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鹿児島・南大隅町長 収賄の疑い濃厚に
やっぱりあった飲食接待 ―蠢く原発マフィア―

2013年3月 7日 09:10

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致をめぐり、森田俊彦町長の収賄疑惑が持ち上がっている鹿児島県肝属郡南大隅町。前町長をはじめ町議会議長、漁協組合長など町の有力者も巻き込む事態となってきたが、核心を知る複数の人物がHUNTERの取材に応じ、重い口を開いた。 
 処分場誘致の黒幕と見られる東京電力と同町をつないだ会社社長に対し、誘致に関する委任文書が出された経緯のほか、森田町長をはじめとする町有力者と同社長の一線を越えた付き合いの実態が浮き彫りとなった。
(写真は、モーターボートの件で釈明する森田俊彦南大隅町長)

委任文書、東電訪問 すべて原氏からの依頼
 昨日報じた税所篤朗・前町長らのオリエンタル商事(東京都千代田区)・原幸一社長への委任文書について、事情を知る町関係者は、およそ次のように話した。

  • 問題の文書は、原さんから取りまとめの要請が来た。文書の内容は、核廃棄物の処分場を誘致する件について、原さんにすべてを委任するというもの。町長、議長、商工会長、漁協の組合長の4人がこれに応じ、町長の文書は町役場で原さんに渡された原さんは、『農業関係者の一筆も欲しい』と言っていたが、実現しなかった
  • これは自分の見立てだが、(文書は)おそらく原さんが東電からカネを引き出すための道具だと思っていた。どのような人物か分からない原さんに、すべてを任せるなどという文書を、自治体のトップが出すこと自体不自然で、普通ならあり得ない。東電だってそんなものを信用するとは思えなかったが、実際に原さんが税所町長を東電の勝俣会長(当時)に会わせたから、驚いた。すごい人だと思った。何より、処分場ができれば、雇用も増え、この町が良くなると信じ込んでいた。皆が原さんの言いなりになっていた。
  • 税所(前町長)さんが言っている青森県の六ヶ所の村長とは、正確に言うと六ヶ所村の元村長のこと。たしかに原さんが連れてきた。その元村長が現在の六ヶ所の基礎を作り、あそこが放射性廃棄物の中間貯蔵基地になったことで、地域が潤っているという話だった。それはいい、と思った。
  • 原さんはどんな人かいまだに分からない。本人の口からは、「オリエンタル商事」なんて聞いていなかった。たしか、医学系の予備校だか塾だかを、二つ持ってるとか言っていた。
  • 平成21年の11月頃だったと思うが、税所町長、いまの町長の森田―そのころは商工会長、漁協の組合長、議長の4人が東京に行った。原さんから東電に行ってくれと頼まれたから。税所さんは東電には行っていないと言ってるようだが、食事のためだけに東京に行くはずがない。原さんからの依頼は、東電への訪問だった。原さんの依頼はそれだけではなかった。勝俣会長に対し、その4人で(処分場を)誘致すると言ってもらいたい、ということだった。誘致話は終わっていなかった。

町有力者―昨年まで原氏と海外旅行
 別の町関係者の話からは、原氏と町の有力者の癒着が、つい最近まで続いていたことが明らかとなった。

  • 一昨年は、原氏とともに森田町長、県議、現在の商工会長、漁協の組合長、建設会社社長らが海南島に行った昨年はほぼ同じメンバーで大連に行っている。費用は、とりあえず漁協が立て替えたことになっているが、その後精算したかどうかは分からない。この町の有力者は皆、原氏とつながっている。(原氏の)指宿の別荘の存在を知らない者はいない。みんな行ってるから。原氏がどんな人物かは誰も正確には分かっていない。東電側の人物で、政界にも影響力があるということは確かだ。

やっぱりあった飲食接待―濃厚となった町長の収賄
 別の証言者の話からは、森田町長が原氏から飲食接待を受けたことが判明した。
 平成21年、森田町長と親しい南大隅町内の3人の仲間が、原氏に連れられ上京する。初日に福島県の原発を視察し、いったん東京に戻って赤坂プリンスに1泊。翌日は青森県の六ヶ所村を視察して、青森県からまっすぐ鹿児島に帰るという強行軍だったという。
 じつは原氏を含む4人は、宿泊した赤坂プリンスで森田町長と合流。原氏のおごりで夕食をともにした後、六本木のクラブに繰り出していた。ここも支払いは原氏で、ゴールドカードを使ったことが目撃されている。なんとしても処分場の誘致を実現しようとする原氏に、現職町長が接待を受けた証しである。収賄は事実だったということだ。

蠢く原発マフィア―背後に電力業界
オリ.jpg 豊富な資金力を持ち、南大隅町の有力者を取り込んだオリエンタル商事の原幸一社長とはいかなる人物か。東電の会長室に出入り自由だったことから、高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関し、一定の権限を持っていたことは事実だ。しかし、どんなに調べても、その正体は見えてこない。

 じつは、税所前町長が明かした原氏の紹介者は、ある自民党代議士である。6日までのHUNTERの確認取材に対し、その代議士は前町長に原氏を紹介したことはないと否定したが、原氏のことは「知っている」(代議士)という。原氏がどのような人物か聞いてみたが、「学習塾を持っていると聞いたような記憶があるが、共通の友人の紹介だったので、それ以上のことは知らない」(同)としている。この代議士も指宿の別荘に招かれたことを認めているが、原氏の正体については分からないと言うのである。

 原氏と親しく交わり、指宿の別荘に招かれたり、飲食の接待を受けた人間たちのほとんどが、同氏の素性を知らないと言い切る不可解な状況だ。もちろん、原氏ともっとも親しくしてきたのが前職の商工会長時代から処分場誘致の先頭に立ってきた森田俊彦町長であることは疑う余地がない。接待、旅行、そしてモータボート・・・・。森田町長は、さまざまな贈り物を原氏からもらっていた可能性が高い。町長就任後、とたんに羽振りがよくなったという森田氏の木材関係の会社が「持ち直している」(町関係者)という証言や、昨年に新車をキャッシュで購入したという話からは、現金供与の疑いさえある。

 福島第一原発の事故以降、原発建設や核廃棄物の処分場計画の裏で、得体の知れない人物達が蠢いてきたことが報じられるようになった。原発マフィアとも言うべき彼らの活動資金は、電力会社から出ていたとみるのが自然だ。原氏もその一人ではないかと見られるが、HUNTERの直撃取材を受けた当の本人は、核廃棄物の処分場誘致を南大隅町で進めたことを「国のために個人的に動いた」と話している。

 個人的な動きかどうかは知らないが、原氏が処分場誘致を南大隅町の歴代町長、町議会、漁協、商工会などに働きかけ、飲食接待など何らかの利益を与えてきたのは事実だ。その過程で、町の有力者達から原氏への処分場誘致に関する委任文書が出され、何人かが東電の会長室で当時の勝俣会長に処分場誘致を約束している。贈収賄事件として立件されるべき事案ではないのだろうか。



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