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福岡市・実行委員会方式事業の問題点

2013年5月 8日 08:35

福岡市役所 今年に入って、福岡市が行っている事業や業務委託について、多くの問題点があることを報じてきた。どう見ても不適切な福岡市顧問の業者選定への関与、特定メディアへの巨額な業務委託、杜撰な経理が目立つ実行委員会方式による事業・・・。いずれも公費支出のあり方に疑問を抱かせるケースばかりだった。
 HUNTERはこのうち、実行委員会方式による事業に改めて注目、福岡市に対し平成20年度から25年度までの同方式による事業の名称と、それぞれの支出額が分かる文書を情報公開請求した。開示された文書から、驚きの実態が浮かび上がっているが、まずは、これまで報じた実行委員会方式の2事業について、問題点を整理しておきたい。
(写真は福岡市役所)

「子どもの夢」とは縁遠い実行委のカネの流れ
 実行委員会方式とは、企業やNPO法人などの民間側と自治体とで「実行委員会」を組織し、人や運営資金などを出し合って事業やイベントを実施する手法のことだ。
 福岡市の実行委員会方式による事業をめぐっては、市と西日本新聞社で運営されてきた「アイランドシティこどもっと!だいがく」や、両者にNPO法人などが加わった形の「中高生夢チャレンジ大学」などについて、その問題点を追及してきた。

 いずれの事業も、西日本新聞の社内経理システムに合わせているため、市職員を入れて組織された実行委員会の銀行口座が作られておらず、帳簿や領収書などの会計書類も揃っていなかった。開示された公文書上では収入や支出についての確認がとれず、福岡市の担当職員に収入の証明方法を聞いても即座に答えられないといった状況だ。

管理費-thumb-240x141-6838.jpg 「アイランドシティこどもっと!だいがく」(市側の負担金上限は700万円)における支出の大半は、西日本新聞とその関連企業に対するものだ。しかも、実行委員会方式とは名ばかり、事業自体は西日本新聞の主催、福岡市が共催となっており、同紙の事業を税金で支える形。呆れたことに、実行委事務局を務める西日本新聞社の社員に対し、時給3,500円×7時間の計算で報酬が支払われたことになっており、経理処理の信憑性が疑われる内容だった。いまどき日給24,500円の事務職などあるはずがない。

 「中高生夢チャレンジ大学」の実態もひどい。こちらは西日本新聞社とNPO法人関連でカネを分け合う状態となっていた。NPO法人からの収入のカウント方法にも、大きな疑問が残ったままだ。
 予算書では、福岡市が1,048万2,000円、西日本新聞社が315万円、そして残りの294万円を「NPO法人グリーンバード福岡チーム」が負担することになっていたが、同法人の負担金は書類上の話。つまり現金は動いていなかった。グリーンバードは、予算額ぴったりの294万円の人件費を使ったとして、拠出金と相殺する形で処理させていたのである。計算根拠を示す文書によれば「時給4,800円」。まともな公費の取扱い方ではない。

請求書 NPO法人の行儀の悪さは際立っている。同事業で製作関係費用として支出されたのは約200万円。チラシ・新聞広告・校章・のぼりなどのデザイン料が80万円となっているほか、開校式の運営管理に20万円など、高額な単価が並ぶ。

 請求した会社の住所を確認したところ、グリーンバード福岡チームの事務所と同じビルの一室。法人登記を確認したところ、不動産業のほか広告代理やイベント企画などを主業務としてしていることが分かった。何のことはない、グリーンバード福岡チームの代表者が立ち上げ、現在も取締役を務める会社なのである。

 「中高生夢チャレンジ大学」をめぐっては、グリーンバード福岡チームとその関連会社に、同実行委員会から合計500万円もの支出が行われていた。子どもを食い物にしている、と言っても過言ではあるまい。

実行委方式―福岡市の実情は?
 こうしたデタラメな経理がまかり通る背景には、市の予算とは別に、新たな財布を作る形となっている実行委員会方式の事業形態がある。経理処理の杜撰さは述べてきた通りだ。
 HUNTERは先月、平成20年度から25年度までに実行委員会方式で実施された事業の名称と、それぞれの事業に支出された公費の額が分かる文書について、福岡市へ情報公開請求した。その結果、開示された文書から、市職員も「これほどの件数があるとは・・・・」と絶句した全容が明らかとなった。次稿で詳細を報じる。



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