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福岡市とメディア(1)
実行委員会方式2事業 ― 事務局は西日本新聞社

2013年4月 4日 09:50

こどもっときゅうしゅう 先月、平成21年度から今年度1月までの約4年間で、福岡市が報道各社とその関連企業に5億5,000万円にのぼる業務委託を行なっていたことを報じた。このうち、地元紙である西日本新聞および同新聞のグループ企業に対する業務委託契約の金額は計4億7,000万円。監視する側とされる側―メディアと権力の距離の取り方に警鐘を鳴らしたが、新たに、「実行委員会方式」と呼ばれる仕組みを利用した“癒着”としか思えない事業が存在することが分かった。
(右は、西日本新聞ホームページにある「アイランドシティ こどもっと!だいがく」のPR画面)

「アイランドシティ こどもっと!だいがく」

次の時代を作るのは、きみたち。
こどものときに、学校ではできない体験をもっともっと体験し、たくさんのことを吸収してほしい。
そして未来を切りひらく力を身につけてほしい!
そんな思いで私たちは、「アイランドシティ こどもっと!だいがく」を実施しています。

 西日本新聞のホームページ上にある「アイランドシティ こどもっと!だいがく」(以下、『こどもっと!だいがく』)のPR画面冒頭に記された一文だ。その後は、こう続く。

「アイランドシティ こどもっと!だいがく」ではアイランドシティ全体をキャンパスと見立て、「自然と共生する未来を実現するために必要なことを考える」、「人が優しくなる未来のまちづくり、地域づくりを考える」をテーマに授業を展開します。興味のある授業はいくつでも応募していただけます。
 実際に体験して学ことで、子供たちの可能性はもっともっと広がっていきます。たくさんの「だいがくせい」の参加をお待ちしています。

 「こどもっと!だいがく」は、小学生を対象として、講師別に年間30ほどの「授業」を設定、入学した小学生はアイランドシティ内のいずれかの施設で行われる授業に所定の費用を支払って参加し、終了後には授業ごとに修了証が渡される。主催は西日本新聞社、共催が福岡市である。参加の申し込み先を見ると、福岡市中央区天神の《西日本新聞社 企画事業局「こどもっと!だいがく係》となっている。どう見ても西日本新聞社の事業だ。

不祥事の温床―「実行委員会方式」
 じつは、この「こどもっと!だいがく」事業、「実行委員会方式」と呼ばれる仕組みを利用し、公費支出を正当化した“福岡市の事業”という側面を持っている。
 実行委員会方式といえば「アジア文化賞」、「ロボスクエア」などが頭に浮かぶが、前者は杜撰な管理が問題となり、後者は収賄事件の舞台となった。
 民間と共同で、様々な事業を展開するための仕組みのひとつではあるが、実行委員会に対する監視が甘くなるため、不適切な支出や管理の不徹底という弊害を生んできたのが実情だ。“不祥事の温床”と言っても過言ではない。

中高生夢チャレンジ大学 じつは現在、西日本新聞と福岡市を軸に、「こどもっと!だいがく」を含む二つの事業の実行委員会が組織され、活動が展開されている。「こどもっと!だいがく」は同紙出身の吉田宏前市長時代に始まっているが、高島宗一郎市長になってからは中・高生を対象とした「中高生夢チャレンジ大学」が事業化されている。

 いずれの事業にも、約1,000万円の税金が投入されているが、「こどもっと!だいがく」が、あたかも西日本新聞が行う単独事業のようになっていることに驚かされる一方、高島市長を「学長」に据えた「中高生夢チャレンジ大学」の事務局を新聞社が務めることにも違和感がある。

 福岡市への情報公開請求で入手した両事業の関連文書から浮かび上がったのは、事業資金の使途をめぐる不透明さだ。二つの事業は、ともに事務局を西日本新聞の社内に置いており、実行委員会の会計も同社の都合に合わせた杜撰なものだった。
 権力とメディアの癒着としか思えない二つの事業の実態について、明日から2回に渡って報じていく。



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