度「福岡県有明海地区水域環境保全創造工事14(2)第3工区」覆砂事業である。これに係る県費の支出については、平成22年9月7日に支出が完了しており、当該支出行為があった日から既に1年が経過している。また、1年以内に請求できなかった正当な理由も見当たらないため、本件請求は法第242条第2項の要件を欠き不適法なものである》。

 結論から述べるが、この県監査委員の決定は、不作為であるというしかない。
 たしかに地方自治法は、住民監査請求について定めた第242条の中で、『請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない』としている。が、そのあとに『ただし、正当な理由があるときは、この限りでない』として例外規定を設けているのである。今回の事案には『正当な理由』があることは明らかで、県側はその事実を知っているはずだ。

不正は確認されていた
福岡市東浜に揚陸された大量の「海砂」 県は平成24年3月、この工事に不正があったとして前述のJV2社に対し「厳重注意」を行っていたのである。この折、業者側が県に提出した報告書に、不正の概要が明記されている。簡単に言えば、実際に使用すべきものとは違う海砂を、これまた計画とは違う船を使って運搬し、結果的に1,175㎥少ない量を施工したという内容。つまりインチキ工事が公式に確認されていたことになる。

 JV側は、時化(しけ)が続いたことで海砂搬入計画が狂い、竣工検査に間に合わせるため、やむなく「海砂ストックヤード」にあった海砂を工事に使ったとしているが、計画とは違う海砂を使って施工したのは事実。“採取地が同一の砂”という論法で、「規格外」を否定していたが、いったん撒かれた海底の砂を確認することは困難で、そのことを見越した言い訳だったと見られる。

 不正が確認され、“厳重注意”という措置が下された工事である以上、監査請求を行った漁業者らが訴えた、《海砂の規格を故意に偽装し、規格外の不良海砂を工事区域に多量に搬入投入》との行為を疑ってみるのは当然だったのではないだろうか。業者が、計画とは違う海砂を使用したのは事実なのだ。地方自治法が定めた、監査を実施するに足る『正当な理由』は、十分にある。

 9件もの工事で不正が確認されながら正式な処分を行わず、“厳重注意”などという軽い措置で済ませた上、監査請求にも応えない福岡県。度を越えた業者擁護の姿勢が、より顕著になってきた。



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