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鹿児島市都市計画審議会の茶番
市幹部 審議会で市議会を否定

2013年3月21日 10:10

 鹿児島県が住民の反対を無視して鹿児島市松陽台町の「ガーデンヒルズ松陽台」で建設を予定している県営住宅増設計画にからみ、この計画の是非を審議する鹿児島市都市計画審議会のなかで、市の担当部長が市議会の存在を否定する発言を行っていたことが明らかとなった。同審議会は、問題発言があった会議で、県営住宅増設に道を開く都市計画変更を認めている。
 市議会では、県営住宅建設に反対する陳情を継続審査中であり、審議会が市民の代表である市議会を無視した形だ。
(写真は鹿児島市役所)

「議会に従う義務はない」―担当部長が明言
鹿児島 090.jpg 問題の発言は、今年1月29日に鹿児島市役所内で開かれた「鹿児島市都市計画審議会」の中で飛び出した。
 この日の審議会は、「松元都市計画地区計画の変更について」としてガーデンヒルズ松陽台における県営住宅建設の前提となる同市の都市計画変更について議論。席上、市民から県営住宅建設反対の陳情が市議会に出され、審査中であることとの整合性を委員から問われた市都市計画部長は、次のように言い放った。

我々執行部、行政の当局といたしましては、議会の意思については、尊重は申し上げますけれども、それに従わなければならないという義務はありません」。(右の文書が問題の審議会の議事録。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

 鹿児島市では、市民が選んだ市議会より市役所の役人の方が偉いらしく、幹部職員が“議会に従うつもりはない”と断言している。議会軽視というより、存在そのものを否定したに等しい。

都市計画審議会の問題点
 そもそも、鹿児島市がこの日の都市計画審議会で、松陽台に関する都市計画変更の是非を審議したこと自体が間違いだ。
 都市計画変更に反対する内容の陳情が昨年7月に市議会に提出されており、いったん審議して継続審査となっていた経緯がある。都市計画審議会は1月29日に開かれたが、2月には市議会で再び陳情審査が行われることが分かっていたのである。
 「都市計画法」は、都市計画審議会の決定に期限を定めておらず、鹿児島市がことを急いだのは、平成25年度中に県営住宅建設に着手したい県の都合に合わせただけのことなのだ。これでは住民自治を放棄して、県の手先になったも同然だろう。
 ちなみに鹿児島市議会は、都市計画審議会が県営住宅建設を認める結論を出した後の議会で再び反対陳情の継続審査を決めており、審議会の意思との間にずれが生じている。

賛成ゼロ―市民の意見書を無視した審議会
 鹿児島市の都市計画変更にともなう、これまでの動きをまとめると次のようになる。

【平成23年】
4 月30日 松陽台住民が鹿児島市長あてに県営住宅増設計画反対の要望書提出
12月19日 鹿児島市長に2度目の要望書提出(県議会あての反対署名添付:反対111世帯、84.2%)

【平成24年】
6 月 4日 県住宅供給公社が地区計画変更案を鹿児島市に提出
同月11日 県および公社職員が計画案を記した文書配布
7 月11日 鹿児島市長・鹿児島市議会あてに、地区計画変更案に反対する陳情書提出
10月13日 鹿児島市都市計画課より一方的に市側説明会開催の通知
同月22日 松陽台住民が鹿児島市に計画反対と住民説明会延期を直訴(国交省からの出向中の副市長が、
       その場で要請を拒否。住民代表の町内会長に『エゴだ』と批判)
同月27日 松陽高校で都市計画変更にともなう住民説明会開催。同日付けで近隣町内会の代表らが
       鹿児島市長への再度の要望書提出
11月 4日 鹿児島市議会・建設委員会が反対陳情を審査(1月までの継続審査となる)
同月27日 ガーデンヒルズ松陽台地区計画の市原案の縦覧(12月11まで)
12月17日 松陽台町内会長が市に計画反対の意見書提出
同月29日 鹿児島市都市計画課から意見書への回答

【平成25年】 
1 月 7日 ガーデンヒルズ松陽台地区計画の市原案の縦覧(2回目・21日まで)
同月21日 松陽台町町内会長が市に計画反対の意見書提出(町内会の98 .6%にあたる138世帯が
        意見書に賛同)
同月29日 市都市計画審議会にて、県の松陽台地区計画変更案承認
2 月 4日 鹿児島市議会で地区計画反対陳情の審査⇒継続審査へ

 これまでの過程の中で問題となるのは、肝心の松陽台町の住民が県営住宅増設に猛反対しているにも関わらず、県はもちろん、市民にもっとも近い存在の鹿児島市がこれを無視する姿勢を示してきたことだ。そして、市の都市計画審議会では、制度を否定する審議を行っていたことが分かっている。 

 「都市計画法」は、都市計画の内容やその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めているが、都市計画案の内容を広く市民に周知するため、2週間の縦覧期間を義務付けており、この間、関係市町村の住民および利害関係人は、縦覧に供された都市計画の案について、『意見書』を提出することができる。都市計画審議会における審議の過程では、住民意見が重要視されるため「意見書」が持つ意味は大きいはずだが、鹿児島市ではこれが完全に無視されていたのである。

 松陽台に関する都市計画変更に関する市民の意見書は1回目の縦覧で4名、2回目の縦覧で8名が提出しているが、いずれも計画変更に「反対」のもの。賛成意見はゼロだったのだ。
 しかし、審議会では市側が県の計画を長々と説明、住民意見に対する県や市側の見解を並べて市民の意見書を葬り去っていた。市側に選ばれた審議会委員の中には、当該町の住民でもないのに「地元」と称して意見書が示した問題点を否定した者もいた。
 50ページにのぼる審議会の議事録を見ると、30ページ以上が事務方である市側の説明で埋め尽くされており、議論そのものがいかに短く、形式的なものだったかが分かる。

 住民意見を無視し、議会まで否定する鹿児島市。裏で市を操っているのが、独裁を続ける伊藤祐一郎鹿児島県知事であることは言うまでもない。



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