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福岡県 海砂賦存量調査を28年間未実施
消える玄海沖の海砂―年間に東京ドーム2杯分

2013年4月15日 09:50

福岡市東浜に揚陸される大量の海砂 玄海沖の海砂採取に関する許可権限を持つ福岡県が、採取の条件等を定めた「福岡県一般海域管理運用要綱」に明記された海砂の量を確認する調査―「賦存量調査」(ふぞんりょうちょうさ)を、28年間にわたり実施していなかったことが分かった。
 海域の環境保全と適正利用を謳った「福岡県一般海域管理条例」の趣旨にも反しており、怠慢を続ける県の姿勢が問われる事態だ。
(写真は、福岡市東浜に揚陸される大量の海砂)

東京ドーム2杯分
 瀬戸内海をはじめ、全国的に海砂採取が禁止される中、福岡県では、年間400万㎥を上限に膨大な量の海砂採取が続けられてきた。多少減ったとはいえ、その量は東京ドームの2杯分にあたる年平均250万㎥。現在も玄海沖の貴重な海砂が、建設用資材として消えているのである。

 「福岡県一般海域管理運用要綱」(以下、『要綱』)は、海砂採取をはじめ海底の浚渫などを行なう場合の管理基準を定めた「福岡県一般海域管理条例」および「福岡県一般海域管理条例施行細則」の施行にあたって必要な事項を定めたもので、その第11条に「賦存量調査」についての一項を設けている。賦存量調査は、海底の砂の量を確認し、業者の海砂採取によって海域が荒れることを防止する目的で実施されるものだ。(下が賦存量調査についての要綱の条文)

要綱.jpg

28年間放置された「賦存量調査」 
 今月12日、要綱にある賦存量調査の実施状況について、改めて海砂採取の所管課である県土整備部港湾課に確認したところ、要綱の内容を変えた平成18年から一度も調査を行っていないという。環境保全のためには必要不可欠となる調査のはずで、怠慢では済まされない。なぜ賦存量調査を実施しないのか?―県側に正式な回答を求めたが、即答できない状況だ。

 じつは問題の賦存量調査、合計すると28年以上実施されていない。海砂採取をめぐっては、平成17年に要綱で海砂採取にあたっての掘削深を1メートルと規定しながら全く守られておらず、玄界灘の海底が凸凹になっていたことが判明。この時、県が賦存量調査や試掘の立会いを20年以上怠っていたことも明らかとなっていたのである。

 平成17年から18年にかけて、海砂採取の掘削深問題と海底の環境悪化が報道され、要綱の存在がクローズアップされた。これを受けた県は、平成18年に要綱の内容を変更し、掘削深1メートルの規定を削除。「掘削に当たっては、部分的に深堀りをしてはならないこと」とするなど、海砂採取業者の擁護に走っていた。しかし、賦存量調査の一項は削除されていない。
 平成17年まで20年、加えて要綱改正から8年。県は合計28年間、自ら要綱に定めた賦存量調査を行っていなかったことになる。玄界灘の環境を守るのは県の責務のはずだが、どうして海砂採取業者の都合に合わせた怠慢行政が続くのか―次稿で海砂採取の問題点を検証する。
 


 




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