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福岡市役所 腐敗の現状 

2013年4月 3日 09:55

やくしょ.jpg 福岡市役所の乱れに歯止めがかからない。幼稚な禁酒令であれだけ騒いだ市職員による飲酒がらみの事件が、先月29日、また起きた。いかなる理由があれ、公務員としての自覚を欠いた行為であることに違いはない。しかし、綱紀が弛んだ原因が市長とその周辺にあるとすれば、どれだけ管理を徹底しても状況が改善されることはないだろう。
 市長側近の一般人が、何かと市政に口を出すとされる現在の福岡市政に憤りを感じるという市職員やOBは少なくない。腐敗の度を増す市長周辺、それを許す議会とメディア。改めて問題点を検証したが、その先に見えてきたのは・・・・。

腐っているのは市長周辺
 これまで報じてきたように、高島宗一郎市長の友人で福岡市顧問に就任している会社社長・後山泰一氏が、極めて緊密な関係にある企業が選ばれた業者選定で選考委員を務めていたことや、関わった9件の業者選定のうち8件が同業者の広告代理店を選ぶものだったことが明らかとなった。

 福岡県内はもちろん、国内の自治体でこれほど野放図な業者選定が行なわれたケースは皆無に近いだろう。広告代理業を営む後山氏が、広告代理店を選ぶ業者選定に関わったということは、建設会社の社長が公共事業の入札における総合評価で、選考委員を務めていたのと同じことなのだ。不適切と言うより、犯罪の温床と言った方が妥当な状況を、高島市長自身が容認していたことになる。市長や問題の業者選定を所管する市役所の担当課が、後山氏の会社の業務内容や業界との関係を知らなかったはずがないからだ。利害関係者を業者選定に関与させた時点で、この市役所は死んでいる。

 もちろん、友人を市の顧問に据え好き勝手を許す市長に、市職員が敬意を抱くとは思えない。非常識な副市長人事にも、市内部の不満が高まるばかりだ。不祥事を起こした職員を「腐ったミカン」と切って捨てた市長だが、腐っているのは市長周辺なのである。職員のモチベーションを下げているのが、市長自身の言動や姿勢にあるとすれば、何度市長の給料をカットしても、正常化は無理ということになる。

機能不全の市議会
 市長やその側近による愚行を許している議会、とくに高島氏を市政トップに担ぎ上げた自民・公明・みらい福岡市議団の責任は重い。とりわけ自民党市議団は、内で市長批判を行ないながら、公式の場である議会では何のアクションも起こしていない。

 長老議員が中堅・若手を押さえ込み、市長を擁護するといった状況が続いており、正論を唱える市議が孤立する有様だ。引退したはずの実力者が市役所9階の市長室を頻繁に訪れる姿が確認されており、市内部からは「現役の時より市長室に来る回数が多い」と呆れられるほどだ。

 一部の議員が市政の間違いを糺してはいるものの、議会では多勢に無勢で押し切られ、事態を悪化させているのが現状だ。「機能不全」(ある保守系市議)が続けば続くだけ、福岡市から健全性が失われることに気付くべきだろう。市議会の奮起に期待したい。

メディアの切所
 一方、高島市政を監視する側のメディアは、こうした現状をきちんと報じてきたのだろうか。HUNTERも含めて、個別の事業の問題点や不適切事案への追及が甘かったことには、率直に反省する必要があるだろう。とくに市長やその側近の独走を許してきたことは、メディアが本来の使命を果たしていないことを示している。

 メディアが報道するにあたっては、報じるべきか否かを判断する“切所”がある。高島市長をめぐっては、第一の切所で各メディアが判断を誤った。
 市長就任から間もない市政記者クラブとの酒の席で、市長は突然「離婚」を宣言したという。市長選挙の折、家族との写真を印刷物に使用して良きパパ、良き夫を演出しておきながら、就任からわずか3ヶ月で離婚していたのだ。

 メディア各社は、取材対象者との話が、公表を前提としたオンレコ(オン)であったか、非公表のオフレコ(オフ)であったかを重視するが、離婚を切り出したのが記者との懇談の席―つまりオフの状況であったことを主な理由として、市長離婚の事実を一切報じていない。この時の判断を誤ったことで、高島市長に「組し易し」の思いを抱かせた可能性は高い。ただし、切所においてメディアが権力側に遠慮せねばならない他の理由があれば、オン・オフなどに関係なく、市民にとって必要な報道が闇に葬られることになる。

 先月、HUNTERは、平成21年度から今年度1月までの約4年間で、福岡市が報道各社とその関連企業に5億5,000万円にのぼる業務委託を行なっていたことや、このうち地元紙である西日本新聞および同新聞のグループ企業に対する業務委託件数だけが突出しており、同時期の委託金額合計が4億7,000万円に上っていたことを報じた。
 監視する側とされる側―メディアと権力の距離の取り方が問われる事態だが、見えない形で、市とメディアが密接に結びついた別の事業があることが明らかとなった。
 近く、「実行委員会方式」と呼ばれる仕組みを利用した、メディアと市役所の癒着の実態を報じる予定だ。ある意味、メディアの切所となるはずだが・・・・。



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