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福岡市人工島 こども病院建設予定地からヒ素
変わらぬ隠蔽体質 ― 土壌汚染と処理の事実公表せず

2013年4月16日 08:40

こども病院建設予定地 隠蔽体質は変わっていなかった。
 地方独立行政法人・福岡市立病院機構が、市内東区の人工島(アイランドシティ)で建設を進める新こども病院の予定地で、土壌汚染が確認され、汚染土を処理していたことが分かった。
 土壌汚染対策法に基づく調査で、国が定めた基準値を超えたのは「ヒ素」。処理に5,000万円以上かかったとされるが、機構や市は土壌汚染とその処理について公表しておらず、HUNTERの情報公開請求の過程で初めて事実関係を認めた。意図的に公表を控えた可能性も否定できず、こども病院人工島移転への不信を呼び起こした形だ。

ヒ素検出、処理に5,000万円以上
 取材によれば、こども病院建設予定地で土壌汚染が見つかったのは昨年。土壌汚染対策法に基づく調査を行なった結果、土壌に、国が定めた基準値を超えるヒ素が含まれていたという。
 病院機構側は、同法の規定に従って汚染土壌を搬出するなどの処理を行い、この費用に5,000万円以上かかったことを認めている。病院建設工事は11月着工予定だったが、実際には12月にずれ込んでいた。

 なぜ公表しなかったのか?―機構側の主張はこうだ。

  • 平成17年に行われた福岡市の土壌汚染調査の時点で、すでにヒ素が検出されていたが、自然由来であると結論付けられていた。ヒ素が出ることは分かっていたし、既に報道されていたので、あえて公表しなかった。着工が11月から12月になったのは、建築確認の手続きが遅れただけで、汚染土の処理で工期が遅れたということはない。

 平成17年の福岡市の調査で人工島の土壌からヒ素が検出され、自然由来として片付けられていたのは事実。しかし、それを土壌汚染を公表しなかった理由にするのは無茶だ。

 まず、予断措置上の整合性がない。新病院の建設費には、あらかじめ土壌汚染調査のための予算が組み込まれていたと見られる。平成17年にヒ素が検出されていた以上、当然のことだ。だが、5,000万円以上とされる「処理費用」は、当初の病院建設費に計上されていない。つまり、予想外の出費だったことになる。汚染土の処理のため建設費が上積みされるのであれば、その時点で公表すべきである。

 次に、土壌汚染の事実について、平成17年の騒ぎを覚えている市民が少ないことを忘れてはいけない。17年当時、人工的に造られた土地の汚染を無理やり「自然由来」として片付け、火消しに躍起となったのは、当の福岡市なのだ。「その程度なら大丈夫だろう」、大方の市民はそう思い込んでいたはずで、5,000万円以上もかけて汚染土を処理することになるとは思ってもいなかっただろう。
 重ねて述べるが、市や病院機構は、ヒ素で汚染されていることが確認され、処理費用が発生することが分かった時点で、改めて公表しておくべきだった。

こども病院建設予定地「こども病院移転計画調査委員会」にも報告せず
 平成23年1月、こども病院の移転問題について、市側が選んだ有識者や公募した市民らで、同病院の人工島移転を決定したプロセスの合理性、妥当性について検証を行なうため「こども病院移転計画調査委員会」(委員長:北川正恭早稲田大学大学院教授)が設置された。しかし、同委員会に対しては、こども病院建設予定地に土壌汚染の可能性があることなど、一切報告されていない。議論のテーブルからマイナス要因を排除したかった市側の思惑が透けて見える。
(写真が、人工島内のこども病院建設工事現場)

 長く人工島問題に取り組んできた荒木龍昇市議は、「市長は財政再建をやると言っているが、市にはこれ以上ムダな事業を続ける余裕などないはずだ。それでもやると言う以上、情報公開は絶対条件」とした上で、今回の土壌汚染問題について次のように語っている。
「もともと人工島は、計画が破綻していることを隠して、無理やり進められてきた事業。土壌汚染に関する事実を隠していたとすれば、またしても市民を裏切ったことになる。平成17年に人工島の土壌汚染が問題化したが、それと今回の経過とは別の話だ。
 こども病院の人工島移転は、現地建替え費用を水増しして検討対象から外すなどの悪質な行為の延長線上にある。嘘や隠蔽を平然と行う体質は、何も変わっていないということだ。土壌汚染が見つかって、その処理に多額の公費が使われた以上、こども病院の人工島移転を決めた高島市長自身が、きちんと事実経過を説明すべきだ」。

 こども病院の人工島移転で市民の不信を招いた原因が、市の隠蔽体質にあったのは言うまでもない。新病院建設予定地における土壌汚染についての経緯は、事業の透明性を高めるという観点からも、公表すべき事案なのだ。“懲りない体質”と言われてもおかしくない市や病院機構の対応に、改めて批判が出ることになりそうだ。



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