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ムダな施設を押し付け ― 鹿児島県の姿勢に住民の怒り

2013年5月21日 09:55

 官尊民卑としか言いようのない鹿児島県の姿勢に、怒りの声が上がり始めた。
 地元住民の意向を無視して、鹿児島市松陽台町に不必要な県営住宅の増設を進める鹿児島県が、今度はこれまた使い道のない集会場建設を強行するとして、一方的に住民に通告してきた。
 戸建住宅470戸によるまちづくりを約束し、商業施設や集会場ができると嘘八百を並べて、県(事業者:鹿児島県住宅供給公社)が売りつけた分譲地「ガーデンヒルズ松陽台」の住民に対し、約束違反を咎められないようにするためのアリバイ作りの一環と見られるが、原資は税金。造っても意味のない施設だとして、お母さん方を中心に、建設阻止を訴える動きが顕在化しはじめた。

アリバイ作り
鹿児島 223.jpg 今月はじめ、鹿児島市松陽台町の全世帯に、県住宅政策室から1枚の文書が配布された(右がその文書)。県住宅供給公社が分譲してきた「ガーデンヒルズ松陽台」の一角に、“集会場”を建設するにあたって、ワークショップを開くことと、実務を県の外郭団体「鹿児島県住宅・建設総合センター」に委託することを周知するためのものだ。

 文書では、ワークショップを(住民参加型の共同作業)としているが、つまりは住民と話し合いながら集会場を造るんだ、という体裁を取り繕うための装置でしかない。ムダな公共事業を進めるためのアリバイ作りということだ。そう断定できる理由は二つ。

 ― まず、予定される集会場の規模が40~50人程度しか収容できないもので、地域の実情を考えれば利用価値がないことが挙げられる。
 松陽台には戸建住宅をはじめ、県営、市営の住宅があり、総戸数は400近くになる。子育て世代が多いのも特徴で、多くの住民らが集うためにはこの程度の規模では何の意味もないのだという。
 事実、同町の住民が少し多くの数を集めて会議などを開く場合は、離れたところにある近隣の学校を使わせてもらっているのである。 

ワークショップ ― 次に挙げられるのは、先日県側が通知してきたワークショップとやらの開催日が、一方的に「5月31日」と決められたことだ(右の文書参照)。
 この日の集まりは2回。午後2時半と午後7時からとなってはいるが、平日の金曜日の開催とあって、参加できる人間は限られてしまう。同町の住民は勤め人が多く、しかも共働きで子育てに奮闘する世帯が目立つ。昼の2時半にのんびりワークショップなど到底無理な話なのだ。
 県側もこのあたりの事情がよく分かっているらしく、2時半の部はごく少ない人数しか入れない県営住宅集会所を会場に選んでいる。はじめから人が来ないことを想定しているのである。

厳しさ増す住民の声 
 こうした県の住民無視の姿勢に、地元の住民から批判の声が上がる。

 松陽台町に住むある主婦は、次のように話す。
 「シンボルタワー下の団地中心部には、そもそも幼稚園やパン屋などの店舗ができると聞いていました。また、シンボルタワーの東南にある県営住宅の土地も、以前は「店舗等用地」と聞きました。第1期地区が売り出される頃、平成15年の頃には、完成予想図の看板が立てられていて、そこには中心部の土地の半分が幼稚園予定地、残り半分が商業地と書かれていたんです。
 下の子どもが幼稚園に上がる頃には歩いて通えるし、パン屋などでも買い物ができるといいなと思い、ガーデンヒルズ松陽台の宅地を購入することに決めました。宅地の購入には、当時、抽選が行なわれていました。
 シンボルタワー周辺の県営住宅建設についても、一切知らされず、いつの間にか、建っていたという感じです。この他の変更についても県の公社からは何の連絡もありませんでした。
 集会所ができること自体は嬉しいのですが、地区計画変更・県営住宅増設を前提とするものであれば要りません。それに、40~50人程度しか入らないなんて、一体、何なんですかね。集会所を建てるのであれば、ちゃんとしたものを建ててほしいです。住民の多くが入れるようなものでなければならないですし、ジュニアクラブの活動や、やがて年をとることを考えれば、高齢者が活動できる施設など、多用途のものでなければ意味がありません。使い道のない、40~50人程度の集会所であれば要りません。税金のムダ!」

