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鹿児島・南大隅町長の往生際
聞いて呆れる「正々堂々」

2013年3月19日 08:55

 日ごろ政治家や役人に「往生際」の悪さを見せつけられることが多く、辟易するケースが多いのは確かだが、西郷南洲を生んだ薩摩にこれほど見苦しい連中がいるとは思わなかった。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致にからみ、東京電力関係者との間に収賄の疑いが持たれている鹿児島県南大隅町の森田俊彦町長とその周辺が、町長選を前に身勝手な主張を展開している。
 これまでの取材経過をまとめ、再選に挑む森田町長にはなむけの言葉を贈っておきたい。
(写真は、「正々堂々」の旗がひるがえる森田町長の後援会事務所)

町長をめぐる収賄疑惑 
 森田町長をめぐっては、平成19年頃から南大隅町に高レベル放射性廃棄物の最終処分場を誘致するよう働きかけてきた「オリエンタル商事」(東京都千代田区)の原幸一社長と親密な関係を続けていたことや、同社長からモーターボートを取得していたことが判明。さらに、原氏と東京電力の勝俣恒久会長(当時)を訪ねたり、同氏に処分場誘致に関する委任状を渡していたことが明らかになっている。
 当初の取材に対し、原氏との関係すべてを否定していた森田町長は、問題のモーターボートの登録事項証明書を突きつけられ、一転して「嘘」を認めていた。原氏から受けた飲食接待やモーターボート譲渡は、収賄の疑いが濃い。

 モーターボートに関しては、カネを貸していた友人の会社が倒産したため、現金の代わりにもらったと明言、貸し金の額について「そこそこ(の額)」とまで話していた。じつに醜い「嘘」である。高級ホテルやクラブでの飲食接待についても、一部始終を見聞きしていた証人がおり、言い逃れすることはできない状況となっていた。

嘘の上に嘘―選挙で疑惑を逆利用 
 疑惑発覚から約2週間。町を取材してみると、普通の感覚をお持ちなら辞職して当然の町長が、町役場に居座った上、4月に行なわれる町長選挙で再選を目指すのだという。しかも町長やその周辺は、HUNTERの配信記事がでっち上げだと言ってみたり、町長選の対抗馬と仕組んだ話だなどと主張する始末。これが単なる言い訳ならまだしも、対抗馬を中傷する道具にしているのだからタチが悪い。収賄疑惑を認めるどころか、嘘の上に嘘を重ねる姿勢には嫌悪感を覚える。

 南大隅町における取材において、HUNTERの記者が一番はじめに訪ねたのは町役場にいた森田町長である。その後、町長選挙を前にしているという事情があったため、対抗馬である肥後隆志氏の後援会事務所でも取材している。肥後氏は不在だったが、居合わせた後援会幹部らに森田町長のモーターボート疑惑について尋ねていた。

 彼らは、情報としてモーターボートの件を知っていたが、記者は原氏や町長が疑惑を真っ向から否定しており、原氏に至っては「調べれば分かる」とまで言っていることを伝えていた。口が滑った記者は、疑惑は単なる中傷ではないかとまで言ってしまい、肥後陣営の怒りを買ったほどだった。

 その後、モーターボートの登録事項証明書から町長の「嘘」が判明、町長への再取材の帰り、肥後氏の事務所で前回の非礼のお詫びをしたというのが真相だ。

森田町長に一言  
 森田町長は、昨年12月に「南大隅町放射性物質等受入拒否及び原子力関連施設の立地拒否に関する条例」を制定したから、核のごみ処分場は南大隅にはできないと言う。それならなぜ原氏との関係を隠蔽しようとしたのだろうか。
 森田町長への疑問はまだある。

  • 選挙のためなら嘘をついていいのか?
  • 自らの犯罪行為を逆利用して、対抗馬を誹謗中傷する行為が、政治家として、人として許されるのか?

 町長には答える義務があるはずだ。

 仏教でいう「往生」(おうじょう)とは、極楽浄土に往って生まれ変わることを意味する。親鸞は、『善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや』(歎異抄)と説いたという。むずかしい解釈は省くとして、悪人も救われるということだ。ただし、「悪」を認めて仏に頼る心があればという前提がつくことを忘れてはならない。自らの悪行を認めるということは“恥を知る”ということだ。
 森田町長に言いたい。「恥を知れ」と。あなたの旗印は「正々堂々」のはずだ。



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