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福岡市・実行委員会方式事業の闇

2013年4月10日 09:50

中高生夢チャレンジ大学 福岡市が西日本新聞社やNPO法人などと共同で行っている事業をめぐり、不適切な公費支出の実態がまたひとつ明らかとなった。
 新たに問題が見つかった事業は、高島宗一郎市長を学長に、公費約1,000万円を投入して平成24年度から始まった「中高生夢チャレンジ大学」。今月8日までに報じた「アイランドシティこどもっと!だいがく」同様、市職員を入れて組織された実行委員会の銀行口座は作られておらず、帳簿や領収書などの会計書類も揃っていない。
 支出の大半を西日本新聞とNPO法人関連で分け合った形となっているほか、収入のカウント方法にも大きな疑問が生じている。同事業について、2回に分けて検証する。

「中高生夢チャレンジ大学」とは
 福岡市が昨年4月に西日本新聞社及びNPO法人グリーンバード福岡チームと結んだ「『中高生夢チャレンジ大学』に関する協定書」によれば、「中高生夢チャレンジ大学」は、《感性を磨き想像力を発掘する福岡ならではの学びや体験の場を提供することにより、社会への参加意識や職業意識の醸成を図り、福岡を拠点に活躍し、福岡をリードする人材を育成するとともに、福岡の将来を担う、福岡若者ネットワークを形成していく》(「『中高生夢チャレンジ大学』に関する協定書」より)ことを目的に、福岡市内に在住・通学する中高生を対象として、平成24年度から始められた事業だ。

 学長は高島宗一郎福岡市長。運営は、福岡市、西日本新聞社、NPO法人グリーンバード福岡チーム、福岡市教育委員会、福岡大学、中村学園大学、福岡市立中学校校長会、福岡県私学協会の関係者で組織された「中高生夢チャレンジ大学実行委員会」が行なっており、事務局は「こどもっと!だいがく」運営委員会と同じ西日本新聞社企画事業局ソーシャル事業部の中に置かれている。

 参加者(定員150名)は、参加費1万4,000円を支払い、福岡市内各所で開かれる「観光」、「企業」、「食」、「ゲーム」、「ファッション」の五つの講座の中から、前期(8月)・後期(9月)にそれぞれ1講座を選んで学ぶことができる。各講座は8、9月の土曜、日曜を利用して開かれ、いずれも3時間程度。開校式、宿泊研修(1泊)、閉校式は全員参加だ。

 年間事業費約1,900万円は、参加費、企業協賛金のほか、福岡市が1,048万2,000円、西日本新聞社が315万円、そして残りの294万円をNPO法人グリーンバードが負担し、賄ったことになっている。

事業に似合わぬ杜撰な経理
 事業自体の目的や、実際の講座内容がすばらしいもので、参加した中高生にとっては得がたい経験であることが認められる。後援団体には県教委や福岡商工会議所などが名を連ね、協賛企業としてアサヒ飲料や福岡銀行といった有名企業が並ぶ。まさに福岡の官・産・学がそろって推進する事業のようだが、公費を使った事業とは思えぬ経理の杜撰さには、大いに問題がある。

 前述したように、この事業も「アイランドシティこどもっと!だいがく」同様、実行委員会の銀行口座が作られておらず、帳簿や領収書といった会計書類も揃えられていない。西日本新聞の社内経理システムに合わせているため、開示された公文書上では収入や支出についての確認がとれず、福岡市の担当職員に収入の証明方法を聞いても即座に答えられない。つまり、公費支出の正当性に疑問符がつく状況なのだ。

突出する西日本新聞グループへの支出
 まずは支出についての問題点から整理してみたい。下は、西日本新聞社が実行委員会に出した請求書である。

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 左からホームページ制作・管理費(84万円)、広告掲載料(315万円)、事務局管理・進行費(161万7,000円)となるが、3件で約560万円、年間予算の3割を占める。その他にも同社関連企業への映像制作費(86万1,000円)、チラシ印刷費(66万1,500円)などが計上されており、グループ全体への支出割合は4割前後に膨らむ。 

 「事務局管理・進行費」の161万7,000円は、「アイランドシティこどもっと!だいがく」の企画制作・進行管理費にあたるもので、西日本新聞社内にある事務局の人間に対する報酬である。こどもっと!だいがくが時給3,500円の計算だったことに対し、こちらはなぜか時給2,500円。西日本新聞ソーシャル事業部の社員は、本来の月給のほかに、様々な報酬をもらっていることになる。
 一連の西日本新聞側への支出が、同社の報道機関としての資格を疑わせるものであることは、これまで報じてきた通り。論を重ねる必要はあるまい。

深まる闇
 それでは他の支出はどうなっているのか―検証を進める中、福岡市への情報公開請求によって入手した資料と取材から、「中高生夢チャレンジ大学」の最大の問題点が、NPO法人絡みの収入と支出にあることが分かってきた。次稿でその詳細を報じる。



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