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情報漏洩の証明
― 高島福岡市長側近の「嘘」 ―

2013年2月22日 09:30

 「『言った覚えはない』、とおっしゃってます」。 福岡市広報戦略室が、嘘つき集団と化した瞬間だった。
 高島宗一郎市長の友人で、福岡市顧問を務めている会社社長・後山泰一氏が、HUNTERの記者が福岡市に情報公開請求した内容を他の報道機関の記者に漏らしていた問題で、市広報戦略室が事実関係を真っ向から否定、隠蔽する姿勢を露わにした。
 情報公開制度の根幹を揺るがす事態であることから、証拠を示して市側の回答に反論しておく。
(写真は福岡市役所)

漏洩の経緯
 20日夜、この問題の発端となった都市認知度調査の担当部署である市広報戦略室の則松和哉室長は、HUNTERの事実確認と抗議に対し、漏洩はしていないとする冒頭の後山氏の言い分を繰り返した。
 言った、言わないの状況で逃げ切れると踏んだらしいが、それは通らない。後山氏の情報漏洩は、揺るがしようのない事実なのだ。以下、後山氏の動きと、情報漏洩の経緯である。

 ことの始まりは、先月31日に行われた「財団法人九州経済調査協会」(九経調)主催のセミナー『福岡市に見るシティプロモーションのいまーカワイイ区の先にあるもの』。
 このセミナーで講演した後山氏は、『ここにデータがあるんで、まだちょっと後ほど、今度記者発表されると思うんですね』と断った上、福岡市が民間業者に委託して行なわせている「戦略的広報に関する調査」の内容を読み上げた。
 この調査こそ、カワイイ区をはじめとする幼稚な高島市政のアリバイ作りの道具となった福岡市の認知度調査だった。

 同セミナーにおける後山氏の講演を地元メディアの記者が取材、その内容を紹介する記事が6日に配信された。その直後、記事を書いた記者に後山氏から電話があり、『(記事が)上がってたねぇ。もう勘弁してよ』などと話し、ご満悦の様子だったという。

 問題の守秘義務違反が起きたのは8日。まず、前述の地元メディアの記者に後山氏からメールがあった。午前9時38分と記録されている(下の携帯の画面参照)。

鹿児島 021.jpg

 取材中だった地元メディアの記者は、8分後の9時46分に後山氏に折り返し電話をかけている(同)。

鹿児島 022.jpg

 電話に出た後山氏は冒頭、『あの講演で、なんか言ったっけ?』と尋ね、セミナーにおける講演内容についてのやり取りに続いて、突然次のように言い始めた。

HUNTERが認知度調査に関する情報公開請求をかけてきたんよね。なんかあるんかなぁ?』。

 事情を知らない地元紙記者は、「さあ、何でしょうね」と答えるしかなかったというが、(これは守秘義務違反!大変なことになる)と直感した。もちろん、記者である以上、市の重要人物である後山氏の話を記録に残していたのは言うまでもない。

 地元メディアの記者は、後山氏と何度か会って取材した経験があったとしているが、報道に携わる人間として情報公開請求の根幹を揺るがす事態を見逃すわけにはいかないという強い思いを抱いていた。後山氏のセミナーにおける講演内容の確認と、その後に後山氏から情報公開請求に関する問い合わせがなかったか、というHUNTERの確認取材に応じたのは、こうした理由からだった。

 後山氏は「言った覚えがない」と主張しているが、いくつもの証拠が残されている以上、このお粗末な嘘は通用しない。情報公開制度の信頼性を損なう守秘義務違反が、許されるはずがないのだ。

「徹底究明を!」―市民オンブズマン福岡・児嶋研二代表幹事の話 
 今回の市顧問による情報漏えいについて、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は次のように話している。
「担当部局にしか分からないようになっている情報公開の請求者やその内容が外部に漏れたということは、制度の否定であると同時に、請求した市民に対する圧力ともとれる。絶対に許してはいけない。
 以前、議会事務局への開示請求の内容が議員に配布され大問題になったことがあったが、それ以来の暴挙だ。
 特別職の公務員である市顧問にも、当然ながら守秘義務が課せられている。それが守られていないということになれば、行政への信頼も失われてしまうだろう。徹底究明され、きちんとした処分が下されるべき問題だ」。

守秘義務違反の背景
 後山氏が守秘義務違反を犯してまで探りたかったのは、HUNTERの取材意図だ。HUNTERが情報公開請求の対象としたのは、後山氏が前述のセミナーで紹介した都市認知度調査―「福岡の認知度調査に関するすべての文書」-であるが、じつはこの調査、話題のカワイイ区を継続させるためのアリバイ作りの道具だったことが、開示された調査の内容から明らかになりつつある。

 調査の前提となっているのは、《福岡市の認知度は低い》という、市長や後山氏らが安易に考えついた仮説である。これを前提に、3月で切れるカワイイ区に関する電通との契約を継続させ、さらには高島市長が進めてきたシティプロモーションを積極的に展開させようという狙いがあったことは明らかだ。つまり、子どもの遊びレベルの事業に箔をつけようとしたばかりに、墓穴を掘ったということになる。

 嘘つきは泥棒の始まりという諺がある。税金泥棒を市役所に飼っておく義理は、市民にはない。問題の認知度調査については、次週から詳細を報じていく。



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