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福岡市顧問 市業務委託で自社取引先の業者選定に関与
― 腐敗する福岡市政(上) ―

2013年3月27日 08:35

福岡市役所 福岡市の腐敗は、市長周辺から起きていた。
 26日までのHUNTERの調べで、高島宗一郎市長の友人で福岡市顧問に就任している会社社長・後山泰一氏が、自社の取引先企業が選ばれた業者選定で選考委員を務めていたことが判明した。
 同様の形で後山氏の会社の取引先企業が選ばれたのは計3回。公費が投入される事業における業者選定で、公平・公正が否定される事態だ。“疑惑”と言っても過言ではない。
 26日朝から、後山氏の上司にあたる市長室広報戦略室長にコメントを求めていたが、夜までに回答はなかった。
(写真は福岡市役所)

問題の顧問は高島市長の友人
 後山泰一氏は、高島宗一郎市長が就任した直後の平成22年12月に広報戦略アドバイザーとして市顧問になった民間企業の代表者である。福岡市中央区に本社を置き同氏が代表を務める会社は、広告代理店業を営んでいる。下は、同社の法人登記に記載された目的欄である。

法人登記に記載された目的欄

 後山氏は平成22年に行なわれた福岡市長選挙の折、高島市長の事務所に出入りしていたことが確認されており、市長就任前からの付き合いだったことが分かっている。

疑惑の選定
 HUNTERが福岡市への情報公開請求で入手した文書によれば、後山氏が関わった業者選定は9件。このうち、次の3件に問題があることが分かった。

①「電子掲示板コンテンツ整備等業務委託」
  契約日:平成23年10月11日
  契約金額:8,570,100円

②「飲酒運転撲滅キャンペーン業務委託」
  契約日:平成23年11月22日
  契約金額:14,990,508円

③「自転車安全利用条例の施行に伴う広報啓発業務委託」
  契約日:平成25年2月25日
  契約金額:5,461,690円

 事業ごとの業者選定の結果、3件とも福岡市中央区に本社を置く同一の外資系広告代理店が業務委託先に選ばれており、いずれの選定でも後山氏が選考委員もしくは選定委員を務めていた。(下参照。青い文字及び赤のアンダーラインはHUNTER編集部)

電子掲示板コンテンツ整備等業務」選考委員  「飲酒運転撲滅キャンペーン業務」選定委員  「自転車安全利用条例の施行に伴う広報啓発業務」選考委員

選ばれたのは市顧問の取引先-問われる情報漏洩の有無 
 HUNTERの調べによると、後山氏が代表を務める会社は、3件の業務委託に関する業者選定の末、契約に至った外資系広告代理店を販売先―すなわち取り引き先にしていたことが分かっており、利害関係があったことは明白だ。さらに、この外資系広告代理店の社員とは、かつて福岡パルコに関する仕事を共にしていたほか、市内で行われたトークショーでも掛け合いを演じていた。人的な関係もあったことになる。

 仕事上の付き合いを有する企業が応募した業者選定である以上、利害関係者である後山氏が選定委員を務めるのは極めて不適切。選定から外れるのが当然だったはずだが、3回の選定で、後山氏は一度も委員を辞退していなかった。この段階で業者選定の公平・公正が崩れていたと見るべきである。
 3件の業務委託に関する業者選定の過程で、後山氏と選ばれた外資系広告代理店との間に接触はなかったのか、評価方法や予算についての情報漏洩はなかったのか―そうしたことが厳しく問われるべき事態だ。

問われる市長の責任
 福岡市では、平成13年に「福岡市職員の公務員倫理に関する条例」を制定、さらに翌14年に「福岡市職員倫理行動規準」を定めて職員の利害関係者との接触を禁止するなど、公務員として守るべき基準を示している。
 後山氏は民間企業の社長ではあるが、市顧問という特別職の公務員。職員同様に厳しい倫理観を求められる立場であることに変わりはない。

 ちなみに高島市長は昨年6月、市職員の飲酒による事件の続発を受けて出した飲酒禁止を、正規職員だけではなく、月に数回程度“臨時職員”の役を果している人へも拡大して適用した。今回のケースで、“特別職だから倫理規定には関係がない”などというふざけた言い訳は通用しない。

 後山氏をめぐっては、未公表資料だった「都市認知度調査」を個人的に持ち出し自身の講演先で披露、さらに講演の中で「佐賀だったらカワイイ区のイメージはつかない」などと他県を卑下する発言を行っていたほか、HUNTERの記者が福岡市に情報公開請求した内容を他の報道機関の記者に漏らすなど、常軌を逸した行動を続けていたことが分かっている。
 不祥事を引き起こした職員を「腐ったミカン」と切って捨てた高島市長だが、腐臭は市長の周辺、しかも自らが顧問に任命した友人の言動に起因するものだったことになる。市長の責任が問われるのは言うまでもない。

 じつは、後山氏が関わった業者選定はこれだけではなく、別の疑惑も浮上している。次稿からその詳細を報じていく。



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