やはりこの人には市民目線が欠けていた。
16日、福岡市東区の人工島(アイランドシティ)・新こども病院建設予定地における土壌汚染をめぐる問題で、定例会見に臨んだ高島宗一郎市長が見苦しい言い訳を展開した。
“ヒ素検出は8年前に公表”、“体内に取り込んでも健康上の問題はない”・・・・・。およそ市政トップが発したとは思えないお粗末な主張で、正体を露呈した形だ。
(写真は、人工島・新こども病院建設工事現場)
福岡市では、毎年万単位の転出、転入が繰り返されており、8年も経てば、市外からの転入者が大幅に増えていることになる。公表済みだから再度の発信は必要ないとする市長発言は、平成17年の人工島の土壌汚染問題を知らない市民には、現在のヒ素汚染の実情を周知する必要がないと言っているに等しい。市民無視の傲慢な姿勢だ。
市民無視の証左・その2―「健康上の問題はない」という虚構
検出されたヒ素が微量だから健康上の問題はないという高島市長の言い分も、無責任極まりない。
土壌汚染対策法が定めた基準は、すべての人への影響を想定したものではない。もし、幼児がヒ素で汚染された物質を口に入れたらどうなるのか?市長がその問に答える知見データを確認していたとは思えない。幼児にヒ素を投与して実験を行った際のデータなどあるはずがないからだ。
微量だろうがヒ素はヒ素、人体にとって有害だからこそ、法が汚染物質への厳しい対応を求めているのである。国の基準を否定する根拠を、市長はもちろん、市が有しているはずもない。市長発言はその場しのぎの虚構に過ぎないのだ。
市民無視の証左・その3―「公費支出」についての不見識
こども病院建設予定地における土壌汚染対策にどれだけの公費が投じられたか。福岡市立病院機構への情報公開請求で入手した資料によれば、平成24年1月の調査段階から秋の汚染土除去までに、4件の契約が行なわれていた。
1月には平成17年にヒ素が検出された地点の状況をピンポイントで調査するための業務委託に141万7,500円、8月には汚染地域を絞り込むための調査業務委託に134万1,900円と汚染土の搬出工法検討に189万円、最終的には病院建設工事の着工を目前に控えた10月の終わりになって、汚染土処理のため5,827万5,000円の契約を交わしていた。合計すると6,292万4,400円。もちろん支出のすべては公費を使ったもので、公表するのが当然だろう。高島市長の言い分だと、市は公費支出の状況を市民に知らせる義務などないということになる。呆れたバカ市長だ。
市民無視の証左・その4―「徹底した情報発信」の真っ赤な嘘
市のホームページでは、高島市長の公約達成度の検証結果が確認できる。冒頭の「こども病院移転問題」の項目には、「公約」として次のように記されている。
【意思決定プロセスを透明化し、徹底した情報発信を行うこれが嘘だったことは、土壌汚染についての高島氏自身の会見発言が雄弁に物語っている。
吉田市政の中で問題となった「建て替え工事費水増し問題」のような不透明で、皆さんの納得を得られることのないような決定プロセスは行いません。たとえ福岡市政にとってもマイナスな情報でも必ず全ての情報を発信させていただきます】
公約の冒頭にはこうも書かれている。
【子どもの命を第一に尊重するこどもの命を第一に考える人が、ヒ素を体内に取り込んでも「健康上問題ない」などと発言するはずがない。検証結果として『公約は達成済み』となっているが、これも身勝手な解釈に基づく真っ赤な嘘だったということになる。
私は子どもの命を第一に考えた選択を行います。子どもの未来は無限の可能性です。こども病院の設立理念にもあるように「すべての子ども達とそのご家族の健康と明るい未来を願い、時代にふさわしい病院を目指すことを継承します】
平成22年の市長選挙以来、情報発信と市政の透明性を高めることの重要さを訴えてきた高島氏。その正体は、市民目線を欠いた、とんでもない食わせ者なのである。