 別の男性会社員も同意見だ。
 「県営住宅増設計画の全面撤回を求めているこの時期に、住民を集めて計画を進める前提となる話をするというのはおかしい。アリバイ作りというか、何人かワークショップに集まれば、それで『説明をした』として、計画を強引に進めようというのでしょう。やり方があまりにも卑怯で、憤りを覚えます。
また、松陽台に住む人間の数からすれば、40~50人程度の集会所を建てても、何の意味もないですね。そんなもの、使い道がありませんから」。

 同町に住んで4年あまりだというご婦人は、県の計画の進め方について、不信感を露わにする。
 「まず、集会所ワークショップ開催の案内文書が不親切。もう少し、具体的にわかっている情報を伝えてほしいですね。例えば、ワークショップではどのようなことが行なわれるのか、集会所の規模や目的がどのようなものなのかといったことです。
 40~50人程度のものであれば、既設の県営住宅に集会所はありますし、同様の箱モノを、なぜまた建てる必要があるのでしょうか。必要ないでしょう。
 新たな集会所を建てるのであれば、県公社が商業施設を誘致と言ってきた中心部の広い土地に、200人~300人が集まれるようなものでなければならないですし、あいご会(ジュニアクラブ)の子どもたち134人が自由に遊べ、活動できるような場所でなくてはなりません。
 集会所建設は、県営住宅増設の交換条件とはなり得ませんよ。増設計画とは関係なく、適正規模の児童館、福祉館などを含んだコミュニティーセンターが、そもそも現時点であるべきなのです。それが住宅販売の時の約束なんですから」。

 県に騙された戸建住宅の住民だけでなく、県営住宅に住むお母さんからも批判が出ている。
 「集会所建設のためのワークショップの文書による案内はありました。集会所建設については、県営住宅自治会の役員会で説明があったようです。40~50人程度の集会所など要りませんね。造る意味がない。既設の集会所も同じ規模ですが、(県営住宅の)あいご会84人の子どもたちには、狭すぎて使いようがない状況なんですから。あいご会のお母さんたちはみんな不便を感じています。建てるのであれば、児童館等をふくんだ、きちんと地域の子ども達が入れるような施設を建ててほしいですね」。

 県の住民無視の姿勢に業を煮やした松陽台町の住民の中には、集会場建設反対の署名集めを始めようという動きがあるという。

住民の声、無視する伊藤県政
 住民らが言う通り、県が予定する集会場の規模は中途半端というしかない。下は県住宅供給公社がばら撒いてていた「ガーデンヒルズ松陽台」の販促用ビラだ。

松陽台図面.jpg

 赤い矢印で示したのが集会場予定地なのだが、図面上にあるように、ここは元ガーデンヒルズ松陽台の現地案内所跡。どの程度の規模の建物ができるか容易に想像がつく。
 ちなみに図面左上の白い区画部分が、ガーデンヒルズ松陽台の中で最大の面積約5.6 haを占める「ムダな県営住宅」予定地である。

 「夢のマイホームは最高の住環境で!!」という言葉を信用し分譲用地を購入。終の棲家ができたと考えていたら、突然、周辺地域の分譲計画自体が大幅に変えられ、すべての土地は県営住宅用地に変更。約束された商業施設や学校はできないわ、集会場は形だけとなるわで、騙された形の住民はたまったものではない。

 計画撤回を求める住民意見に対し、問答無用で建設計画を押し切る県。役所の詐欺商法に引っ掛かった住民の声を、独裁者・伊藤祐一郎知事が聞くはずもないが・・・・・。



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